44 / 79
第44話 世界樹にも寒さ対策って必要だよね
しおりを挟む
とある平日のお昼前。
家横の世界樹頂上。
「寒くね?」
「分かる」
えりとの言葉にぶんぶんと首を縦に振った。
今は11月。
金英高校文化祭からはそれなりに日が経ち、じきに冬に差し掛かる。
高さが40メートル近くにまで伸びるこの頂上は、かなり寒い。
「そういえば、寒さ対策は全然考えてなかったな」
「えりとにしては珍しいよな」
「ああ。俺らしくねえミスだ」
「……自分で言うのか」
ココアが自在に覚醒できるようになり、『覚醒ダンジョン種』が容易に手に入るようになった。
その甲斐あって、世界樹の頂上は「展望台」、「四季折々の木々」、「畑」を作ってなお余るスペースがある。
でも、寒い!
季節だけはどうにもならん!
「これは早急に対策が必要だな」
「激しく同意」
そんなこんなで、俺たちは対策を練ることに。
場所は変わっておうちの中。
「確かに寒さ対策は必要ですね~」
「めどさんもそう思うだろ」
えりとは、目銅佐オーナーが用意してくれたお昼をモグモグしながら彼女と話している。
彼女を「めどさん」と呼ぶのはえりとぐらいだ。
オーナーがどうして居るかは省いていいだろう。
「えりとさんにしては珍しいミスで──」
「そのくだりはもうやったからいいよ」
「ええっ!」
というか、最近この二人仲良くない?
なんてふと思ってみたり。
おっと、いかんいかん。
俺も会話に参加せねば。
「えりとは何かアイディアないの?」
「まー、あるっちゃある」
「あるのか!」
さすが、我らの頭脳えりとくん。
「『世界樹ダンジョン』を浮かべてくれ」
「ふむ」
『世界樹ダンジョン』とは、つい最近まで俺たちが『新興ダンジョン』と呼んでいたあれだ。
先日、晴れて名称が付けられた。
「東の方に火山があっただろ」
「あー、あるある」
『世界樹ダンジョン』は一言で言えば、恐竜が生きていた時代のような風景。
その代表とも言える火山も当然あった。
「あそこで面白いものが見つかったんだよ」
「なにそれ」
「『火口岩』」
花崗岩ではなく、火口岩。
ギャグみたいな名前だな。
「『世界樹ダンジョン』でしか発見されていない、熱エネルギーを持つ岩らしい。最近研究所で見たんだが、研究用に取られちまってよ」
「そりゃ仕方ない」
俺んちでぬくぬくする為に使うより、研究で使ってもらった方が有意義だ。
「だから市場にも出回っていない。獲得できたのは一つだからな」
「ん? うん」
あれ、気のせいかな。
段々と誘導されているような……。
「てことで」
えりとは俺の肩にポンと手を乗せた。
「頼むわ」
「やっぱりな!」
絶対こうなると思った!
★
ここは『世界樹ダンジョン』の入口。
あの話の後、俺たちはすぐやってきた。
「思い立ったが吉日」というやつだ。
「おお……やっぱすげえな」
遠くに聳え立つは、ダンジョンのシンボルである世界樹。
「プクー!」
故郷に帰って来て嬉しいのか、タンポポがさっきから反応を示している。
こんなすごい景色、しっかりと共有しないとな。
そう思い、俺はカメラを前に向ける。
「どうですか皆さん! この景色!」
《すげえええ!!》
《世界樹ダンジョンやべえ》
《恐竜の時代みたい!》
《白亜紀だな》
《これがタンポポちゃんの故郷か~》
《タンポポ興奮しててかわよ》
今回はただの探索ではなく、なんと『世界樹ダンジョン』の先行配信許可が出た。
まだ一般には解禁されていないこのダンジョンだが、えりとが俺の「世界樹の畑」や「天空城」の功績を盾に許可を取ってきたそう。
相変わらずちゃっかりしてやがる。
俺としては心強い限りだけどね。
《久しぶりのダンジョン配信嬉しい》
《雑談もいいけどやっぱダンジョンだよな》
《金英の文化祭で知ったよ!》
《初見です》
《配信は初めてだ》
《最近ハマってます!》
ダンジョン配信を望んでいた声がたくさんある。
前にこの『世界樹ダンジョン』で星空を映した時は、探索の配信許可は出ていなかったからな。
それに、この前の文化祭の話題から知ってくれた人も多数いるみたいだ。
やはりあの影響力はすごかったよう。
えりとの話では、CM出演の話もまた新たに来ているそうだ。
「それにしても今日はすごいな……」
そんな影響もあってか、配信開始直後ですでに5万人近くの視聴者がいる。
