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最終話 真実の愛
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シェリーの兄ブライアンは父親の不正を唆した罪と、そしてジェラルドの殺人未遂で捕縛され、地下牢で一定期間過ごしたのちに処刑される予定だ。
ジェラルドの父親である元国王は妻である元王妃にこっぴどく叱られたという。
一方ジェラルドは飴屋のマダムのところへと向かっていた。
「マダム」
「来るのわかってたわ」
「これを預かっております。これでシェリーを……私の愛する人を助けてはもらえないでしょうか?」
ネックレスをマダムに渡すと、彼女はネックレスを吟味するように眺めて少しため息を吐く。
「あの子にしてはいいものくれたじゃない。いいわ。これを彼女に飲ませなさい」
そうして渡されたのは、キラキラと輝いた粉薬のようなもの。
ジェラルドはそれを胸ポケットに大切にしまうと、礼を言う。
「ありがとうございました」
「あの子、大事にするのよ。それと、また飴を買いに来てちょうだい」
「ええ、ぜひ」
そう言い、ジェラルドはシェリーの待つ王宮へと戻った──
◇◆◇
「頼む、これで目を覚ましてくれ」
ジェラルドは王宮に戻り、大魔女マダムからもらった薬を口移しで飲ませる。
ごくりと飲んだシェリーは少しずつ呼吸が戻りはじめ、やがて呪いの禍々しい痕跡が消えていく。
そして、ゆっくりとシェリーはその目を開いた。
「ジェラルド様……?」
「シェリー!!」
ベッドで眠るシェリーの身体を強く抱きしめるジェラルド。
「私、どうして」
「呪いは解けた。魔女と大魔女のおかげなんだ」
「え?」
「ああ、すまない。順を追って説明するよ。でも今はこうさせてほしい」
ジェラルドはシェリーを強く抱きしめて優しく頬をなでる。
そしてあの時海辺で出来なかったことを……シェリーへの愛情を目いっぱい伝える。
「シェリー」
「はい」
「私はずっと君を愛するよ。何があっても。だから結婚してほしい」
「──っ! ……はい」
シェリーはジェラルドの首元に腕を回し、そして自身の唇を彼の唇に押し当てた。
二人は照れながらも何度も愛を囁き合った──
森に帰った魔女はある墓石の前に立っていた。
「シェリーは元気になったよ。あの子はもう大丈夫。愛する人を見つけたわ。だから安心して眠って」
魔女はそっと花を添えると、立ち上がって森の風に身を任せる。
「私ももうすぐそっちにいくわ」
魔女はそのまま森の奥へと姿を消していった──
ジェラルドの父親である元国王は妻である元王妃にこっぴどく叱られたという。
一方ジェラルドは飴屋のマダムのところへと向かっていた。
「マダム」
「来るのわかってたわ」
「これを預かっております。これでシェリーを……私の愛する人を助けてはもらえないでしょうか?」
ネックレスをマダムに渡すと、彼女はネックレスを吟味するように眺めて少しため息を吐く。
「あの子にしてはいいものくれたじゃない。いいわ。これを彼女に飲ませなさい」
そうして渡されたのは、キラキラと輝いた粉薬のようなもの。
ジェラルドはそれを胸ポケットに大切にしまうと、礼を言う。
「ありがとうございました」
「あの子、大事にするのよ。それと、また飴を買いに来てちょうだい」
「ええ、ぜひ」
そう言い、ジェラルドはシェリーの待つ王宮へと戻った──
◇◆◇
「頼む、これで目を覚ましてくれ」
ジェラルドは王宮に戻り、大魔女マダムからもらった薬を口移しで飲ませる。
ごくりと飲んだシェリーは少しずつ呼吸が戻りはじめ、やがて呪いの禍々しい痕跡が消えていく。
そして、ゆっくりとシェリーはその目を開いた。
「ジェラルド様……?」
「シェリー!!」
ベッドで眠るシェリーの身体を強く抱きしめるジェラルド。
「私、どうして」
「呪いは解けた。魔女と大魔女のおかげなんだ」
「え?」
「ああ、すまない。順を追って説明するよ。でも今はこうさせてほしい」
ジェラルドはシェリーを強く抱きしめて優しく頬をなでる。
そしてあの時海辺で出来なかったことを……シェリーへの愛情を目いっぱい伝える。
「シェリー」
「はい」
「私はずっと君を愛するよ。何があっても。だから結婚してほしい」
「──っ! ……はい」
シェリーはジェラルドの首元に腕を回し、そして自身の唇を彼の唇に押し当てた。
二人は照れながらも何度も愛を囁き合った──
森に帰った魔女はある墓石の前に立っていた。
「シェリーは元気になったよ。あの子はもう大丈夫。愛する人を見つけたわ。だから安心して眠って」
魔女はそっと花を添えると、立ち上がって森の風に身を任せる。
「私ももうすぐそっちにいくわ」
魔女はそのまま森の奥へと姿を消していった──
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ありがとうございます!
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