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第32話 ナナミ、始動
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休日なのでお昼も更新しました!
夕方分の更新もありますのでご安心を!
それでは本編どうぞ!
────────
<三人称視点>
天の川家、ナナミの部屋にて。
「~~~!」
ナナミはスマホを握りしめながら、ベッドでゴロゴロと転がっている。
発しているのは、言葉にならない悶えているかのような声だ。
「……はぁ」
そうして、枕に顔をつけながらスマホを覗く。
「送っちゃった」
開いているのは、ホシと個人でやり取りをしているページ。
ナナミはたった今メッセージを送ったばかりだ。
『私とコラボしませんか!』
その自分のメッセージを見ながらつぶやく。
「なんで敬語」
ホシとは幼馴染であるナナミ。
だけどナナミは、彼が知らぬ間になんとなく遠い存在になってしまったことを心のどこかで感じていた。
「……」
ナナミは自分とホシの数字をチェックする。
配信チャンネル
『彦根ホシ :40万人』
『天の川ナナミ:42万人』
SNS
『彦根ホシ :36万人』
『天の川ナナミ:48万人』
「カハッ……!」
それを見て吐血しかける。
「たった一週間でもうこんなに……」
総合的な数字はまだ勝っている。
それでも、自分ではあの配信の同時視聴者数や、ここまでの伸びは出来ないだろうとナナミは自覚している。
なにしろ、最近のホシのダンジョン配信は短時間で同時視聴25万人。
ヒカリの配信に現れた時は、100万人という快挙も達成した。
ヒカリの配信はホシのチャンネルではないが、その数字に大きく関わったのは間違いなくホシだ。
「それに……」
ナナミは目を閉じ、もう一度すっと目を開く。
ただ、開いた目付きは獰猛な魔物のようだ。
「次から次へと女の人が!」
ここまで数字について考えておいてだが、やはりナナミがそれ以上に気になるのは「ホシの女性問題」。
「こーーーしちゃいられないわ!」
最近のナナミさんの行動。
ホシの初自宅配信で女の声を聞き、気絶。
それからエリカがエルフだと知り、なんとか持ち直すも……今度は「日向ヒカリ」が現れて画面の前で椅子から崩れ落ちる。
「なんなのよー!」
ここ何日かのナナミは抜け殻状態となっていた。
前に「今はお互いの活動を優先すべき」とアドバイスしたのを、心底後悔していたほどに。
「もう、なりふり構ってられない」
ホシがバズる要素を持ち合わせているのは知ってた。
幼馴染としてもホシの人気が上がるのは嬉しい。
しかし、
「女の人が寄ってくるなんて!」
まさかこうなるとは思ってもいなかった。
ホシに数字が抜かされるのは最悪許せても、女が近づくのは許せない。
ナナミはこんな状況になって、初めてその気持ちを自覚した。
「こうなるのなら……」
ナナミはここ何年間かの行動を少し後悔する。
ダンジョン配信という新しい道を見つけて、少しでも母を助けようとしてきたが、あまりにもホシに対しては奥手過ぎた。
「でも!」
それでもナナミはポジティブ。
気絶しても、椅子から崩れ落ちても、抜け殻となっても、数日もすればケロっとしている不死鳥のようなメンタルを持っている。
「こうなったら……あ!」
そんなところに、ホシからメッセージが返ってくる。
ナナミはバッとベッドに転がってメッセージを開いた。
『別にいいんだけど……』
だが、その返信に顔をしかめる。
ナナミはすぐさまメッセージを返した。
『いいんだけど、何?』
『ちょっと姉さんが面倒でさ』
『あのエルフっていうエリカさん?』
『そうそう』
ナナミはふむ、と軽く上を向く。
「あれは確かに厄介ね……」
女の勘とも言うべきだろうか。
ナナミの直観が「エリカは危険」と言っている。
恋路においても物理的においても。
「どうしよう……いえ」
ナナミは前を向いた。
そのキリっとした目で配信内容の提案をする。
「こうなったら!」
そうして、配信者となったホシと、幼馴染である天の川ナナミのコラボ配信が決定した。
夕方分の更新もありますのでご安心を!
