【完結】小さなフェンリルを拾ったので、脱サラして配信者になります~強さも可愛さも無双するモフモフがバズりまくってます。目指せスローライフ!〜

むらくも航

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第46話 モフモフ協力大作戦!

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「よし、あのボルケーノダイルを攻略するぞ!」
「ゴアアアアアッ!」

 俺たちの意思を感じ取ったのか、火口から顔を出すワニ型魔物ボルケーノダイルが咆哮ほうこうを上げた。

《こええええ》
《くそ強そう》
《怒ってる?》
《敵対しちゃったか》
《火口の中に棲んでるのにどうするんだ?》
《マグマには入れないし》

 コメントの言う通りだ。
 ここは正面突破といきたいが、タンポポが飛んでいるこの距離ですら熱い。
 不用意に近付くのはうちのペット達でも避けたい。

 そうと決まれば!

「どうすればいい」
清々すがすがしいほどのお任せだな』
「頼りにしてるからな」
『ったく、よく聞けよ』

 無茶ぶりにも答えてくれるえりと。
 やっぱり最高の相棒だ。

『俺たちの目的は、あくまであの岩のような皮膚だ。何も倒す必要はない』
「お、そっか」

 おそらくあの皮膚が火口かこう岩だという話だったな。
 ならば、あれを一部分でも持ち帰るのがこちらの勝利条件だ。

「となると?」
決め手リーサルはモンブランのかまいたちだ。あれで皮膚をぎ取ってさっさと退散しろ』
「けど、それじゃワニさんが──」
『ワニ型の魔物の皮膚はしばらくすれば再生する。ちょっと分けてもらうぐらい造作ぞうさもない』

 えりとは的確な指示、安心できる情報をすぐさまくれる。
 
「じゃあ、モンブランが攻撃に集中できるよう、体制を整えればいいんだな!」
『そういうこった!』

 やるべきことは整理した。
 あとは俺とみんなのコンビネーション次第だ。

 だけど、火口付近が熱くてみんなが着地出来ない。
 そんな時、ココアが声を上げる。

「キュル!」
「何か策があるのか?」
「キュル、キュルル!」

 自分のお腹をポンポンと鳴らしてアピールするココア。

「えと、自分の覚醒姿はモフモフが多いから耐えられる?」
「キュル!」
「分かった!」

 ココアが覚醒すれば、ちょっと太っちょになり、モフみが増す。
 確かにあのモフモフボディなら、熱さにも耐えられそうではある。

 もちろん火口に直接ダイブではなく、円形のふち部分に着地させる。
 
「よし、タンポポは火口近くに! ココアは覚醒して、モンブランはその上に乗るんだ!」
「プク!」
「キュル!」
「ニャニャ!」
 
 迅速じんそくに動き出す三匹。

「キュル~~~~!」

 指示通り、ココアは飛び降りて空中で覚醒。
 ぽよんっと少しバウンドして火口の縁部分に着陸し、モンブランは小猫姿のままココアのお腹に乗った。

「ムニャア」

 構えを取るモンブラン。
 いつでもかまいたちを放てる状態だ。

《ぷっくらお腹かわいい》
《トランポリンみたいw》
《お腹おっきいもんね笑》
《これはモンココ?》
《モンブラン、完全に侍だろ》
《達人の構え》

 モンブランの準備は整った。

「これなら──」
『まだだ。その距離じゃ正確性に欠ける。一度狙いがバレれば、二度と姿を現さない可能性もあるぞ!』
「そうか」

 えりとの言う通りだ。
 いくらモンブランでも、皮膚と皮膚の間を正確に斬るのは至難のわざだ。
 できそうではあるけど、失敗のリスクを考えればもう一手何かがほしいところ。

「ワフッ!」 
「フクマロ、いけるのか!」
「ワフー!」

 次に声を上げたのはフクマロ。
 何か考えがあるみたいだ、ここは任せてみよう。

「頼んだぞ!」
「クゥ~~~~ン!」

 タンポポから飛び出したフクマロは空中で覚醒。
 そしてそのまま……火口に突っ込んでいく!?

「フクマロー!」
「ゴアアッ!」

 突然向かってくるフクマロに対し、ボルケーノダイルは火の岩を吐く。

「ワフッ!」
「おおっ!」

 だがそれを空中で華麗にかわし、

「ウ~~ワフッ!」
「ゴアッ!?」

 ボルケーノダイルに渾身のキック。
 そしてそのまま、マグマに入ることなくぴょーんと反対側のふちまで跳んだ。
 フクマロの機動力あってこその芸当だ。

《かっけええ!!》
《フクマロくーん!》
《ライダーキックw》
《動きはえ~》
《キックと同時に跳ぶのもさすが》
《身体能力えぐいな》
 
「ゴアァ……」
「……!」

 今のフクマロのキックでボルケーノダイルがクラっとしている。
 これは大チャンスだ!

「モンブラン! 今だ!」
「……ムニャ」

 達人のように静かにかまいたちを繰り出し、火口に背を向けるモンブラン。
 その居合いは一瞬の間を置き、皮膚の一部分が打ちあがる。
 目的の火口岩だ!

《またつまらぬものを斬ってしまったニャ》
《ごえ〇んかよwww》
《かっけえw》
《完全に達人のそれ》
《かっこかわいいw》
《モンブランちゃんすごい!》

「タンポポ!」
「プクー!」

 盛り上がるコメント欄を横目に、タンポポに指示を出して打ちあがった火口岩をキャッチさせる。
 これで目的は達成だ!

『やるじゃねえか!』
「ああ、みんなよくやった!」
「ワフッ!」
「キュル!」
「プク!」
「……ムニャ」

《ナイスコンビプレイ!》
《息ぴったり!》
《それぞれ単独でも強いのに》
《チームワークもいいのすげえ》
《みんな見せ場があったね!》
《究極のかっこかわいい》
《四匹とも大活躍!》

 みんなの言う通りだ。
 それぞれが最強種族なのにここまで息ぴったりなチームプレイができる。
 これも、日頃みんなで遊んでいる恩恵だな。

 しかし、

「ゴ、ゴアアアアッ!」
「うおっ!」

 そんなことを考えている内に、我を取り戻したボルケーノダイルが怒りの咆哮を上げる。

「まずい!」

 火口という圧倒的不利な場所であのクラスの魔物に暴れられたら、四匹でも対処できない。
 最悪火口噴火というシナリオまであるぞ。

『急いで退散しろ、やすひろ!」
「おう! みんな掴まれー!」

 フクマロ、モンブラン、ココア、それぞれが覚醒を解き、タンポポと一緒に順に回収する。

「ごめんねワニさーん!」
「ゴアアアアアッ!」

 なんとか皮膚の一部分である火口岩をもらい、俺たちは一目散に帰ったとさ。
 モフモフ協力大作戦、成功!
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