先行配信ということで、探索者たちも見に来てくれたりしているのかな。
《そろそろ進みませんか》
《今日はどこを探索するの?》
《前の星空は世界樹だったんだよね》
「あ、そうでした! 今日はあそこです!」
コメントに聞かれ、ハッと目的を思い出す。
今日の目的地は火山。
入口から東側に位置するそれは、まさに恐竜時代の風景を代表するような大きな火山だ。
世界樹に負けるとも劣らない迫力があり、東側の森林を抜けると着くようだ。
『じゃ、そろそろ行こうか』
「おう」
聞こえてくるのはえりとの通信。
最近はすっかりサポート役がハマってんな。
すると、
《えりときたあああ!》
《相棒!!》
《ガチの有能》
《やすひろの右腕》
《意外と声かっこいい》
《ちょくちょくSNSに映ってる人だよね》
コメントが一気に盛り上がる。
今回はえりとの通信も配信に入れてみたんだ。
『ったく、やりにくいな』
「ははっ。いつも通りで大丈夫だって」
『ちょっとは意識するだろうが』
今まで裏で活躍していたえりと。
その活躍が段々と明るみになり、最近はえりとの方も聞きたいという声が大きくなった。
今回は初めてお試しをしてみるけど、思ったより人気があったみたい。
『まあいい。さっさと行くぞ』
「了解!」
「ワフ!」
「ムニャ!」
「キュル!」
えりとの号令で、俺含めペット達にも気合が入る。
ここからは早速、探索開始だ。
といってもかなり楽なんだけどね。
「てことでタンポポ、頼めるか?」
「プククク……プク~~~!」
「よーし!」
ペット達お流行りの『覚醒ごっこ』の効果か、随分と覚醒までがスムーズになった。
大きくなったモフモフの毛並み。
低反発で沈み込むので、横になったら気持ち良くて寝てしまいそうだ。
《いいなあ》
《気持ちよさそ~》
《ふかふかベッドだ!》
《ずるーい!》
《相当モフい》
《やっぱタンポポちゃんよね!》
タンポポもすっかり大人気で嬉しい。
四匹目でここまで人気になれるのもすごいと思う。
「では、失礼してっと」
俺は寝転がるようにタンポポに乗る。
フクマロ達も俺にならった。
「ワフっと」
「ニャフっと」
「キュルっと」
「ん!?」
今、みんな喋らなかったか?
さ、さすがに気のせいか……?
『どうした?』
「……いや、なんでも。と、とにかく、頼むぞタンポポ!」
タンポポは両腕を広げて皮膜を展開。
そのままバサっ! と大きく一振りをして、高く舞い上がった。
「プククー!」
「よし行けー!」
俺が声を上げると、えりとが通信を入れてくる。
『なんだかやけに張り切ってねえか?』
「お、そう見える?」
『また何か企んでやがるのか』
「まあ、そうとも言うかな」
《なんだなんだ》
《やすひろは基本ぶっ飛んでるからな》
《ワクワク》
俺たちの会話にコメントが加速した。
そっか、今言っておいてもいいのかも。
「俺は──」
タンポポが飛び立ち、滑空しながら気持ちよく進む中、俺は考えていた事を堂々と宣言した。
「世界樹の上に温泉を作りたいんだ!」
家横の世界樹頂上。
「寒くね?」
「分かる」
えりとの言葉にぶんぶんと首を縦に振った。
今は11月。
金英高校文化祭からはそれなりに日が経ち、じきに冬に差し掛かる。
高さが40メートル近くにまで伸びるこの頂上は、かなり寒い。
「そういえば、寒さ対策は全然考えてなかったな」
「えりとにしては珍しいよな」
「ああ。俺らしくねえミスだ」
「……自分で言うのか」
ココアが自在に覚醒できるようになり、『覚醒ダンジョン種』が容易に手に入るようになった。
その甲斐あって、世界樹の頂上は「展望台」、「四季折々の木々」、「畑」を作ってなお余るスペースがある。
でも、寒い!
季節だけはどうにもならん!
「これは早急に対策が必要だな」
「激しく同意」
そんなこんなで、俺たちは対策を練ることに。
場所は変わっておうちの中。
「確かに寒さ対策は必要ですね~」
「めどさんもそう思うだろ」
えりとは、目銅佐オーナーが用意してくれたお昼をモグモグしながら彼女と話している。
彼女を「めどさん」と呼ぶのはえりとぐらいだ。
オーナーがどうして居るかは省いていいだろう。
「えりとさんにしては珍しいミスで──」
「そのくだりはもうやったからいいよ」
「ええっ!」
というか、最近この二人仲良くない?
