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セラード国編
第12話 初めての海は青くて、怖くて、だけど
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私たちはホテルに戻ってきた後、海に来ていた。
「アリス、こっちおいで」
「でも、波が結構ありますよ?」
海が初めてな私は恐々と海の中に入っていく。
危険な海の生物もいない場所だと聞いて入ってしまったけど、やっぱり初めてのものは怖い。
「ゆっくり歩いてごらん」
殿下が差し出してくださった手を取って、ゆっくりと歩いてみる。
陸のように早くは歩けないけど、砂が細かくて気持ちいい。
「すごい、色鮮やかなお魚がいますね!」
「ああ、綺麗だね」
水の透明度がすごいから海の中の生物や岩、珊瑚に貝殻、いろんなものがよく見える。
「貝殻は拾ってもいいんでしょうか?」
「大丈夫だっていってたよ、あっちにたくさんあるね」
私は夢中になって貝殻があるほうへと向かっていく。
小さなもの、赤い色のもの、白いもの、大きいもの……たくさんあってどれも綺麗です!
「殿下っ!……あれ?」
するとほんの数分前まで一緒にいたはずの殿下がいなくてあたりを見てみる。
このあたりには私一人でそれにさっきまでいた場所とちょっと景色が違っているように思えた。
「あ……」
振り返ったところに見晴らしが良さそうな岩の小さな洞窟のようなものがあったので、そちらに向かってみる。
なんとかよじあがってそこに座って休憩すると、ちょっと空の雲行きが怪しくなってくる。
「もしかして、天気が悪くなってしまうの?」
ここにいたほうが安全なのか、それとも今から海に入って少し頑張って海岸までいったほうがいいのか初心者の私はわからず、判断に時間をかけてしまう。
そんなことをしているうちにもみるみるとどんよりと重たい雲がやってきて、ついに雨が降ってきてしまった。
「どうしよう……」
水着で少し寒くなった体を手でこすりながら、なんとか寒さに耐える。
「はあ……」
冬ではないけど少しでもあたたかくするために自分の吐息で手をあたためた。
雨はどんどんと強さを増していく。
「殿下……」
こんな時に何もできない自分が情けなく思えた。
魔法の発動をする魔導具もないし、私みたいに未熟な魔女じゃ魔法発動も道具なしにできない。
心細い気持ちに襲われて、でもそんな時に思い浮かべるのは殿下のこと……。
殿下は大丈夫だろうか。
私よりも海に慣れてらっしゃるから大丈夫だと思うけど、心配だ。
妃教育をしていた時も殿下は執務をサボって書庫室で昼寝をしていた。
私が起こすと一瞬驚いてその次に私をぎゅっと抱きしめながら、「会いたかった」と囁いてくれた。
今思い返すと顔が真っ赤になるほど恥ずかしいことだけど、今はあのあたたかさが欲しい。
「殿下、会いたい……」
実は不安だった。
一人で旅に出ることが……。
でも、そんな時に殿下が一緒にいてくれて救われた。
「そっか、こんなに殿下が好きなんだ……」
溢れ出す大好きって気持ちが止まらなくて、涙がどんどん溢れてしまう。
「アリスっ!!!」
涙で滲む目が誰かの影を捕らえた。
見えなくてもわかる。あれは……。
「殿下っ!!!」
洞窟に来てくれた殿下に私は勢いよく抱き着いた。
そんな私のことを受け止めてくれて強く強く抱きしめられて、想いが伝わってくる。
「アリス、よかった。無事で」
「殿下、ごめんなさい。離れてしまって、心配をかけて……」
「アリスに何かあったら絶対に駆けつける。追いかける。その手を離さないから、絶対」
そんな言葉を言われたら、私……。
「殿下、ありがとうございます。それから、殿下が大好きです!」
いつも殿下からの愛に甘えてた。
そうじゃない、今度は私から伝える。
何が起こるかわからない今だからこそ私はこの気持ちを伝えたい。
「行こうか」
通り雨が過ぎ去って日差しが出てきた海に二人で手を繋いで歩いていく。
お母様からの贈り物もそしてイルゼさんの思いも受け取って、私たちは次の国へと旅立った──。
「アリス、こっちおいで」
「でも、波が結構ありますよ?」
海が初めてな私は恐々と海の中に入っていく。
危険な海の生物もいない場所だと聞いて入ってしまったけど、やっぱり初めてのものは怖い。
「ゆっくり歩いてごらん」
殿下が差し出してくださった手を取って、ゆっくりと歩いてみる。
陸のように早くは歩けないけど、砂が細かくて気持ちいい。
「すごい、色鮮やかなお魚がいますね!」
「ああ、綺麗だね」
水の透明度がすごいから海の中の生物や岩、珊瑚に貝殻、いろんなものがよく見える。
「貝殻は拾ってもいいんでしょうか?」
「大丈夫だっていってたよ、あっちにたくさんあるね」
私は夢中になって貝殻があるほうへと向かっていく。
小さなもの、赤い色のもの、白いもの、大きいもの……たくさんあってどれも綺麗です!
