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第一章 ホシとペットと仲間と
第2話 絶望状況からの
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<三人称視点>
「う、うそ……!」
ナナミは目の前の状況に絶望していた。
「──ギャオオオオオオオ!!」
こちらを睨んでいるのは『ワイバーン』。
討伐記録は未だなく、見つかったのすら最近の下層に潜む魔物。
しかし、誰もが知るSランク魔物だ。
理由は、最近起こった一つの事件。
先日、日本でもトップクラスと呼ばれる超有名配信者を含むSランクパーティーが、このワイバーンと遭遇している。
その結果は──『撤退』。
彼らは果敢に挑むも、犠牲が出る前に引き下がることとなった。
後に帰還した彼らは「あれは無理だ」と話し、大きな話題になっていたのだ。
「──ギャオオオオ!!」
だが、ワイバーンは待ってくれない。
二度目の咆哮と共に尻尾を振り回し、ナナミの目の前に迫る。
「!!」
横から伸びてきたのはホシの腕。
ナナミは咄嗟に突き飛ばされ、ホシが代わりに尻尾に叩きつけられた。
「そん、な……!」
浮遊型カメラはすでに「残虐描写設定」をONにし、画面の一部にモザイクがかかっている。
それでも何が起こっているかは、視聴者には容易に想像ができた。
《ホシ君ー!!》
《うそだろ……》
《さっきまであんな楽しかったのに》
《逃げて!》
《ナナミちゃんだけでも!》
《今すぐ動いて!》
この場にいるのは、ナナミと「Fランク探索者」だという幼馴染のホシだけ。
それもたった今、尻尾に叩きつけられてしまったが。
コメント欄は一斉に「逃げて!」との文字で埋まる。
「……っ!」
だが今の光景を見て、ナナミは立ち上がることができなくなってしまった。
入り混じるのは「恐怖」と「後悔」。
その思いが自然に口から出ていく。
「ごめん、なさい……ホシ」
自分が誘ったばかりに幼馴染を巻き込んでしまった。
久しぶりに会いたくて、今の自分を見てほしくて呼んだのに、まさかこんなことになってしまうなんて。
加えて……思い出すのはもう一人。
「ごめんなさい、お母さん……」
女手一つで自分を育ててくれた母。
高校生になり、少しでも楽をさせてあげたくて始めたダンジョン配信。
それがこんな形で終わってしまうなんて。
「──ギャオオオオオオオ!」
ワイバーンの開いた口に炎が集まり、巨大な火球となる。
代名詞である『ファイアブレス』だ。
先日のSランクパーティーはこれによって撤退を余儀なくされた。
「ごめんなさい」
ナナミは目を閉じた。
そして、ブレスが放たれようとする──その時。
「ていやー!」
──ドガアアアアアアア!
なんとも腑抜けた声と共に、轟音が辺りに響き渡った。
「……え!?」
《!?》
《なんだ!?》
《何事?》
《何が起きた!?》
《すげえ音したぞ!?》
《どこから!?》
困惑するナナミ、そしてコメント欄。
聞こえてくるのは一つの声。
「大丈夫?」
「……えっ」
優しい声と共に、差し伸ばされる手。
ナナミはその主を確かめるように見上げた。
さらに、高性能なカメラはとっさに「残虐描写設定」を停止。
モザイクなしの最高画質に切り替わり、ナナミの視線と同じく徐々に上に傾く。
「ケガはない?」
「……!」
そこに立っていたのは、ホシだった。
「う、うそ……!」
ナナミは目の前の状況に絶望していた。
「──ギャオオオオオオオ!!」
こちらを睨んでいるのは『ワイバーン』。
討伐記録は未だなく、見つかったのすら最近の下層に潜む魔物。
しかし、誰もが知るSランク魔物だ。
理由は、最近起こった一つの事件。
先日、日本でもトップクラスと呼ばれる超有名配信者を含むSランクパーティーが、このワイバーンと遭遇している。
その結果は──『撤退』。
彼らは果敢に挑むも、犠牲が出る前に引き下がることとなった。
後に帰還した彼らは「あれは無理だ」と話し、大きな話題になっていたのだ。
「──ギャオオオオ!!」
だが、ワイバーンは待ってくれない。
二度目の咆哮と共に尻尾を振り回し、ナナミの目の前に迫る。
「!!」
横から伸びてきたのはホシの腕。
ナナミは咄嗟に突き飛ばされ、ホシが代わりに尻尾に叩きつけられた。
「そん、な……!」
浮遊型カメラはすでに「残虐描写設定」をONにし、画面の一部にモザイクがかかっている。
それでも何が起こっているかは、視聴者には容易に想像ができた。
《ホシ君ー!!》
《うそだろ……》
《さっきまであんな楽しかったのに》
《逃げて!》
《ナナミちゃんだけでも!》
《今すぐ動いて!》
この場にいるのは、ナナミと「Fランク探索者」だという幼馴染のホシだけ。
それもたった今、尻尾に叩きつけられてしまったが。
コメント欄は一斉に「逃げて!」との文字で埋まる。
「……っ!」
だが今の光景を見て、ナナミは立ち上がることができなくなってしまった。
入り混じるのは「恐怖」と「後悔」。
その思いが自然に口から出ていく。
「ごめん、なさい……ホシ」
自分が誘ったばかりに幼馴染を巻き込んでしまった。
久しぶりに会いたくて、今の自分を見てほしくて呼んだのに、まさかこんなことになってしまうなんて。
加えて……思い出すのはもう一人。
「ごめんなさい、お母さん……」
女手一つで自分を育ててくれた母。
高校生になり、少しでも楽をさせてあげたくて始めたダンジョン配信。
それがこんな形で終わってしまうなんて。
「──ギャオオオオオオオ!」
ワイバーンの開いた口に炎が集まり、巨大な火球となる。
代名詞である『ファイアブレス』だ。
先日のSランクパーティーはこれによって撤退を余儀なくされた。
「ごめんなさい」
ナナミは目を閉じた。
そして、ブレスが放たれようとする──その時。
「ていやー!」
──ドガアアアアアアア!
なんとも腑抜けた声と共に、轟音が辺りに響き渡った。
「……え!?」
《!?》
《なんだ!?》
《何事?》
《何が起きた!?》
《すげえ音したぞ!?》
《どこから!?》
困惑するナナミ、そしてコメント欄。
聞こえてくるのは一つの声。
「大丈夫?」
「……えっ」
優しい声と共に、差し伸ばされる手。
ナナミはその主を確かめるように見上げた。
さらに、高性能なカメラはとっさに「残虐描写設定」を停止。
モザイクなしの最高画質に切り替わり、ナナミの視線と同じく徐々に上に傾く。
「ケガはない?」
「……!」
そこに立っていたのは、ホシだった。
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