11 / 60
第11話 伝説の初配信(黒歴史)
しおりを挟む
「……!?」
カメラの上部分が赤く光っていることに気づき、俺は焦って確認する。
ナナミから言われた言葉を思い出したからだ。
『ここが光ってる時は配信中なのよ』
だけど、時はすでに遅し。
再度パッと映し出れたホログラムには、大量のコメントが流れていた。
《お》
《やっと気づいたww》
《見てるー?》
《やっほー》
《再びこんちは~》
「!?」
俺は頭が真っ白になりかけながらも、視聴者に尋ねてみる。
「あの、もしかして……ずっと映ってました?」
《もちろん》
《映ってたよ!笑》
《ばっちりなww》
《お姉さんこんにちは~》
《甘えてたねニヤニヤ》
《うらやましいぞ!》
「な、なんてこった……」
どうやら俺は配信を切ったのではなく、コメントを映し出す設定のON/OFFを切り替えていただけらしい。
つまり、俺が気づかない内に配信は続いてたってわけだ。
「うああああーーー!」
俺は思わず声を上げて悶絶した。
じゃあさっきの抱きつかれたのも、一応もらっておいたおやつを食べていたのも、全部見られたってことかよ!
そんなの恥ずかしぎるだろ!
《叫んでて草》
《悶絶してるww》
《たしかにちょっと恥ずいww》
《高校生だもんなあw》
《どんまい!笑》
《あー面白かったー!》
やってしまった。
俺は頭を抱えてゴロゴロと転がる。
「わあ。これが配信なんだね!」
そんな中、ここぞとばかりに姉さんがカメラに近づいた。
「どうも~。ホシ君のお姉さん、エリカで~す」
《こんにちは~!》
《エリカさん!》
《やばめっちゃ美人!!》
《こんなの人見た事ない!》
《日本人じゃないよね?》
《日本語うますぎじゃね?》
《きれいな人!!》
何やら盛り上がっているらしいけど、俺はもう頭がおかしくなってそれどころではない。
だけど、次の言葉には耳を疑った。
「すご~い。20万人にも見てくれてるよ~」
「に、20万人!?」
うそだろ、さっきは10万人だったはずなのに!
俺は勢いよく立ち上がった。
「そうだよ~、ほら」
「ま、まじかあ…………」
そんなの黒歴史確定じゃないか。
俺は再び気を失いかけた。
その間にも姉さんと配信は続く。
《お姉さんは、ホシ君とはどういう関係なんですか?》
「え、お姉さんとホシ君の関係? そうだなあ」
姉さんは俺の方を振り向く。
「言ってもいい?」
「……もう好きにして」
「それじゃあ~」
姉さんは、その黄緑色の髪をわざとらしくサラリをとなびかせて答えた。
「お姉さん、エルフなんです」
《エルフ!?》
《え、あのエルフ!?》
《まじかよ!》
《どおりで綺麗なわけだ!》
《これはエロフ》
「元はダンジョンにいたんだけど~、今はホシ君のお姉さんってわけだよ」
《はあ!?》
《うらやま》
《ずっる》
《ホシめ、けしからん奴だ!》
《エルフの姉ちゃんだと……》
俺は不思議に思って尋ねてみる。
「え、でもエルフって言ってもそんなに珍しくないんじゃ」
《何言ってんだよ!》
《珍しいどころじゃないぞ!》
《普通は人型ですらない》
《ただ緑の塊って感じだよな》
《それをこんなエロ……》
《けしからん!!》
どうやら俺の認識とは違ったらしい。
それどころか、普通は人型ですらないとか。
これも『魔素水』とやらの効果なのかな。
「ふふーん」
そんなコメント欄に、姉さんはニヤリとした。
「お姉さんのすごさ分かった?」
「いや全然」
「も~いじっぱり!」
「だからくっつくなー!」
《おっふ》
《お胸さんが》
《くっそ羨ましいぞ!》
《こんな姉いたらなあ》
そうして少しだけ話をした後、今度こそ配信を閉じる。
この事故は後に「切り抜き」とかいうものでさらにバズっていき、俺の黒歴史は拡散され続けるのであった。
ていうかナナミの奴、配信見てなかったのかよ。
見るって言ってたし、電話をくれてもいいじゃないか。
「うあああああー!!」
こうして、俺の初配信は終えたのだった。
★
その頃のナナミさん。
「女の人ぉ……」
気絶しており放送事故に気づかず。
カメラの上部分が赤く光っていることに気づき、俺は焦って確認する。
ナナミから言われた言葉を思い出したからだ。
『ここが光ってる時は配信中なのよ』
だけど、時はすでに遅し。
再度パッと映し出れたホログラムには、大量のコメントが流れていた。
《お》
《やっと気づいたww》
《見てるー?》
《やっほー》
《再びこんちは~》
「!?」
俺は頭が真っ白になりかけながらも、視聴者に尋ねてみる。
「あの、もしかして……ずっと映ってました?」
《もちろん》
《映ってたよ!笑》
《ばっちりなww》
《お姉さんこんにちは~》
《甘えてたねニヤニヤ》
《うらやましいぞ!》
「な、なんてこった……」
どうやら俺は配信を切ったのではなく、コメントを映し出す設定のON/OFFを切り替えていただけらしい。
つまり、俺が気づかない内に配信は続いてたってわけだ。
「うああああーーー!」
俺は思わず声を上げて悶絶した。
じゃあさっきの抱きつかれたのも、一応もらっておいたおやつを食べていたのも、全部見られたってことかよ!