それでは本編どうぞ!
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<三人称視点>
天の川家、ナナミの部屋にて。
「~~~!」
ナナミはスマホを握りしめながら、ベッドでゴロゴロと転がっている。
発しているのは、言葉にならない悶えているかのような声だ。
「……はぁ」
そうして、枕に顔をつけながらスマホを覗く。
「送っちゃった」
開いているのは、ホシと個人でやり取りをしているページ。
ナナミはたった今メッセージを送ったばかりだ。
『私とコラボしませんか!』
その自分のメッセージを見ながらつぶやく。
「なんで敬語」
ホシとは幼馴染であるナナミ。
だけどナナミは、彼が知らぬ間になんとなく遠い存在になってしまったことを心のどこかで感じていた。
「……」
ナナミは自分とホシの数字をチェックする。
配信チャンネル
『彦根ホシ :40万人』
『天の川ナナミ:42万人』
SNS
『彦根ホシ :36万人』
『天の川ナナミ:48万人』
「カハッ……!」
それを見て吐血しかける。
「たった一週間でもうこんなに……」
総合的な数字はまだ勝っている。
それでも、自分ではあの配信の同時視聴者数や、ここまでの伸びは出来ないだろうとナナミは自覚している。
なにしろ、最近のホシのダンジョン配信は短時間で同時視聴25万人。
ヒカリの配信に現れた時は、100万人という快挙も達成した。
ヒカリの配信はホシのチャンネルではないが、その数字に大きく関わったのは間違いなくホシだ。
「それに……」
ナナミは目を閉じ、もう一度すっと目を開く。
ただ、開いた目付きは獰猛な魔物のようだ。
「次から次へと女の人が!」
ここまで数字について考えておいてだが、やはりナナミがそれ以上に気になるのは「ホシの女性問題」。
「こーーーしちゃいられないわ!」
最近のナナミさんの行動。
ホシの初自宅配信で女の声を聞き、気絶。
それからエリカがエルフだと知り、なんとか持ち直すも……今度は「日向ヒカリ」が現れて画面の前で椅子から崩れ落ちる。
「なんなのよー!」
ここ何日かのナナミは抜け殻状態となっていた。
前に「今はお互いの活動を優先すべき」とアドバイスしたのを、心底後悔していたほどに。
「もう、なりふり構ってられない」
ホシがバズる要素を持ち合わせているのは知ってた。
幼馴染としてもホシの人気が上がるのは嬉しい。
しかし、
「女の人が寄ってくるなんて!」
まさかこうなるとは思ってもいなかった。
ホシに数字が抜かされるのは最悪許せても、女が近づくのは許せない。
ナナミはこんな状況になって、初めてその気持ちを自覚した。
「こうなるのなら……」
ナナミはここ何年間かの行動を少し後悔する。
ダンジョン配信という新しい道を見つけて、少しでも母を助けようとしてきたが、あまりにもホシに対しては奥手過ぎた。
「でも!」
それでもナナミはポジティブ。
気絶しても、椅子から崩れ落ちても、抜け殻となっても、数日もすればケロっとしている不死鳥のようなメンタルを持っている。
「こうなったら……あ!」
そんなところに、ホシからメッセージが返ってくる。
ナナミはバッとベッドに転がってメッセージを開いた。
『別にいいんだけど……』
だが、その返信に顔をしかめる。
ナナミはすぐさまメッセージを返した。
『いいんだけど、何?』
『ちょっと姉さんが面倒でさ』
『あのエルフっていうエリカさん?』
『そうそう』
ナナミはふむ、と軽く上を向く。
「あれは確かに厄介ね……」
女の勘とも言うべきだろうか。
ナナミの直観が「エリカは危険」と言っている。
恋路においても物理的においても。
「どうしよう……いえ」
ナナミは前を向いた。
そのキリっとした目で配信内容の提案をする。
「こうなったら!」
そうして、配信者となったホシと、幼馴染である天の川ナナミのコラボ配信が決定した。
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