「殿下っ!……あれ?」
するとほんの数分前まで一緒にいたはずの殿下がいなくてあたりを見てみる。
このあたりには私一人でそれにさっきまでいた場所とちょっと景色が違っているように思えた。
「あ……」
振り返ったところに見晴らしが良さそうな岩の小さな洞窟のようなものがあったので、そちらに向かってみる。
なんとかよじあがってそこに座って休憩すると、ちょっと空の雲行きが怪しくなってくる。
「もしかして、天気が悪くなってしまうの?」
ここにいたほうが安全なのか、それとも今から海に入って少し頑張って海岸までいったほうがいいのか初心者の私はわからず、判断に時間をかけてしまう。
そんなことをしているうちにもみるみるとどんよりと重たい雲がやってきて、ついに雨が降ってきてしまった。
「どうしよう……」
水着で少し寒くなった体を手でこすりながら、なんとか寒さに耐える。
「はあ……」
冬ではないけど少しでもあたたかくするために自分の吐息で手をあたためた。
雨はどんどんと強さを増していく。
「殿下……」
こんな時に何もできない自分が情けなく思えた。
魔法の発動をする魔導具もないし、私みたいに未熟な魔女じゃ魔法発動も道具なしにできない。
心細い気持ちに襲われて、でもそんな時に思い浮かべるのは殿下のこと……。
殿下は大丈夫だろうか。
私よりも海に慣れてらっしゃるから大丈夫だと思うけど、心配だ。
妃教育をしていた時も殿下は執務をサボって書庫室で昼寝をしていた。
私が起こすと一瞬驚いてその次に私をぎゅっと抱きしめながら、「会いたかった」と囁いてくれた。
今思い返すと顔が真っ赤になるほど恥ずかしいことだけど、今はあのあたたかさが欲しい。
「殿下、会いたい……」
実は不安だった。
一人で旅に出ることが……。
でも、そんな時に殿下が一緒にいてくれて救われた。
「そっか、こんなに殿下が好きなんだ……」
溢れ出す大好きって気持ちが止まらなくて、涙がどんどん溢れてしまう。
「アリスっ!!!」
涙で滲む目が誰かの影を捕らえた。
見えなくてもわかる。あれは……。
「殿下っ!!!」
洞窟に来てくれた殿下に私は勢いよく抱き着いた。
そんな私のことを受け止めてくれて強く強く抱きしめられて、想いが伝わってくる。
「アリス、よかった。無事で」
「殿下、ごめんなさい。離れてしまって、心配をかけて……」
「アリスに何かあったら絶対に駆けつける。追いかける。その手を離さないから、絶対」
そんな言葉を言われたら、私……。
「殿下、ありがとうございます。それから、殿下が大好きです!」
いつも殿下からの愛に甘えてた。
そうじゃない、今度は私から伝える。
何が起こるかわからない今だからこそ私はこの気持ちを伝えたい。
「行こうか」
通り雨が過ぎ去って日差しが出てきた海に二人で手を繋いで歩いていく。
お母様からの贈り物もそしてイルゼさんの思いも受け取って、私たちは次の国へと旅立った──。
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