そんなの恥ずかしぎるだろ!
《叫んでて草》
《悶絶してるww》
《たしかにちょっと恥ずいww》
《高校生だもんなあw》
《どんまい!笑》
《あー面白かったー!》
やってしまった。
俺は頭を抱えてゴロゴロと転がる。
「わあ。これが配信なんだね!」
そんな中、ここぞとばかりに姉さんがカメラに近づいた。
「どうも~。ホシ君のお姉さん、エリカで~す」
《こんにちは~!》
《エリカさん!》
《やばめっちゃ美人!!》
《こんなの人見た事ない!》
《日本人じゃないよね?》
《日本語うますぎじゃね?》
《きれいな人!!》
何やら盛り上がっているらしいけど、俺はもう頭がおかしくなってそれどころではない。
だけど、次の言葉には耳を疑った。
「すご~い。20万人にも見てくれてるよ~」
「に、20万人!?」
うそだろ、さっきは10万人だったはずなのに!
俺は勢いよく立ち上がった。
「そうだよ~、ほら」
「ま、まじかあ…………」
そんなの黒歴史確定じゃないか。
俺は再び気を失いかけた。
その間にも姉さんと配信は続く。
《お姉さんは、ホシ君とはどういう関係なんですか?》
「え、お姉さんとホシ君の関係? そうだなあ」
姉さんは俺の方を振り向く。
「言ってもいい?」
「……もう好きにして」
「それじゃあ~」
姉さんは、その黄緑色の髪をわざとらしくサラリをとなびかせて答えた。
「お姉さん、エルフなんです」
《エルフ!?》
《え、あのエルフ!?》
《まじかよ!》
《どおりで綺麗なわけだ!》
《これはエロフ》
「元はダンジョンにいたんだけど~、今はホシ君のお姉さんってわけだよ」
《はあ!?》
《うらやま》
《ずっる》
《ホシめ、けしからん奴だ!》
《エルフの姉ちゃんだと……》
俺は不思議に思って尋ねてみる。
「え、でもエルフって言ってもそんなに珍しくないんじゃ」
《何言ってんだよ!》
《珍しいどころじゃないぞ!》
《普通は人型ですらない》
《ただ緑の塊って感じだよな》
《それをこんなエロ……》
《けしからん!!》
どうやら俺の認識とは違ったらしい。
それどころか、普通は人型ですらないとか。
これも『魔素水』とやらの効果なのかな。
「ふふーん」
そんなコメント欄に、姉さんはニヤリとした。
「お姉さんのすごさ分かった?」
「いや全然」
「も~いじっぱり!」
「だからくっつくなー!」
《おっふ》
《お胸さんが》
《くっそ羨ましいぞ!》
《こんな姉いたらなあ》
そうして少しだけ話をした後、今度こそ配信を閉じる。
この事故は後に「切り抜き」とかいうものでさらにバズっていき、俺の黒歴史は拡散され続けるのであった。
ていうかナナミの奴、配信見てなかったのかよ。
見るって言ってたし、電話をくれてもいいじゃないか。
「うあああああー!!」
こうして、俺の初配信は終えたのだった。
★
その頃のナナミさん。
「女の人ぉ……」
気絶しており放送事故に気づかず。
740
お気に入りに追加
1,432
あなたにおすすめの小説
【完結】小さなフェンリルを拾ったので、脱サラして配信者になります~強さも可愛さも無双するモフモフがバズりまくってます。目指せスローライフ!〜
むらくも航
ファンタジー
ブラック企業で働き、心身が疲労している『低目野やすひろ』。彼は苦痛の日々に、とにかく“癒し”を求めていた。
そんな時、やすひろは深夜の夜道で小犬のような魔物を見つける。これが求めていた癒しだと思った彼は、小犬を飼うことを決めたのだが、実は小犬の正体は伝説の魔物『フェンリル』だったらしい。
それをきっかけに、エリートの友達に誘われ配信者を始めるやすひろ。結果、強さでも無双、可愛さでも無双するフェンリルは瞬く間にバズっていき、やすひろはある決断をして……?
