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第29話 おや?畑の様子が……!
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「嘘……だろ!?」
俺の寝室は二階。
その窓を開けてなお、俺は見上げた。
「なんじゃこりゃあ!?」
外に家より遥かに高い木が立っていたからだ。
「おいおいおい……」
俺は窓から顔を出して上や下を眺める。
見れば見る程に立派な木だ。
そして、
「ワフッ!」
「ムニャッ!」
「キュルー!」
うちの最強種族ペットちゃん達はすでに馴染んでいる。
大はしゃぎしているとも言えるが。
まあ、魔物だし近くにこんな大自然ができたら嬉しいよな。
「クゥンッ!」
「って、うおっ!」
ニヤニヤしながら三匹を眺めていたら、フクマロが枝から寝室に飛び込んできた。
「そんな移動手段が……」
「ワフッ!」
いや、やっぱ馴染み過ぎだろ。
「ムニャニャー!」
「キュルゥッ!」
「ははっ、そうかそうか」
一緒に遊ぼう、って言ってるな。
よし、俺も朝の支度をしてきますか。
「うん。何度見ても全く慣れない」
朝の支度を終え、外に出てきた。
ついでに、外で眺めてみて状況整理も出来た。
まず、この木はやはり畑から生えてきたみたい。
まさか一晩でこうなるとは予想できないけど。
最近は変化が見られなかった『ダンジョン種』だが、もしかして栄養が足りなかったのかもしれない。
ダンジョン産の水と肥料をあげたら急成長した(し過ぎだけど)のが、その証拠とも言える。
「だからってこうなるのか……」
根本は畑全土に及び、木を支える大事な幹はこれでもかってぐらい太い。
縄文杉か何かかな??
図鑑の機能で計ったところ、高さは15メートルぐらい。
マンション五階相当だ
その高さ・太さにふさわしく、上部の葉も見事に広がっており、葉をかき分けて注がれる陽の光は幻想的だ。
家に幻想求めてどうすんねん、って話だけど。
てか、畑がちょっと離れててまじで助かった。
俺の家が一晩にして無くなってたぞ。
「ニャフッ! ニャニャッ!」
「ん、どうしたモンブラン」
口をぽかーんとしていると、モンブランが俺の裾を掴む。
「ニャッ!」
「え」
そしてモンブランが上を指した。
まさか一緒に登ろうってこと?
「いや、俺はちょっと……」
さっきから三匹は木の枝を飛び回っていたし、人一人が乗ったところで絶対に折れないだろうことは分かる。
でも、単純に怖い。
悪いけど俺は現代人。
木登りなんて慣れてないんだ。
「ニャア……」
「頼む! その悲しそうな顔をやめてくれ!」
「キュルゥ……」
「ココアまで!?」
二匹して「遊びたかったニャア……」みたいな悲しい顔をする。
やめろ、同情はしないぞ!
俺は怖いんだ!
「ワフ」
「フクマロ?」
そんなところにリーダーのフクマロ。
フクマロは、モンブランとココアの肩をポン、と叩いた。
「ワフゥ……」
「ムニャ……」
「キュル……」
彼らの心の声が聞こえた。
フクマロ「諦めよう……」
モンブラン&ココア「そうだね……」
「……」
俺はぐっと拳を握りしめた。
「~~~! 分かった、分かったから!」
そこまで悲しませたらしょうがない。
俺が恐怖を克服してやろうじゃないか!
「一緒に登るぞ! みんな!」
「ワッフー!」
「ニャッフー!」
「キュルッルー!」
俺がそう言った途端、三匹はとても元気に。
あれ、なんか切り返し早くない?
まさかさっきのは三匹によるお芝居?
はは、そんなわけない……よな?
「は?」
「え?」
遠くの方から驚く声が聞こえた気がする。
その方には……お、目銅佐オーナーとえりとだ!
「おーい!」
俺は思いっきり手を振った。
「おーいじゃねえ!」
「おーいじゃないです!」
「ん?」
二人して声を上げた。
俺が何かおかしいのだろうか。
「そこで何してんだよ!」
「何って……」
俺は近くの幹に触れた。
「ミニコテージ作り?」
「アホかあ! まず下りて説明しろお!」
えりとが声を上げた。
さすがにボケ過ぎたか。
なんたってここは木の上だからな。
「フクマロ~」
「ワフッ!」
フクマロを呼び掛けて、その背中に乗った。
小さいけどすっごく力持ち。
その背中はさっき実証済みだ。
「いけ!」
「ワフ~!」
そして、地面に着地。
最初はビビったけど、もう慣れたもんだな。
「で、何から説明しよっか」
「全部だ!」
「全部です!」
俺が軽く聞いたら、全力の答えが返って来た。
ですよね~。
家の食卓。
時刻はいつの間にか昼になっていたみたいで、俺はさっきまでの経緯を目銅佐オーナーとえりとに説明した。
「という事があったんだよね」
「なんじゃそりゃ」
「本当にそんな事があったんですね」
それぞれの前には、目銅佐オーナーの手作り料理。
彼女はいつも通りお昼をしに、えりとは様子を見に来たそうだ。
「てか、やすひろも馴染みすぎだろ」
「いやいや、俺も慣れたのはついさっきだよ」
「それでもミニコテージを作るとかいう発想になるか?」
ミニコテージを作ろうと思ったのは、三匹のお芝居(?)に促されて木に登った直後だ。
最初は怖かったけど、木の上で遊んでいる内に俺も楽しくなった。
それに、一度木の上から落ちたところをフクマロが空中で助けてくれた。
そこからはもうペット達を全面的に信頼して、恐怖は無くなった。
それで、木の上でぐーたら出来ればなあ、とコテージ作りを始めたわけだ。
「だって気持ち良さそうじゃない?」
「はははっ! ほんと、お前といたら飽きねえわ!」
俺を詰めるのがバカらしくなったのか、えりとも笑い出した。
「でも、大丈夫なのでしょうか?」
「何がですか?」
「木が家の方に伸びないかなと思いまして」
「あー……」
目銅佐オーナーの言う事はもっともだ。
だけど、これには不思議な確信があった。
「あの木、多分考えているんですよ」
「え?」
「例えば──」
あの木はよく見れば、家の方にはあまり浸食してきていなかった。
さらに、俺の寝室には陽がしっかり差し込むよう葉も調整してくれていた。
その他にも俺や家に都合が良すぎる事がいくつも見つかった。
信じ難いけど、とにかく俺に配慮してくれてるみたいだったんだ。
「そりゃあ、すげえ話だな」
「だろ?」
「ああ、ワクワクする」
「ははっ。えりとらしいな」
俺の話に子どものような顔を見せるえりと。
研究者の血が騒いでいるのかもしれない。
「やすひろさんの話が本当なら大丈夫……なのでしょうか」
「多分、ですけどね!」
その辺は危なくなったらその時に考えるとしよう。
それより今は楽しいことを優先だ。
能天気なのかもしれないけどね。
「それで、やすひろさんは今後何をするつもりなんですか?」
「うーん……」
彼女の質問にちょっと頭を悩ませた。
やりたいことはあって、コテージ作りはその一環。
まあいいや、ありのままを答えにしよう!
「『やすひろのモフモフパーク』を作りたい!」
俺の寝室は二階。
その窓を開けてなお、俺は見上げた。
「なんじゃこりゃあ!?」
外に家より遥かに高い木が立っていたからだ。
「おいおいおい……」
俺は窓から顔を出して上や下を眺める。
見れば見る程に立派な木だ。
そして、
「ワフッ!」
「ムニャッ!」
「キュルー!」
うちの最強種族ペットちゃん達はすでに馴染んでいる。
大はしゃぎしているとも言えるが。
まあ、魔物だし近くにこんな大自然ができたら嬉しいよな。
「クゥンッ!」
「って、うおっ!」
ニヤニヤしながら三匹を眺めていたら、フクマロが枝から寝室に飛び込んできた。
「そんな移動手段が……」
「ワフッ!」
いや、やっぱ馴染み過ぎだろ。
「ムニャニャー!」
「キュルゥッ!」
「ははっ、そうかそうか」
一緒に遊ぼう、って言ってるな。
よし、俺も朝の支度をしてきますか。
「うん。何度見ても全く慣れない」
朝の支度を終え、外に出てきた。
ついでに、外で眺めてみて状況整理も出来た。
まず、この木はやはり畑から生えてきたみたい。
まさか一晩でこうなるとは予想できないけど。
最近は変化が見られなかった『ダンジョン種』だが、もしかして栄養が足りなかったのかもしれない。
ダンジョン産の水と肥料をあげたら急成長した(し過ぎだけど)のが、その証拠とも言える。
「だからってこうなるのか……」
根本は畑全土に及び、木を支える大事な幹はこれでもかってぐらい太い。
縄文杉か何かかな??
図鑑の機能で計ったところ、高さは15メートルぐらい。
マンション五階相当だ
その高さ・太さにふさわしく、上部の葉も見事に広がっており、葉をかき分けて注がれる陽の光は幻想的だ。
家に幻想求めてどうすんねん、って話だけど。
てか、畑がちょっと離れててまじで助かった。
俺の家が一晩にして無くなってたぞ。
「ニャフッ! ニャニャッ!」
「ん、どうしたモンブラン」
口をぽかーんとしていると、モンブランが俺の裾を掴む。
「ニャッ!」
「え」
そしてモンブランが上を指した。
まさか一緒に登ろうってこと?
「いや、俺はちょっと……」
さっきから三匹は木の枝を飛び回っていたし、人一人が乗ったところで絶対に折れないだろうことは分かる。
でも、単純に怖い。
悪いけど俺は現代人。
木登りなんて慣れてないんだ。
「ニャア……」
「頼む! その悲しそうな顔をやめてくれ!」
「キュルゥ……」
「ココアまで!?」
二匹して「遊びたかったニャア……」みたいな悲しい顔をする。
やめろ、同情はしないぞ!
俺は怖いんだ!
「ワフ」
「フクマロ?」
そんなところにリーダーのフクマロ。
フクマロは、モンブランとココアの肩をポン、と叩いた。
「ワフゥ……」
「ムニャ……」
「キュル……」
彼らの心の声が聞こえた。
フクマロ「諦めよう……」
モンブラン&ココア「そうだね……」
「……」
俺はぐっと拳を握りしめた。
「~~~! 分かった、分かったから!」
そこまで悲しませたらしょうがない。
俺が恐怖を克服してやろうじゃないか!
「一緒に登るぞ! みんな!」
「ワッフー!」
「ニャッフー!」
「キュルッルー!」
俺がそう言った途端、三匹はとても元気に。
あれ、なんか切り返し早くない?
まさかさっきのは三匹によるお芝居?
はは、そんなわけない……よな?
「は?」
「え?」
遠くの方から驚く声が聞こえた気がする。
その方には……お、目銅佐オーナーとえりとだ!
「おーい!」
俺は思いっきり手を振った。
「おーいじゃねえ!」
「おーいじゃないです!」
「ん?」
二人して声を上げた。
俺が何かおかしいのだろうか。
「そこで何してんだよ!」
「何って……」
俺は近くの幹に触れた。
「ミニコテージ作り?」
「アホかあ! まず下りて説明しろお!」
えりとが声を上げた。
さすがにボケ過ぎたか。
なんたってここは木の上だからな。
「フクマロ~」
「ワフッ!」
フクマロを呼び掛けて、その背中に乗った。
小さいけどすっごく力持ち。
その背中はさっき実証済みだ。
「いけ!」
「ワフ~!」
そして、地面に着地。
最初はビビったけど、もう慣れたもんだな。
「で、何から説明しよっか」
「全部だ!」
「全部です!」
俺が軽く聞いたら、全力の答えが返って来た。
ですよね~。
家の食卓。
時刻はいつの間にか昼になっていたみたいで、俺はさっきまでの経緯を目銅佐オーナーとえりとに説明した。
「という事があったんだよね」
「なんじゃそりゃ」
「本当にそんな事があったんですね」
それぞれの前には、目銅佐オーナーの手作り料理。
彼女はいつも通りお昼をしに、えりとは様子を見に来たそうだ。
「てか、やすひろも馴染みすぎだろ」
「いやいや、俺も慣れたのはついさっきだよ」
「それでもミニコテージを作るとかいう発想になるか?」
ミニコテージを作ろうと思ったのは、三匹のお芝居(?)に促されて木に登った直後だ。
最初は怖かったけど、木の上で遊んでいる内に俺も楽しくなった。
それに、一度木の上から落ちたところをフクマロが空中で助けてくれた。
そこからはもうペット達を全面的に信頼して、恐怖は無くなった。
それで、木の上でぐーたら出来ればなあ、とコテージ作りを始めたわけだ。
「だって気持ち良さそうじゃない?」
「はははっ! ほんと、お前といたら飽きねえわ!」
俺を詰めるのがバカらしくなったのか、えりとも笑い出した。
「でも、大丈夫なのでしょうか?」
「何がですか?」
「木が家の方に伸びないかなと思いまして」
「あー……」
目銅佐オーナーの言う事はもっともだ。
だけど、これには不思議な確信があった。
「あの木、多分考えているんですよ」
「え?」
「例えば──」
あの木はよく見れば、家の方にはあまり浸食してきていなかった。
さらに、俺の寝室には陽がしっかり差し込むよう葉も調整してくれていた。
その他にも俺や家に都合が良すぎる事がいくつも見つかった。
信じ難いけど、とにかく俺に配慮してくれてるみたいだったんだ。
「そりゃあ、すげえ話だな」
「だろ?」
「ああ、ワクワクする」
「ははっ。えりとらしいな」
俺の話に子どものような顔を見せるえりと。
研究者の血が騒いでいるのかもしれない。
「やすひろさんの話が本当なら大丈夫……なのでしょうか」
「多分、ですけどね!」
その辺は危なくなったらその時に考えるとしよう。
それより今は楽しいことを優先だ。
能天気なのかもしれないけどね。
「それで、やすひろさんは今後何をするつもりなんですか?」
「うーん……」
彼女の質問にちょっと頭を悩ませた。
やりたいことはあって、コテージ作りはその一環。
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