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第三話
言えない気持ち
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「あ…っ、あぁっ」
将太が腰を動かす度に、怜希が震えながらしがみついてくる。先端で前立腺を激しく擦れば、前に触れる事なく精液が吹き出た。
「はぁ…っ、はぁ…っ」
パタッと布団の上に倒れ込んだ怜希は、将太がこれまで見てきた誰よりも艶っぽかった。抱く度に、怜希の身体が将太に馴染んでいくようだ。最初はあれだけきつかった蕾も、今では先端を当てただけでユルユルと入り口を開けてくれる。もっとも、奥はいまだに狭くて動かすだけでも一苦労だが。
「どうだ?気分は?」
将太が問えば、虚ろな瞳の怜希が微かに唇を動かす。後ろだけでイケるか試したいと言われ、今日は乳首や性器への愛撫はしていない。そのため、怜希が気持ちよさを感じるのはかなり遅かっただろう。
「本当に…、イケるんだな」
掠れた声には、微かな驚きと嬉しさが感じられた。将太は苦笑を浮かべると、ズルッと自身を抜き出す。抜く瞬間、怜希はいつも甘い声をあげる。イッたばかりだというのに、怜希の下半身が微かに反応した。将太はニヤリと笑うと、素早く指を絡める。
「なっ、何を…っ」
さすがに慌てたのか、怜希が小さく抵抗する。
「半勃ちじゃ辛いだろ?すぐにイカせてやる」
怜希を左手だけで抱き締め、右手を激しく動かす。短い喘ぎ声が室内に響く。怜希は抱かれる度に敏感になっていくようだ。たちまち将太の手の中が熱くなり、トロトロとした蜜がこぼれ出す。
(こうしていると、恋人同士みたいだ)
怜希の額や鼻先にキスをしながら、竿や玉を存分に愛撫する。怜希と暮らしてわかったのは、彼がとても不器用でほっとけないという事だ。
徹夜が続いた日は、ろくに食事もとっていない。水さえ、将太が言わなければ飲まないほどだ。着物が裏表でも気付かないし、寝癖のまま外出しようとする。そして、将太はそんな怜希の世話をするのが意外と楽しかった。元々世話好きな性格をしていた事もあって、毎日は充実していた。三食昼寝付きで、おまけに美味しい身体を毎夜のように堪能できるのだ。文句はない。それに…。
(こんな気持ちになるなんて…)
将太は、怜希の唇を奪った。驚きからか、怜希の動きが止まる。将太は構わず舌を存分に絡めた。わざとらしく音を立て、怜希の欲望を刺激した。濡れた音が、上からしているのか下からしているのかもわからなくなるぐらいしつこく愛した。実は、将太はこれまで男とのキスは殆ど経験していない。キスを望む者も少なかったし、しても触れる程度だった。自分からしたいと思ったのは、怜希だけだった。
ビクビクッと怜希の腰が先ほどより震え達すると、将太はやっと顔を離した。
「な…んで…?」
怜希がそっと自分の唇に触れる。怜希にとって、かなり驚く事だったらしい。
「したかったからだ」
照れくささから乱暴に答えると、将太は怜希をひっくり返した。
「まだ、するのか?」
無意識に逃げようとする腰を、将太は力ずくで戻した。
「俺はあんたを抱くのが仕事だ。男に抱かれる感覚を知りたいんだろ?」
「あ…っ、あっ、や…っ」
将太は怜希の尻を左右に押し広げ、マジマジとその奥を見つめた。やや赤くなった蕾から、タラっと蜜が溢れだす。この身体は、将太しか知らない。
将太は顔を近づけると、前を扱きながら舌で中を責めた。
「あぁっ、あーっ、あっ、はぁっ」
思わぬ刺激に、怜希は背筋を反らし悲鳴を上げる。布団を握りしめる指がブルブルと震え、背筋に汗の玉が浮かぶ。
(綺麗だ)
怜希は、これまで将太が抱いてきたどんな奴より綺麗だった。単に外見だけじゃない。何にも染まっていない、清らかな心を持っていた。将太からすると、怜希はまるでガラス細工だ。大切に扱わなくては、壊してしまいそうだ。その一方で、自分だけのものにしたい。自分だけを見てほしいという独占欲が生まれる。これが、きっと好きという気持ちなのだろう。
初めて、将太は誰かを好きだと思えた。だが、好きだの愛しているだのという言葉を怜希には言えない。将太は怜希に買われた身なのだ。聞けば、怜希の実家はかなりの名家だという。
所詮、男娼の自分では怜希とは釣り合いなんか取れない。
いづれ小説が完成したら、将太はお役ごめんとなる。好きになるだけ無駄なのだ。だが、せめて身体を繋いでいる時だけは自分の事だけを考えてほしい。
「息、止めるなよ」
