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セラード国編
第11話 淡い想いを隠して~SIDEイルゼ~
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ニコラが去ったバルコニーで俺は一人で夜空を見上げていた。
『イルゼ、もうこれで大丈夫よ。でも次は助けない。自分で制御できるようになりなさい。それでまた立派に成長したら再会しましょう』
助けてもらったあの日の言葉がよみがえる。
魔導具師として一人前になったら……自分の納得がいくものが作れるようになった会いに行こうとしていた。
それがあんな形で最初で最後の再会となるなんて思わなかった。
淡いオレンジ色の綺麗な髪を揺らして凛とする姿。
一目見た時から俺は心を奪われた──。
強くて優しくて俺を救ってくれた大切な人。
好きにならないほうがおかしいだろう。
でも、もうその人には夫である大切な人がいて、その人のことを語るミレーヌ様は美しくて、綺麗だった。
俺が勝てるわけがないとすぐに悟った。
そんな笑顔を彼女から引き出せるだけの男じゃない、今の俺はまだ……。
いつか、なんてくるとは思っていなかったが、想いくらいは伝えたかった。
あなたに想いを伝える一人の男がいたってことを。
「いや、傲慢かな」
俺も結局ニコラのように嫉妬深くて欲深い人間らしい。
もう一度空を見上げてグラスを掲げた。
「ミレーヌ様、安らかに眠ってください」
呟いた言葉はただ静かに夜の闇に消えていった──。
『イルゼ、もうこれで大丈夫よ。でも次は助けない。自分で制御できるようになりなさい。それでまた立派に成長したら再会しましょう』
助けてもらったあの日の言葉がよみがえる。
魔導具師として一人前になったら……自分の納得がいくものが作れるようになった会いに行こうとしていた。
それがあんな形で最初で最後の再会となるなんて思わなかった。
淡いオレンジ色の綺麗な髪を揺らして凛とする姿。
一目見た時から俺は心を奪われた──。
強くて優しくて俺を救ってくれた大切な人。
好きにならないほうがおかしいだろう。
でも、もうその人には夫である大切な人がいて、その人のことを語るミレーヌ様は美しくて、綺麗だった。
俺が勝てるわけがないとすぐに悟った。
そんな笑顔を彼女から引き出せるだけの男じゃない、今の俺はまだ……。
いつか、なんてくるとは思っていなかったが、想いくらいは伝えたかった。
あなたに想いを伝える一人の男がいたってことを。
「いや、傲慢かな」
俺も結局ニコラのように嫉妬深くて欲深い人間らしい。
もう一度空を見上げてグラスを掲げた。
「ミレーヌ様、安らかに眠ってください」
呟いた言葉はただ静かに夜の闇に消えていった──。
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