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第10話 明らかに日本人ではないお姉さん
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「はっ、はっ!」
「キュイ、キュイッ!」
俺は急いで地上へと駆け上がる。
リビングに顔を出すと、そこにはさっき聞こえた声の主がいた。
「……姉さん」
「あ、ホシく~ん!」
「おかえり」
「たーだいまっ!」
「んむっ!」
目が合った瞬間、いきなり柔らかな感触に包まれる。
「く、苦しいって」
「え~いいじゃない、ちょっとぐらい!」
「毎日だからだよ。はい離れて」
「やん」
柔らかな感触から離れて見上げると、拗ねた表情をしている女性。
彼女は『エリカ』姉さん。
血は繋がっていないけど、「お姉さん」と呼んでと言われているからそうしてる。
「も~冷たいなあ」
腰あたりまで伸びたサラサラな黄緑色の髪。
スカイブルーの瞳。
胸が大きく出た豊満なボディ。
見た目通り日本人ではない。
でも、ずっと一緒にいるからもう慣れた。
両親がいないこの家で過ごせるのは、姉さんのおかげでもある。
だけど、一緒に過ごす難点はいくつか。
「じゃあおやつ食べよっか」
「ガキじゃないから。あと頭撫でないで」
まずは甘やかすのが大好きなことだ。
俺も高校生だし、そろそろ恥ずかしい。
とは言いつつも、一応おやつはもらっておいた。
一応ね。
「お姉さん、今日は料理教室に行ってたんだよ」
「へー」
姉さんが出したパンケーキを食べながら、なんとなく話す。
「キュイ~!」
めろんにはダンジョンで採れる果物だ。
喜んで食べる姿は可愛い。
「それでね」
「え、うん。……ん?」
姉さんはゆっくりとこちらを振り返った。
「さっきは何をしてたのかな?」
「え」
「地下からすごく急いできたみたいだったけど?」
「な、なんのことだか……さっぱり」
さっきのことと言えば、もう配信しかない。
俺は目を逸らしながら隠す。
「本当にそうかな?」
「……うん」
「ふーん?」
「ち、近いって」
だけど、横を向いても下を向いても、姉さんは視界に入ってくる。
やがて姉さんは俺の後方に目を向けた。
「じゃあ、それはなにかな?」
「……!」
姉さんが指差した方向には、浮遊型カメラ。
何故かまだ浮いていて、こちらを映してる。
ここまで言われれば仕方がないか。
「……配信をやってたんだよ」
「へえ配信! それはすごい! じゃあ~」
「なに?」
何が言いたいか分かっていながらも聞き返す。
「お姉さんも配信に載りたい!」
「ダメ」
「がーん!」
姉さんは口を四角にして落ち込んだ。
なんともわかりやすい。
「ど、どうして?」
うるうると涙ぐませながらお願いしてくる姉さん。
それでも俺は断る。
「……恥ずかしいから」
「なにがー?」
「だって絶対配信でもこの調子でしょ」
「そりゃもちろん!」
姉さんは立ち上がり、人差し指をピンと伸ばした。
「お姉さんとホシ君が仲良しってことをみんなに見せないと!」
「うん。だからダメ」
「も~!」
ぷんぷん、と言いながら姉さんは両手を腰に当てた。
もうそんなのが似合う年じゃないと思うけどな。
「ごちそうさま」
「はーい」
パンケーキは美味しく頂いたので、俺は浮遊型カメラに近づく。
「どうやって止めるんだっけ」
ナナミから譲ってもらった時は、段ボールに収まっていたはず。
だから地下ダンジョンに置いてきたと思ったんだけど。
「うーん?」
色々といじっている内に、カメラの上部分が赤く光っていることに気づく。
「え」
俺はナナミの言葉を思い出した。
『ここが光ってる時は配信中なのよ』
「……!?」
ちょっとまって、冗談だろ!
俺は焦りながら配信を確認する。
だけど、時はすでに遅かった。
「キュイ、キュイッ!」
俺は急いで地上へと駆け上がる。
リビングに顔を出すと、そこにはさっき聞こえた声の主がいた。
「……姉さん」
「あ、ホシく~ん!」
「おかえり」
「たーだいまっ!」
「んむっ!」
目が合った瞬間、いきなり柔らかな感触に包まれる。
「く、苦しいって」
「え~いいじゃない、ちょっとぐらい!」
「毎日だからだよ。はい離れて」
「やん」
柔らかな感触から離れて見上げると、拗ねた表情をしている女性。
彼女は『エリカ』姉さん。
血は繋がっていないけど、「お姉さん」と呼んでと言われているからそうしてる。
「も~冷たいなあ」
腰あたりまで伸びたサラサラな黄緑色の髪。
スカイブルーの瞳。
胸が大きく出た豊満なボディ。
見た目通り日本人ではない。
でも、ずっと一緒にいるからもう慣れた。
両親がいないこの家で過ごせるのは、姉さんのおかげでもある。
だけど、一緒に過ごす難点はいくつか。
「じゃあおやつ食べよっか」
「ガキじゃないから。あと頭撫でないで」
まずは甘やかすのが大好きなことだ。
俺も高校生だし、そろそろ恥ずかしい。
とは言いつつも、一応おやつはもらっておいた。
一応ね。
「お姉さん、今日は料理教室に行ってたんだよ」
「へー」
姉さんが出したパンケーキを食べながら、なんとなく話す。
「キュイ~!」
めろんにはダンジョンで採れる果物だ。
喜んで食べる姿は可愛い。
「それでね」
「え、うん。……ん?」
姉さんはゆっくりとこちらを振り返った。
「さっきは何をしてたのかな?」
「え」
「地下からすごく急いできたみたいだったけど?」
「な、なんのことだか……さっぱり」
さっきのことと言えば、もう配信しかない。
俺は目を逸らしながら隠す。
「本当にそうかな?」
「……うん」
「ふーん?」
「ち、近いって」
だけど、横を向いても下を向いても、姉さんは視界に入ってくる。
やがて姉さんは俺の後方に目を向けた。
「じゃあ、それはなにかな?」
「……!」
姉さんが指差した方向には、浮遊型カメラ。
何故かまだ浮いていて、こちらを映してる。
ここまで言われれば仕方がないか。
「……配信をやってたんだよ」
「へえ配信! それはすごい! じゃあ~」
「なに?」
何が言いたいか分かっていながらも聞き返す。
「お姉さんも配信に載りたい!」
「ダメ」
「がーん!」
姉さんは口を四角にして落ち込んだ。
なんともわかりやすい。
「ど、どうして?」
うるうると涙ぐませながらお願いしてくる姉さん。
それでも俺は断る。
「……恥ずかしいから」
「なにがー?」
「だって絶対配信でもこの調子でしょ」
「そりゃもちろん!」
姉さんは立ち上がり、人差し指をピンと伸ばした。
「お姉さんとホシ君が仲良しってことをみんなに見せないと!」
「うん。だからダメ」
「も~!」
ぷんぷん、と言いながら姉さんは両手を腰に当てた。
もうそんなのが似合う年じゃないと思うけどな。
「ごちそうさま」
「はーい」
パンケーキは美味しく頂いたので、俺は浮遊型カメラに近づく。
「どうやって止めるんだっけ」
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だから地下ダンジョンに置いてきたと思ったんだけど。
「うーん?」
色々といじっている内に、カメラの上部分が赤く光っていることに気づく。
「え」
俺はナナミの言葉を思い出した。
『ここが光ってる時は配信中なのよ』
「……!?」
ちょっとまって、冗談だろ!
俺は焦りながら配信を確認する。
だけど、時はすでに遅かった。
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