のんびりほのぼのとした現代スローライフです。
他サイトにも掲載中。
【悲報】人気ゲーム配信者、身に覚えのない大炎上で引退。~新たに探索者となり、ダンジョン配信して最速で成り上がります~
椿紅颯
ファンタジー
目標である登録者3万人の夢を叶えた葭谷和昌こと活動名【カズマ】。
しかし次の日、身に覚えのない大炎上を経験してしまい、SNSと活動アカウントが大量の通報の後に削除されてしまう。
タイミング良くアルバイトもやめてしまい、完全に収入が途絶えてしまったことから探索者になることを決める。
数日間が経過し、とある都市伝説を友人から聞いて実践することに。
すると、聞いていた内容とは異なるものの、レアドロップ&レアスキルを手に入れてしまう!
手に入れたものを活かすため、一度は去った配信業界へと戻ることを決める。
そんな矢先、ダンジョンで狩りをしていると少女達の危機的状況を助け、しかも一部始終が配信されていてバズってしまう。
無名にまで落ちてしまったが、一躍時の人となり、その少女らとパーティを組むことになった。
和昌は次々と偉業を成し遂げ、底辺から最速で成り上がっていく。
ド田舎からやってきた少年、初めての大都会で無双する~今まで遊び場にしていたダンジョンは、攻略不可能の規格外ダンジョンだったみたい〜
むらくも航
ファンタジー
ド田舎の村で育った『エアル』は、この日旅立つ。
幼少の頃、おじいちゃんから聞いた話に憧れ、大都会で立派な『探索者』になりたいと思ったからだ。
そんなエアルがこれまでにしてきたことは、たった一つ。
故郷にあるダンジョンで体を動かしてきたことだ。
自然と共に生き、魔物たちとも触れ合ってきた。
だが、エアルは知らない。
ただの“遊び場”と化していたダンジョンは、攻略不可能のSSSランクであることを。
遊び相手たちは、全て最低でもAランクオーバーの凶暴な魔物たちであることを。
これは、故郷のダンジョンで力をつけすぎた少年エアルが、大都会で無自覚に無双し、羽ばたいていく物語──。
いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!
果 一
ファンタジー
二人の勇者を主人公に、ブルガス王国のアリクレース公国の大戦を描いた超大作ノベルゲーム『国家大戦・クライシス』。ブラック企業に勤務する久我哲也は、日々の疲労が溜まっている中、そのゲームをやり込んだことにより過労死してしまう。
次に目が覚めたとき、彼はゲーム世界のカイム=ローウェンという名の少年に生まれ変わっていた。ところが、彼が生まれ変わったのは、勇者でもラスボスでもなく、本編に名前すら登場しない悪役サイドのモブキャラだった!
しかも、本編で配下達はラスボスに利用されたあげく、見限られて殺されるという運命で……?
「ちくしょう! 死んでたまるか!」
カイムは、殺されないために努力することを決める。
そんな努力の甲斐あってか、カイムは規格外の魔力と実力を手にすることとなり、さらには原作知識で次々と殺される運命だった者達を助け出して、一大勢力の頭へと駆け上る!
これは、死ぬ運命だった悪役モブが、最凶へと成り上がる物語だ。
本作は小説家になろう、カクヨムでも公開しています
他サイトでのタイトルは、『いずれ殺される悪役モブに転生した俺、死ぬのが嫌で努力したら規格外の強さを手に入れたので、下克上してラスボスを葬ってやります!~チート魔法で無双してたら、一大勢力を築き上げてしまったんだが~』となります
目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう
果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。
名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。
日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。
ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。
この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。
しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて――
しかも、その一部始終は生放送されていて――!?
《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》
《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》
SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!?
暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する!
※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。
※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。
チートがちと強すぎるが、異世界を満喫できればそれでいい
616號
ファンタジー
不慮の事故に遭い異世界に転移した主人公アキトは、強さや魔法を思い通り設定できるチートを手に入れた。ダンジョンや迷宮などが数多く存在し、それに加えて異世界からの侵略も日常的にある世界でチートすぎる魔法を次々と編み出して、自由にそして気ままに生きていく冒険物語。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる