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第63話 やすひろの想い
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「きっと両者は仲良くできます! この一件、俺たちに任せてもらえませんか!」
フクマロと同じ種族『フェンリル』が争っているのは、ぽよちゃんと同じ種族『インフィニティスライム』だった。
思うところはある。
でも、それ以上に!
「里長さんも、ぽよちゃんが悪い魔物ではないことは分かってると思います」
「う、うむ……」
里長さん自身、ぽよちゃんに恨みはないと言った。
ただ立場上、争っている種族であるがゆえに捕えなければならなかったんだ。
だけど、フクマロとぽよちゃん、うちの他のみんなを見れば分かる。
ぽよちゃんはうちのペット達とすごく仲良しだった。
これが示していることは!
「きっと戦いを止めることができると思うんです!」
「やすひろ殿……」
少し上を見上げ、里長さんはもう一度目を合わせた。
「決して無理をしてはならんぞ」
「! ということは……!」
「うむ。やすひろ殿、どうか頼らせてもらえるか」
「はい!」
里長さんに強く首を縦に振った。
「じゃが、警戒態勢は怠らん。加えて、何かあればすぐにこちらからも攻撃は仕掛ける。そこは了承してもらわねばらならん」
「分かりました」
それは当然だろう。
俺が失敗して、そのまま里ごと壊滅ともなれば話にならないからな。
「じゃが、どうするつもりじゃ」
「そうですね……」
「ワフ」
里長さんの質問に、俺はフクマロと顔を見合わせた。
頷いたフクマロを見て確信する。
考えは同じだったみたいだ。
「いつも通りの俺たちを見せるだけです」
「ふむ?」
里長さんはピンと来ていないようだが、話を進めさせてもらった。
ここからは実際に見てもらった方が良いだろう。
「でもその前に、ぽよちゃんと美月ちゃんは解放してください」
「……よかろう」
里長さんは周りのフェンリル達に目配せをする。
「やすひろさん……!」
「ぽよー!」
解放された二人も一安心したみたいだ。
「ごめんね。怖い思いをさせちゃって」
「いえ、これに関しては悪い人はいません」
「ぽよっ!」
二人とも、フェンリル側の気持ちも汲んでいるようだ。
心が広くて素直に尊敬すべき点だな。
「じゃあ早速だけど──」
「はい」
「ぽよ」
そうして、作戦を伝えると共に里の外へと飛び出した。
★
<三人称視点>
『地獄谷』の森林部、最奥。
隠されたフェンリルの里の近くでもある。
「ポヨオオオォォォ……!」
低く響き渡る呻き声を上げ、ゆっくりと移動する大きな大きなスライム。
真ん丸な体は七色に光り、まるで陽の光を反射しているかのようだ。
「ポヨオオオォォ……!」
これこそが、ぽよちゃんと同じ種族であり、フェンリルと争う種族『インフィニティスライム』、その親玉個体だ。
「ボヨ」
「ブヨ」
「ポヨ」
また、周りには通常スライムと同じサイズのスライム達も、その身を跳ねさせながら進軍する。
だが、体は同じく七色に光り、その光景をよりファンタジーに染め上げている。
そんなところに、
「ぽよっ!」
一匹のスライム。
サイズは小さく、水色の体をしている。
美月ちゃんのペットのぽよちゃんである。
「ぽよ! ぽよよ!」
ぴょんぴょんとその場で跳ね、何かを訴えかけている。
インフィニティスライムの進軍もそれを聞くよう立ち止まっていた。
しかし、
「ポヨオオオォォォ……!」
「ぽよっ!?」
インフィニティスライムの親玉が再び動き出したことで、進軍が再開されてしまった。
「ま、だろうな」
『ああ、これで止まったら拍子抜けだぜ』
だがこれは、やすひろ・えりとの想定通り。
次なる手段はすでに用意されている。
そうして、インフィニティスライムの前に姿を現したのは──
「ワフ」
まさに戦いを行っている種族である『フェンリル』のフクマロだった。
フクマロと同じ種族『フェンリル』が争っているのは、ぽよちゃんと同じ種族『インフィニティスライム』だった。
思うところはある。
でも、それ以上に!
「里長さんも、ぽよちゃんが悪い魔物ではないことは分かってると思います」
「う、うむ……」
里長さん自身、ぽよちゃんに恨みはないと言った。
ただ立場上、争っている種族であるがゆえに捕えなければならなかったんだ。
だけど、フクマロとぽよちゃん、うちの他のみんなを見れば分かる。
ぽよちゃんはうちのペット達とすごく仲良しだった。
これが示していることは!
「きっと戦いを止めることができると思うんです!」
「やすひろ殿……」
少し上を見上げ、里長さんはもう一度目を合わせた。
「決して無理をしてはならんぞ」
「! ということは……!」
「うむ。やすひろ殿、どうか頼らせてもらえるか」
「はい!」
里長さんに強く首を縦に振った。
「じゃが、警戒態勢は怠らん。加えて、何かあればすぐにこちらからも攻撃は仕掛ける。そこは了承してもらわねばらならん」
「分かりました」
それは当然だろう。
俺が失敗して、そのまま里ごと壊滅ともなれば話にならないからな。
「じゃが、どうするつもりじゃ」
「そうですね……」
「ワフ」
里長さんの質問に、俺はフクマロと顔を見合わせた。
頷いたフクマロを見て確信する。
考えは同じだったみたいだ。
「いつも通りの俺たちを見せるだけです」
「ふむ?」
里長さんはピンと来ていないようだが、話を進めさせてもらった。
ここからは実際に見てもらった方が良いだろう。
「でもその前に、ぽよちゃんと美月ちゃんは解放してください」
「……よかろう」
里長さんは周りのフェンリル達に目配せをする。
「やすひろさん……!」
「ぽよー!」
解放された二人も一安心したみたいだ。
「ごめんね。怖い思いをさせちゃって」
「いえ、これに関しては悪い人はいません」
「ぽよっ!」
二人とも、フェンリル側の気持ちも汲んでいるようだ。
心が広くて素直に尊敬すべき点だな。
「じゃあ早速だけど──」
「はい」
「ぽよ」
そうして、作戦を伝えると共に里の外へと飛び出した。
★
<三人称視点>
『地獄谷』の森林部、最奥。
隠されたフェンリルの里の近くでもある。
「ポヨオオオォォォ……!」
低く響き渡る呻き声を上げ、ゆっくりと移動する大きな大きなスライム。
真ん丸な体は七色に光り、まるで陽の光を反射しているかのようだ。
「ポヨオオオォォ……!」
これこそが、ぽよちゃんと同じ種族であり、フェンリルと争う種族『インフィニティスライム』、その親玉個体だ。
「ボヨ」
「ブヨ」
「ポヨ」
また、周りには通常スライムと同じサイズのスライム達も、その身を跳ねさせながら進軍する。
だが、体は同じく七色に光り、その光景をよりファンタジーに染め上げている。
そんなところに、
「ぽよっ!」
一匹のスライム。
サイズは小さく、水色の体をしている。
美月ちゃんのペットのぽよちゃんである。
「ぽよ! ぽよよ!」
ぴょんぴょんとその場で跳ね、何かを訴えかけている。
インフィニティスライムの進軍もそれを聞くよう立ち止まっていた。
しかし、
「ポヨオオオォォォ……!」
「ぽよっ!?」
インフィニティスライムの親玉が再び動き出したことで、進軍が再開されてしまった。
「ま、だろうな」
『ああ、これで止まったら拍子抜けだぜ』
だがこれは、やすひろ・えりとの想定通り。
次なる手段はすでに用意されている。
そうして、インフィニティスライムの前に姿を現したのは──
「ワフ」
まさに戦いを行っている種族である『フェンリル』のフクマロだった。
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