将太は限界まで怜希の尻を広げると、ゆっくりと自身を挿入した。
「あぁぁぁぁぁぁぁっ、あっ、あぁぁぁぁぁぁっ」
怜希の声に、ほどなくして甘さが混じる。
この先、怜希が誰かと交わる時は必ず自分を思い出すだろうと将太はほくそ笑んだ。こうして激しい行為は、朝方まで続いた。
「お前は、なぜ男娼になったんだ?金のためか?それとも、大勢と性交したいがためか?」
腕枕をしているというのに、怜希の質問に色気はなかった。将太は眉を寄せて、怜希の質問に答えた。抱かれた後の怜希は、どこか幼さを感じさせる。無防備な眼差しも唇も愛おしい。
「どっちも違う。俺は、そうやって生きていくしかできなかったんだ」
将太は、これまで客に自分の事は何一つ教えてこなかった。哀れみや同情はされたくなかったし、小馬鹿にされるのも癪だった。だが、怜希になら話しても良いと思えた。
「俺は、物心ついた頃から母親と2人暮らしだったんだ」
ポツリポツリと話せば、時折怜希が微かな声で相槌を打つ。
「母親は、『秘蜜館』で一番の売れっ子だった」
名を揚羽という。西洋人の血が混じっているらしく、かなりの美人だった。
許嫁に逃げられた時には、将太を身ごもっていたため娼婦として生きるしかなかったそうだ。
「微かだけど覚えてる。いつも良い香りがした」
琴の名手でもあり、お座敷に呼ばれる事も多々あった。揚羽目当てに、財政界のトップクラスが押し掛けたという。だが、揚羽は簡単に股を開くような娼婦ではなかった。札束を積んでくるような客は、誰であろうと足蹴にした。そんな揚羽が、ある男に心を奪われてしまった。
「そいつは、小さい村の大工だったらしい」
泥だらけの姿で、揚羽会いたさに片道5時間という道程を走ってきたという。揚羽は、その男を贔屓にした。どんなに上客が来ていても、その男を優先した。
「気がついたら、お袋は男と逃げていた」
残された将太は、母親譲りの美貌から『秘蜜館』に引き取られた。客の取り方や、性交の仕方を教わった。
「生きるためには、どんな客でも抱かなきゃならなかった」
「…男娼をやめたいか?」
怜希が尋ねる。その問いに、将太は素直に頷いた。もし男娼でなかったら、きっと怜希とは違う形で触れあえた。
買った者と買われた者という立場ではなかったはずだ。
身体を繋げば繋ぐほど、心は離れていくような気がした。
天井を見上げた将太は気付かなかった。怜希が、なにかを言いかけてやめた事を…。
将太が腰を動かす度に、怜希が震えながらしがみついてくる。先端で前立腺を激しく擦れば、前に触れる事なく精液が吹き出た。
「はぁ…っ、はぁ…っ」
パタッと布団の上に倒れ込んだ怜希は、将太がこれまで見てきた誰よりも艶っぽかった。抱く度に、怜希の身体が将太に馴染んでいくようだ。最初はあれだけきつかった蕾も、今では先端を当てただけでユルユルと入り口を開けてくれる。もっとも、奥はいまだに狭くて動かすだけでも一苦労だが。
「どうだ?気分は?」
将太が問えば、虚ろな瞳の怜希が微かに唇を動かす。後ろだけでイケるか試したいと言われ、今日は乳首や性器への愛撫はしていない。そのため、怜希が気持ちよさを感じるのはかなり遅かっただろう。
「本当に…、イケるんだな」
掠れた声には、微かな驚きと嬉しさが感じられた。将太は苦笑を浮かべると、ズルッと自身を抜き出す。抜く瞬間、怜希はいつも甘い声をあげる。イッたばかりだというのに、怜希の下半身が微かに反応した。将太はニヤリと笑うと、素早く指を絡める。
「なっ、何を…っ」
さすがに慌てたのか、怜希が小さく抵抗する。
「半勃ちじゃ辛いだろ?すぐにイカせてやる」
怜希を左手だけで抱き締め、右手を激しく動かす。短い喘ぎ声が室内に響く。怜希は抱かれる度に敏感になっていくようだ。たちまち将太の手の中が熱くなり、トロトロとした蜜がこぼれ出す。
(こうしていると、恋人同士みたいだ)
怜希の額や鼻先にキスをしながら、竿や玉を存分に愛撫する。怜希と暮らしてわかったのは、彼がとても不器用でほっとけないという事だ。
徹夜が続いた日は、ろくに食事もとっていない。水さえ、将太が言わなければ飲まないほどだ。着物が裏表でも気付かないし、寝癖のまま外出しようとする。そして、将太はそんな怜希の世話をするのが意外と楽しかった。元々世話好きな性格をしていた事もあって、毎日は充実していた。三食昼寝付きで、おまけに美味しい身体を毎夜のように堪能できるのだ。文句はない。それに…。
(こんな気持ちになるなんて…)
