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第一部 出会い編
第2話 辺境の騎士に拾われる
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(あたたかい……、きっとここが天国なのね。ふわふわで気持ちいい。そっか、私死んじゃったのね)
「……うぶ」
(なんだかはっきり見えてきたわ。目の前に誰かいる? 誰?)
「大丈夫?」
「わっ!」
リーズの目の前には見目麗しい金髪に蒼い目をした男性がいた。
「よかった、目が覚めてくれて」
「え?」
「森であなたが倒れていたので、拾ってきたんだ」
(拾ってきたっ?!)
その言い方は人間に対して大丈夫なのかと不安になるリーズだが、おそらく自分の命の恩人なのだろうと理解してお礼を言うことにした。
「あ、ありがとうございます。助けていただいて」
「いや、びっくりした。あそこは獣も出るから無事でよかった」
(獣……?)
自分が獰猛な獣に食べられる様子を想像して、頭をふるふるとさせる。
「起き上がれる? 俺はニコラ。この一体を守る騎士をしている」
「騎士?」
(騎士って確か国民を守る優しい方よね?)
そんな風に心の中で思っていると、木の器に入って湯気の立った温かそうなスープが差し出される。
「食べられそうならこのスープを飲んでごらん」
「もらっていいのですか?」
「ん? もちろん、行き倒れている人からお金は取らないよ」
その言葉にリーズは安心してスプーンでひとすくいして飲む。
「美味しい」
「よかった、これくらいしか作れなくてごめんね」
「そんなっ! 十分ありがたいです」
ニコラはリーズがしゃべれることを確認すると、真剣な顔で彼女に問う。
「一つ教えてくれるかい? なぜあの場所にいたんだ? 君のその服から見るにどこかのご令嬢ではないのか?」
「あ……」
リーズはスープを飲む手を止めて、ニコラに少しずつ話始めた。
自分はフルーリー家の伯爵令嬢であること。
しかし先月頭を打った影響で記憶喪失になったこと。
そして父親に捨てられたこと──
全てを話し終えても実感がわかないからか、彼女から涙は一つも出なかった。
「そんなことが……」
「はい、でもよかったのかもしれません。このままでは家のみんなに迷惑をかけることになります。私がいなければ……」
「リーズ」
「は、はいっ!」
「その考えはやめなさい。必要とされない人なんかいない。皆誰かの大切な人なんだ」
「でも、私にはもう頼る人は……」
すると、ニコラはリーズの手を優しく握って微笑みながら告げた。
「では、私の妻になりませんか?」
「……ほえ?」
リーズは頭が真っ白になってしまい、スープを落としそうになる。
「ちょうど父上に縁談を組まされるところだったのでね、私はまだやらなきゃいけないことがあるんだ」
「良いのですか? 私で」
「君が、いい」
そうしてそっとリーズのおでこにニコラの唇が触れる。
顔を赤くするリーズにふふっと少し意地悪な微笑みを見せるニコラだった。
こうして、リーズはニコラの妻となった──
「……うぶ」
(なんだかはっきり見えてきたわ。目の前に誰かいる? 誰?)
「大丈夫?」
「わっ!」
リーズの目の前には見目麗しい金髪に蒼い目をした男性がいた。
「よかった、目が覚めてくれて」
「え?」
「森であなたが倒れていたので、拾ってきたんだ」
(拾ってきたっ?!)
その言い方は人間に対して大丈夫なのかと不安になるリーズだが、おそらく自分の命の恩人なのだろうと理解してお礼を言うことにした。
「あ、ありがとうございます。助けていただいて」
「いや、びっくりした。あそこは獣も出るから無事でよかった」
(獣……?)
自分が獰猛な獣に食べられる様子を想像して、頭をふるふるとさせる。
「起き上がれる? 俺はニコラ。この一体を守る騎士をしている」
「騎士?」
(騎士って確か国民を守る優しい方よね?)
そんな風に心の中で思っていると、木の器に入って湯気の立った温かそうなスープが差し出される。
「食べられそうならこのスープを飲んでごらん」
「もらっていいのですか?」
「ん? もちろん、行き倒れている人からお金は取らないよ」
その言葉にリーズは安心してスプーンでひとすくいして飲む。
「美味しい」
「よかった、これくらいしか作れなくてごめんね」
「そんなっ! 十分ありがたいです」
ニコラはリーズがしゃべれることを確認すると、真剣な顔で彼女に問う。
「一つ教えてくれるかい? なぜあの場所にいたんだ? 君のその服から見るにどこかのご令嬢ではないのか?」
「あ……」
リーズはスープを飲む手を止めて、ニコラに少しずつ話始めた。
自分はフルーリー家の伯爵令嬢であること。
しかし先月頭を打った影響で記憶喪失になったこと。
そして父親に捨てられたこと──
全てを話し終えても実感がわかないからか、彼女から涙は一つも出なかった。
「そんなことが……」
「はい、でもよかったのかもしれません。このままでは家のみんなに迷惑をかけることになります。私がいなければ……」
「リーズ」
「は、はいっ!」
「その考えはやめなさい。必要とされない人なんかいない。皆誰かの大切な人なんだ」
「でも、私にはもう頼る人は……」
すると、ニコラはリーズの手を優しく握って微笑みながら告げた。
「では、私の妻になりませんか?」
「……ほえ?」
リーズは頭が真っ白になってしまい、スープを落としそうになる。
「ちょうど父上に縁談を組まされるところだったのでね、私はまだやらなきゃいけないことがあるんだ」
「良いのですか? 私で」
「君が、いい」
そうしてそっとリーズのおでこにニコラの唇が触れる。
顔を赤くするリーズにふふっと少し意地悪な微笑みを見せるニコラだった。
こうして、リーズはニコラの妻となった──
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