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第二部
閑話 ルノアール公爵家への道中の女子会
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ソフィとジルが新たな生活をしようとし、ソフィがルノアール公爵家に向かう途中の馬車の中では女子会がおこなわれていた。
そう言ってもソフィとメアリーの二人きりの女子会なのだが……。
「ジル様とお嬢様もホントに仲良しですよね~!」
「もう、今日からお嬢様はやめてって言ったのに」
「ああ、そうでしたね。奥様、でしょうか?!」
「それは早すぎるわよ」
「でも実際にそうなるわけですし……」
「そうだけど……」
そんな感じで主にメアリーがソフィとジルの仲をからかうような、そんな会話が繰り広げられている。
気恥ずかしくしながらも、なんとなくまんざらでもない反応を見せてしまうところに、ソフィ自身も自分の気のゆるみを感じていた。
「実際、やっぱり結婚式は盛大に海辺の教会とかでしょうか? うちの国で一番人気のプランだって聞きますし」
「そうね、でも私はそんな豪華じゃなくてもいいんじゃないかと思うんだけど」
「でも、ジル様がいろいろ手配して大々的にやってしまいそうですね」
「そうなのよ……」
幼馴染だからこそわかる、そして今だからこそわかるジルの愛の深さ。
そして彼はこだわったらものすごく細かく自分で手配から何からやってしまう性質。
ソフィにその気がなくても、絶対に盛大な結婚式をおこなうことはわかりきっていた。
「でも、おおよそはもう決まっているんですよね?」
「うん、私がどうしてもってお願いして、森の小さな教会にしたの」
「え? どうしてそこなんですか?」
メアリーは不思議に思ってソフィに首をかしげながら尋ねる。
確かに海辺の教会でもなく、そして近くの大きな教会でもなかった。
なぜ森の小さな教会なのか──
「そこはね、この国最初の図書館が建てられた場所だったの」
「へえ~! そうだったのですか!」
「ええ、もう何百年も前なんだけどね」
「なるほど、本好きなソフィ様らしいですね」
「ジルも納得してくれて、でも代わりに、その……」
「代わりに……?」
ソフィはもじもじとしながら言いにくそうに、気恥ずかしそうに俯きながら言う。
「ドレスはジルの好きなだけ着るって約束したの」
「え? それって何着くらい……」
「…………12着……」
「ええええーーーーーーーーー!!!!!!」
あまりの叫び声に馬車の御者や馬さえも驚いて一瞬ぐらりと揺れる。
ソフィは慌ててメアリーにしぃー!というように人差し指を口元にあてて声を小さくするように指示した。
「12着って……」
「ええ、やりすぎって何回もいったわよ。でも、お父様もお母様も喜ぶからって」
「ソフィ様、大変ですね」
「ええ」
メアリーはこの時に悟った。
愛が重い伴侶を抱えても大変なんだな、と──
そう言ってもソフィとメアリーの二人きりの女子会なのだが……。
「ジル様とお嬢様もホントに仲良しですよね~!」
「もう、今日からお嬢様はやめてって言ったのに」
「ああ、そうでしたね。奥様、でしょうか?!」
「それは早すぎるわよ」
「でも実際にそうなるわけですし……」
「そうだけど……」
そんな感じで主にメアリーがソフィとジルの仲をからかうような、そんな会話が繰り広げられている。
気恥ずかしくしながらも、なんとなくまんざらでもない反応を見せてしまうところに、ソフィ自身も自分の気のゆるみを感じていた。
「実際、やっぱり結婚式は盛大に海辺の教会とかでしょうか? うちの国で一番人気のプランだって聞きますし」
「そうね、でも私はそんな豪華じゃなくてもいいんじゃないかと思うんだけど」
「でも、ジル様がいろいろ手配して大々的にやってしまいそうですね」
「そうなのよ……」
幼馴染だからこそわかる、そして今だからこそわかるジルの愛の深さ。
そして彼はこだわったらものすごく細かく自分で手配から何からやってしまう性質。
ソフィにその気がなくても、絶対に盛大な結婚式をおこなうことはわかりきっていた。
「でも、おおよそはもう決まっているんですよね?」
「うん、私がどうしてもってお願いして、森の小さな教会にしたの」
「え? どうしてそこなんですか?」
メアリーは不思議に思ってソフィに首をかしげながら尋ねる。
確かに海辺の教会でもなく、そして近くの大きな教会でもなかった。
なぜ森の小さな教会なのか──
「そこはね、この国最初の図書館が建てられた場所だったの」
「へえ~! そうだったのですか!」
「ええ、もう何百年も前なんだけどね」
「なるほど、本好きなソフィ様らしいですね」
「ジルも納得してくれて、でも代わりに、その……」
「代わりに……?」
ソフィはもじもじとしながら言いにくそうに、気恥ずかしそうに俯きながら言う。
「ドレスはジルの好きなだけ着るって約束したの」
「え? それって何着くらい……」
「…………12着……」
「ええええーーーーーーーーー!!!!!!」
あまりの叫び声に馬車の御者や馬さえも驚いて一瞬ぐらりと揺れる。
ソフィは慌ててメアリーにしぃー!というように人差し指を口元にあてて声を小さくするように指示した。
「12着って……」
「ええ、やりすぎって何回もいったわよ。でも、お父様もお母様も喜ぶからって」
「ソフィ様、大変ですね」
「ええ」
メアリーはこの時に悟った。
愛が重い伴侶を抱えても大変なんだな、と──
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