なんてふと思ってみたり。
おっと、いかんいかん。
俺も会話に参加せねば。
「えりとは何かアイディアないの?」
「まー、あるっちゃある」
「あるのか!」
さすが、我らの頭脳えりとくん。
「『世界樹ダンジョン』を浮かべてくれ」
「ふむ」
『世界樹ダンジョン』とは、つい最近まで俺たちが『新興ダンジョン』と呼んでいたあれだ。
先日、晴れて名称が付けられた。
「東の方に火山があっただろ」
「あー、あるある」
『世界樹ダンジョン』は一言で言えば、恐竜が生きていた時代のような風景。
その代表とも言える火山も当然あった。
「あそこで面白いものが見つかったんだよ」
「なにそれ」
「『火口岩』」
花崗岩ではなく、火口岩。
ギャグみたいな名前だな。
「『世界樹ダンジョン』でしか発見されていない、熱エネルギーを持つ岩らしい。最近研究所で見たんだが、研究用に取られちまってよ」
「そりゃ仕方ない」
俺んちでぬくぬくする為に使うより、研究で使ってもらった方が有意義だ。
「だから市場にも出回っていない。獲得できたのは一つだからな」
「ん? うん」
あれ、気のせいかな。
段々と誘導されているような……。
「てことで」
えりとは俺の肩にポンと手を乗せた。
「頼むわ」
「やっぱりな!」
絶対こうなると思った!
★
ここは『世界樹ダンジョン』の入口。
あの話の後、俺たちはすぐやってきた。
「思い立ったが吉日」というやつだ。
「おお……やっぱすげえな」
遠くに聳え立つは、ダンジョンのシンボルである世界樹。
「プクー!」
故郷に帰って来て嬉しいのか、タンポポがさっきから反応を示している。
こんなすごい景色、しっかりと共有しないとな。
そう思い、俺はカメラを前に向ける。
「どうですか皆さん! この景色!」
《すげえええ!!》
《世界樹ダンジョンやべえ》
《恐竜の時代みたい!》
《白亜紀だな》
《これがタンポポちゃんの故郷か~》
《タンポポ興奮しててかわよ》
今回はただの探索ではなく、なんと『世界樹ダンジョン』の先行配信許可が出た。
まだ一般には解禁されていないこのダンジョンだが、えりとが俺の「世界樹の畑」や「天空城」の功績を盾に許可を取ってきたそう。
相変わらずちゃっかりしてやがる。
俺としては心強い限りだけどね。
《久しぶりのダンジョン配信嬉しい》
《雑談もいいけどやっぱダンジョンだよな》
《金英の文化祭で知ったよ!》
《初見です》
《配信は初めてだ》
《最近ハマってます!》
ダンジョン配信を望んでいた声がたくさんある。
前にこの『世界樹ダンジョン』で星空を映した時は、探索の配信許可は出ていなかったからな。
それに、この前の文化祭の話題から知ってくれた人も多数いるみたいだ。
やはりあの影響力はすごかったよう。
えりとの話では、CM出演の話もまた新たに来ているそうだ。
「それにしても今日はすごいな……」
そんな影響もあってか、配信開始直後ですでに5万人近くの視聴者がいる。
先行配信ということで、探索者たちも見に来てくれたりしているのかな。
《そろそろ進みませんか》
《今日はどこを探索するの?》
《前の星空は世界樹だったんだよね》
「あ、そうでした! 今日はあそこです!」
コメントに聞かれ、ハッと目的を思い出す。
今日の目的地は火山。
入口から東側に位置するそれは、まさに恐竜時代の風景を代表するような大きな火山だ。
世界樹に負けるとも劣らない迫力があり、東側の森林を抜けると着くようだ。
『じゃ、そろそろ行こうか』
「おう」
聞こえてくるのはえりとの通信。
最近はすっかりサポート役がハマってんな。
すると、
《えりときたあああ!》
《相棒!!》
《ガチの有能》
《やすひろの右腕》
《意外と声かっこいい》
《ちょくちょくSNSに映ってる人だよね》
コメントが一気に盛り上がる。
今回はえりとの通信も配信に入れてみたんだ。
『ったく、やりにくいな』
「ははっ。いつも通りで大丈夫だって」
『ちょっとは意識するだろうが』
今まで裏で活躍していたえりと。
その活躍が段々と明るみになり、最近はえりとの方も聞きたいという声が大きくなった。
今回は初めてお試しをしてみるけど、思ったより人気があったみたい。
『まあいい。さっさと行くぞ』
「了解!」
「ワフ!」
「ムニャ!」
「キュル!」
えりとの号令で、俺含めペット達にも気合が入る。
ここからは早速、探索開始だ。
といってもかなり楽なんだけどね。
「てことでタンポポ、頼めるか?」
「プククク……プク~~~!」
「よーし!」
ペット達お流行りの『覚醒ごっこ』の効果か、随分と覚醒までがスムーズになった。
大きくなったモフモフの毛並み。
低反発で沈み込むので、横になったら気持ち良くて寝てしまいそうだ。
《いいなあ》
《気持ちよさそ~》
《ふかふかベッドだ!》
《ずるーい!》
《相当モフい》
《やっぱタンポポちゃんよね!》
タンポポもすっかり大人気で嬉しい。
四匹目でここまで人気になれるのもすごいと思う。
「では、失礼してっと」
俺は寝転がるようにタンポポに乗る。
フクマロ達も俺にならった。
「ワフっと」
「ニャフっと」
「キュルっと」
「ん!?」
今、みんな喋らなかったか?