将太は、怜希の唇を奪った。驚きからか、怜希の動きが止まる。将太は構わず舌を存分に絡めた。わざとらしく音を立て、怜希の欲望を刺激した。濡れた音が、上からしているのか下からしているのかもわからなくなるぐらいしつこく愛した。実は、将太はこれまで男とのキスは殆ど経験していない。キスを望む者も少なかったし、しても触れる程度だった。自分からしたいと思ったのは、怜希だけだった。
ビクビクッと怜希の腰が先ほどより震え達すると、将太はやっと顔を離した。
「な…んで…?」
怜希がそっと自分の唇に触れる。怜希にとって、かなり驚く事だったらしい。
「したかったからだ」
照れくささから乱暴に答えると、将太は怜希をひっくり返した。
「まだ、するのか?」
無意識に逃げようとする腰を、将太は力ずくで戻した。
「俺はあんたを抱くのが仕事だ。男に抱かれる感覚を知りたいんだろ?」
「あ…っ、あっ、や…っ」
将太は怜希の尻を左右に押し広げ、マジマジとその奥を見つめた。やや赤くなった蕾から、タラっと蜜が溢れだす。この身体は、将太しか知らない。
将太は顔を近づけると、前を扱きながら舌で中を責めた。
「あぁっ、あーっ、あっ、はぁっ」
思わぬ刺激に、怜希は背筋を反らし悲鳴を上げる。布団を握りしめる指がブルブルと震え、背筋に汗の玉が浮かぶ。
(綺麗だ)
怜希は、これまで将太が抱いてきたどんな奴より綺麗だった。単に外見だけじゃない。何にも染まっていない、清らかな心を持っていた。将太からすると、怜希はまるでガラス細工だ。大切に扱わなくては、壊してしまいそうだ。その一方で、自分だけのものにしたい。自分だけを見てほしいという独占欲が生まれる。これが、きっと好きという気持ちなのだろう。
初めて、将太は誰かを好きだと思えた。だが、好きだの愛しているだのという言葉を怜希には言えない。将太は怜希に買われた身なのだ。聞けば、怜希の実家はかなりの名家だという。
所詮、男娼の自分では怜希とは釣り合いなんか取れない。
いづれ小説が完成したら、将太はお役ごめんとなる。好きになるだけ無駄なのだ。だが、せめて身体を繋いでいる時だけは自分の事だけを考えてほしい。
「息、止めるなよ」
将太は限界まで怜希の尻を広げると、ゆっくりと自身を挿入した。
「あぁぁぁぁぁぁぁっ、あっ、あぁぁぁぁぁぁっ」
怜希の声に、ほどなくして甘さが混じる。
この先、怜希が誰かと交わる時は必ず自分を思い出すだろうと将太はほくそ笑んだ。こうして激しい行為は、朝方まで続いた。
「お前は、なぜ男娼になったんだ?金のためか?それとも、大勢と性交したいがためか?」
腕枕をしているというのに、怜希の質問に色気はなかった。将太は眉を寄せて、怜希の質問に答えた。抱かれた後の怜希は、どこか幼さを感じさせる。無防備な眼差しも唇も愛おしい。
「どっちも違う。俺は、そうやって生きていくしかできなかったんだ」
将太は、これまで客に自分の事は何一つ教えてこなかった。哀れみや同情はされたくなかったし、小馬鹿にされるのも癪だった。だが、怜希になら話しても良いと思えた。
「俺は、物心ついた頃から母親と2人暮らしだったんだ」
ポツリポツリと話せば、時折怜希が微かな声で相槌を打つ。
「母親は、『秘蜜館』で一番の売れっ子だった」
名を揚羽という。西洋人の血が混じっているらしく、かなりの美人だった。
許嫁に逃げられた時には、将太を身ごもっていたため娼婦として生きるしかなかったそうだ。
「微かだけど覚えてる。いつも良い香りがした」
琴の名手でもあり、お座敷に呼ばれる事も多々あった。揚羽目当てに、財政界のトップクラスが押し掛けたという。だが、揚羽は簡単に股を開くような娼婦ではなかった。札束を積んでくるような客は、誰であろうと足蹴にした。そんな揚羽が、ある男に心を奪われてしまった。
「そいつは、小さい村の大工だったらしい」
泥だらけの姿で、揚羽会いたさに片道5時間という道程を走ってきたという。揚羽は、その男を贔屓にした。どんなに上客が来ていても、その男を優先した。
「気がついたら、お袋は男と逃げていた」
残された将太は、母親譲りの美貌から『秘蜜館』に引き取られた。客の取り方や、性交の仕方を教わった。
「生きるためには、どんな客でも抱かなきゃならなかった」
「…男娼をやめたいか?」
怜希が尋ねる。その問いに、将太は素直に頷いた。もし男娼でなかったら、きっと怜希とは違う形で触れあえた。
買った者と買われた者という立場ではなかったはずだ。
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