さ、さすがに気のせいか……?
『どうした?』
「……いや、なんでも。と、とにかく、頼むぞタンポポ!」
タンポポは両腕を広げて皮膜を展開。
そのままバサっ! と大きく一振りをして、高く舞い上がった。
「プククー!」
「よし行けー!」
俺が声を上げると、えりとが通信を入れてくる。
『なんだかやけに張り切ってねえか?』
「お、そう見える?」
『また何か企んでやがるのか』
「まあ、そうとも言うかな」
《なんだなんだ》
《やすひろは基本ぶっ飛んでるからな》
《ワクワク》
俺たちの会話にコメントが加速した。
そっか、今言っておいてもいいのかも。
「俺は──」
タンポポが飛び立ち、滑空しながら気持ちよく進む中、俺は考えていた事を堂々と宣言した。
「世界樹の上に温泉を作りたいんだ!」
26
お気に入りに追加
1,978
あなたにおすすめの小説

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

羨んでいたダンジョンはおれが勇者として救った異世界に酷似している~帰還した現代では無職業(ノージョブ)でも異世界で培った力で成り上がる~
むらくも航
ファンタジー
☆カクヨムにてでローファンタジー部門最高日間3位、週間4位を獲得!
【第1章完結】ダンジョン出現後、職業(ジョブ)持ちが名乗りを上げる中、無職業(ノージョブ)のおれはダンジョンを疎んでいた。しかし異世界転生を経て、帰還してみればダンジョンのあらゆるものが見たことのあるものだった。
現代では、まだそこまでダンジョン探索は進んでいないようだ。その中でおれは、異世界で誰も知らない事まで知っている。これなら無職業(ノージョブ)のおれもダンジョンに挑める。おれはダンジョンで成り上がる。
これは勇者として異世界を救った、元負け組天野 翔(あまの かける)が異世界で得た力で現代ダンジョンに挑む物語である。
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。

辻ダンジョン掃除が趣味の底辺社畜、迷惑配信者が汚したダンジョンを掃除していたらうっかり美少女アイドルの配信に映り込み神バズりしてしまう
なっくる
ファンタジー
ダンジョン攻略配信が定着した日本、迷惑配信者が世間を騒がせていた。主人公タクミはダンジョン配信視聴とダンジョン掃除が趣味の社畜。
だが美少女アイドルダンジョン配信者の生配信に映り込んだことで、彼の運命は大きく変わる。実はレアだったお掃除スキルと人間性をダンジョン庁に評価され、美少女アイドルと共にダンジョンのイメージキャラクターに抜擢される。自身を慕ってくれる美少女JKとの楽しい毎日。そして超進化したお掃除スキルで迷惑配信者を懲らしめたことで、彼女と共にダンジョン界屈指の人気者になっていく。
バラ色人生を送るタクミだが……迷惑配信者の背後に潜む陰謀がタクミたちに襲い掛かるのだった。
※他サイトでも掲載しています
動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョンを探索する 配信中にレッドドラゴンを手懐けたら大バズりしました!
海夏世もみじ
ファンタジー
旧題:動物に好かれまくる体質の少年、ダンジョン配信中にレッドドラゴン手懐けたら大バズりしました
動物に好かれまくる体質を持つ主人公、藍堂咲太《あいどう・さくた》は、友人にダンジョンカメラというものをもらった。
そのカメラで暇つぶしにダンジョン配信をしようということでダンジョンに向かったのだが、イレギュラーのレッドドラゴンが現れてしまう。
しかし主人公に攻撃は一切せず、喉を鳴らして好意的な様子。その様子が全て配信されており、拡散され、大バズりしてしまった!
戦闘力ミジンコ主人公が魔物や幻獣を手懐けながらダンジョンを進む配信のスタート!

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる