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第三話 忘れられない男
お前が、忘れられない
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『倉橋覚は俺がもらう。いいな?』
幼馴染みの西嶋章悟から、早朝にかかってきた一方的な電話。中島敦人は、言われた意味を理解するまで軽く5秒はかかってしまった。
(覚?)
倉橋覚というのは、つい先日まで敦人が付き合っていた男の名前だ。見た目はまぁまぁ綺麗だが、平凡で刺激のない男。
(あいつ。ああいうのが趣味だったのか)
章悟は、誰もが振り返るようないい男だった。いつも連れているのは、モデル並の美人ばかり。敦人のような遊びの恋はしないが、かなり取っ替え引っ替えしていた。
そんな章悟が、なぜ覚のような地味な男を欲しがるのか敦人にはわからなかった。
(まぁ、見た目はいいもんな)
だが、綺麗な花も数日見ていれば飽きてしまうものだ。きっと、章悟だってすぐに覚を捨てる。敦人はそう考えていた。
「どうしたの?」
甘ったるい声に呼ばれてハッと顔を上げれば、あどけない表情の少年が小首を傾げる。昨夜バーでナンパした少年で、その舌技がたまらない。
「いい?」
返事も聞かないまま、少年が毛布の中へと潜り込む。寝ぼけているのか、舌がたどたどしく蠢いた。
「朝から、元気だな」
敦人は苦笑を浮かべながら、初めて覚と会った日を思い出していた。
敦人が覚と知り合ったのは、ゲイが集まるパーティーだった。視線やモジモジする仕草から、一目で男慣れしてない事がわかった。言葉巧みに誘いだし、その日のうちに美味しくいただいた。ちょうど恋人がいなかったから、退屈しのぎに交際を申し込んだ。覚は時々弁当を作ってきたり、こまめに連絡をくれた。お互い後腐れない方がいいと思い、デートも殆どしなかったが覚は文句1つ言わなかった。いわゆる、都合がいい男だったのだ。だが、次第に覚の健気さにうんざりしてきた。
(真面目な奴って、退屈なんだよな)
刺激的な日々を送りたい敦人にとって、覚との平凡な交際は苛立つばかりだった。そんな時に知り合ったのが、ショップ店員のジュンだ。本名も過去の恋愛も互いに聞かない遊びの関係。会いたい時に会って、セックスをしたければする。それだけのことだ。だが、ジュンとの交際は敦人に待ち望んだ刺激を与えた。ジュンに本気になっていった。
(そろそろ覚とは終わりだな)
スペイン旅行を計画した時は、それをお別れ旅行にするつもりだった。だが、目の前で泣かれるのはあまり好きではない。自分がたまらなく悪い男になった気がして後味が悪いからだ。だから、わざと行かなかった。
別れを切り出した時、責められると思った。だが、そうではなかった。覚はわかったと一言だけ呟いて通話を切った。
(最後まで聞き分けのいい男だったな)
あっさり別れた事に、敦人は内心物足りなさを感じていた。泣いて縋ってほしかったわけではないが、だからといってあまりにもスムーズ過ぎる。
(ま、オレには関係ないけどな)
どこで知り合ったのかは知らないが、章悟が欲しいというなら別に構わない。どうせ、2、3度抱いたら捨てるのだろう。
(章悟の奴。もう、覚とヤッたろうな)
章悟はホテルのベッドに寝転んだまま、ぼんやりとそんなことを考えていた。手の早い章悟のことだ。その日のうちにヤッたはずだ。そう思うと、敦人の心がチリッとする。章悟に抱かれて、乱れる覚を想像してしまったのだ。
(お気に入りのオモチャを捨てたら、違う奴が使ってたってところかな)
負け惜しみに、そう解釈してみる。自分が捨てたのだから、気にすることはないと。
なぜか覚のことばかりが思い出されてしまうのは、このホテルに関係している。
(・・・かわいかったな)
ここは、覚と初めての夜を過ごした場所だ。恥ずかしそうにしながら、敦人の愛撫に応えて甘く乱れていた覚。辛かったろうに、賢明に耐えていた。
と、バンッとものすごい音がする。視線を向ければ、バスローブを羽織っただけの少年がムスッと膨れていた。
「なんだよ、ここのシャワー。威力が足んないんだよね」
イライラした口調で少年が吐き捨てる。扱いにくそうなところが、敦人の好みだ。ジュンも可愛いが、彼も彼でたまらない。
(こういう奴を従順にさせるのが楽しいんだよな)
敦人は、少年の華奢な肩を優しく抱いた。
「窓の外を見てごらん。朝陽が綺麗だよ」
少年は窓の外を見ると、短く笑って敦人の腕の中から抜け出した。
「なにそれ。気分が萎える」
敦人は、これがジェネレーションギャップかななどと思っていた。
『こんな綺麗な風景。敦人と見れるなんて嬉しくてどうにかなってしまいそうだ』
そう言って恥ずかしそうに微笑んだ透の姿が浮かぶ。その面影をかき消すように、敦人は少年を激しく抱いた。一夜の遊び相手としては少年はパーフェクトと言えた。
覚に別れを告げてから、あっという間に半年がたとうとしていた。ジュンとは相変わらず気ままな関係を続けている。だが、虚しいという言葉だけが重なっていった。
(最近の子ってドライなのかね)
鳴らないスマホを眺めながら溜め息を吐く。ジュンから連絡が来ることは殆どない。敦人からメールしても、返信まで大体半年かかる。
(予約とるの、苦労したんだぞ)
今にも雨が降りそうな空を見上げて、敦人が眉を寄せる。
今日はジュンの23歳の誕生日。有名なフレンチがいいというから、なんとか予約したのだ。だが、待ち合わせの時間になってもジュンは現れなかった。携帯に連絡をしても繋がらない。
(そういえば)
記憶が正しければ、この近くに覚の勤務している会社があるはずだ。敦人の鼓動が高まる。
(覚のことだから、俺を忘れられないかもな)
章悟がいかに口説こうとも、覚はそう簡単になびかないだろうと敦人は考えていた。一途な覚のことだ。きっと、自分のことを恋しがって泣いているに違いない。敦人は、僅かな期待に足を早めた。
(覚みたいな従順な男が俺には合ってるんだ)
身勝手な考えだという自覚は、敦人にはなかった。
会社の側で、覚の携帯に電話をした。だが、聞こえてきたのは見ず知らずの女性の声だった。どうやら番号を変えたらしい。敦人の中で初めて焦りが生まれる。
(どういう事だ?)
自宅の住所は知らないし、覚はSNSもしていない。そのため、居場所を探すことは絶望的に思えた。
(このまま待ってるしかないか)
待つのは好きではなかったが、仕方ない。やがて、小雨が道路を濡らしていく。だが、敦人は濡れるのも構わず立ち続けた。
(会ったら謝ろう。それで、今度こそ一緒にスペインに行こう)
敦人は、今度こそ覚にとっていい彼氏になろうと決めた。優しくもするし、ずっと側にいる。
やがて、見覚えがあるシルエットが見えた。
(出てきた)
覚の姿に胸が高鳴る。鞄から折り畳み傘を取り出している。
「さと・・・」
チャンスとばかりに一歩踏み出した敦人は、そのまま固まってしまった。なぜなら、覚は1人ではなかったから。
(章悟?)
髪型が僅かに変わっていたが、そこには章悟がいた。当たり前のように折り畳み傘を取り上げると、覚に向かって手招きをする。
「恥ずかしいよ」
微かに覚の声がした。困ったような、それでいてどこか嬉しそうな声だ。やがて根負けしたのか、覚が章悟の横に並んで歩いていく。寄り添って歩く2人に、敦人は声をかけられなかった。
「マジかよ」
章悟の甘い眼差しとはにかんだ覚の笑顔。2人が交際していることはあきらかだった。
雨は次第に勢いを増していき、敦人の横を何人もの人が通りすぎていく。楽しそうに章悟を見上げる覚。ついこの前まで、その笑顔は敦人に向けられていた。
華やかなバラに気をとられ、ひっそりと寄り添う可憐な花に気がつけなかった。今頃、覚の存在の大きさに気付くなんて。
離さなきゃよかった。彼の手を、ずっと握っていればよかった。敦人は、自分の愚かさを思い知った。
「遅いよ!アッ君」
レストランの前では、膨れっ面のジュンがいた。おそらく、他の男にもらったのだろう。ブランドもののバッグをブラブラと提げている。
「ごめん」
「早く行こう。もう、お腹ペコペコ」
びしょ濡れの敦人に構わず、ジュンが店の中へと入っていく。
(もう、遅いのかな)
覚の笑顔を取り戻したい。ずっと側にいて欲しい。
敦人にとって、覚は忘れられない男となった。
幼馴染みの西嶋章悟から、早朝にかかってきた一方的な電話。中島敦人は、言われた意味を理解するまで軽く5秒はかかってしまった。
(覚?)
倉橋覚というのは、つい先日まで敦人が付き合っていた男の名前だ。見た目はまぁまぁ綺麗だが、平凡で刺激のない男。
(あいつ。ああいうのが趣味だったのか)
章悟は、誰もが振り返るようないい男だった。いつも連れているのは、モデル並の美人ばかり。敦人のような遊びの恋はしないが、かなり取っ替え引っ替えしていた。
そんな章悟が、なぜ覚のような地味な男を欲しがるのか敦人にはわからなかった。
(まぁ、見た目はいいもんな)
だが、綺麗な花も数日見ていれば飽きてしまうものだ。きっと、章悟だってすぐに覚を捨てる。敦人はそう考えていた。
「どうしたの?」
甘ったるい声に呼ばれてハッと顔を上げれば、あどけない表情の少年が小首を傾げる。昨夜バーでナンパした少年で、その舌技がたまらない。
「いい?」
返事も聞かないまま、少年が毛布の中へと潜り込む。寝ぼけているのか、舌がたどたどしく蠢いた。
「朝から、元気だな」
敦人は苦笑を浮かべながら、初めて覚と会った日を思い出していた。
敦人が覚と知り合ったのは、ゲイが集まるパーティーだった。視線やモジモジする仕草から、一目で男慣れしてない事がわかった。言葉巧みに誘いだし、その日のうちに美味しくいただいた。ちょうど恋人がいなかったから、退屈しのぎに交際を申し込んだ。覚は時々弁当を作ってきたり、こまめに連絡をくれた。お互い後腐れない方がいいと思い、デートも殆どしなかったが覚は文句1つ言わなかった。いわゆる、都合がいい男だったのだ。だが、次第に覚の健気さにうんざりしてきた。
(真面目な奴って、退屈なんだよな)
刺激的な日々を送りたい敦人にとって、覚との平凡な交際は苛立つばかりだった。そんな時に知り合ったのが、ショップ店員のジュンだ。本名も過去の恋愛も互いに聞かない遊びの関係。会いたい時に会って、セックスをしたければする。それだけのことだ。だが、ジュンとの交際は敦人に待ち望んだ刺激を与えた。ジュンに本気になっていった。
(そろそろ覚とは終わりだな)
スペイン旅行を計画した時は、それをお別れ旅行にするつもりだった。だが、目の前で泣かれるのはあまり好きではない。自分がたまらなく悪い男になった気がして後味が悪いからだ。だから、わざと行かなかった。
別れを切り出した時、責められると思った。だが、そうではなかった。覚はわかったと一言だけ呟いて通話を切った。
(最後まで聞き分けのいい男だったな)
あっさり別れた事に、敦人は内心物足りなさを感じていた。泣いて縋ってほしかったわけではないが、だからといってあまりにもスムーズ過ぎる。
(ま、オレには関係ないけどな)
どこで知り合ったのかは知らないが、章悟が欲しいというなら別に構わない。どうせ、2、3度抱いたら捨てるのだろう。
(章悟の奴。もう、覚とヤッたろうな)
章悟はホテルのベッドに寝転んだまま、ぼんやりとそんなことを考えていた。手の早い章悟のことだ。その日のうちにヤッたはずだ。そう思うと、敦人の心がチリッとする。章悟に抱かれて、乱れる覚を想像してしまったのだ。
(お気に入りのオモチャを捨てたら、違う奴が使ってたってところかな)
負け惜しみに、そう解釈してみる。自分が捨てたのだから、気にすることはないと。
なぜか覚のことばかりが思い出されてしまうのは、このホテルに関係している。
(・・・かわいかったな)
ここは、覚と初めての夜を過ごした場所だ。恥ずかしそうにしながら、敦人の愛撫に応えて甘く乱れていた覚。辛かったろうに、賢明に耐えていた。
と、バンッとものすごい音がする。視線を向ければ、バスローブを羽織っただけの少年がムスッと膨れていた。
「なんだよ、ここのシャワー。威力が足んないんだよね」
イライラした口調で少年が吐き捨てる。扱いにくそうなところが、敦人の好みだ。ジュンも可愛いが、彼も彼でたまらない。
(こういう奴を従順にさせるのが楽しいんだよな)
敦人は、少年の華奢な肩を優しく抱いた。
「窓の外を見てごらん。朝陽が綺麗だよ」
少年は窓の外を見ると、短く笑って敦人の腕の中から抜け出した。
「なにそれ。気分が萎える」
敦人は、これがジェネレーションギャップかななどと思っていた。
『こんな綺麗な風景。敦人と見れるなんて嬉しくてどうにかなってしまいそうだ』
そう言って恥ずかしそうに微笑んだ透の姿が浮かぶ。その面影をかき消すように、敦人は少年を激しく抱いた。一夜の遊び相手としては少年はパーフェクトと言えた。
覚に別れを告げてから、あっという間に半年がたとうとしていた。ジュンとは相変わらず気ままな関係を続けている。だが、虚しいという言葉だけが重なっていった。
(最近の子ってドライなのかね)
鳴らないスマホを眺めながら溜め息を吐く。ジュンから連絡が来ることは殆どない。敦人からメールしても、返信まで大体半年かかる。
(予約とるの、苦労したんだぞ)
今にも雨が降りそうな空を見上げて、敦人が眉を寄せる。
今日はジュンの23歳の誕生日。有名なフレンチがいいというから、なんとか予約したのだ。だが、待ち合わせの時間になってもジュンは現れなかった。携帯に連絡をしても繋がらない。
(そういえば)
記憶が正しければ、この近くに覚の勤務している会社があるはずだ。敦人の鼓動が高まる。
(覚のことだから、俺を忘れられないかもな)
章悟がいかに口説こうとも、覚はそう簡単になびかないだろうと敦人は考えていた。一途な覚のことだ。きっと、自分のことを恋しがって泣いているに違いない。敦人は、僅かな期待に足を早めた。
(覚みたいな従順な男が俺には合ってるんだ)
身勝手な考えだという自覚は、敦人にはなかった。
会社の側で、覚の携帯に電話をした。だが、聞こえてきたのは見ず知らずの女性の声だった。どうやら番号を変えたらしい。敦人の中で初めて焦りが生まれる。
(どういう事だ?)
自宅の住所は知らないし、覚はSNSもしていない。そのため、居場所を探すことは絶望的に思えた。
(このまま待ってるしかないか)
待つのは好きではなかったが、仕方ない。やがて、小雨が道路を濡らしていく。だが、敦人は濡れるのも構わず立ち続けた。
(会ったら謝ろう。それで、今度こそ一緒にスペインに行こう)
敦人は、今度こそ覚にとっていい彼氏になろうと決めた。優しくもするし、ずっと側にいる。
やがて、見覚えがあるシルエットが見えた。
(出てきた)
覚の姿に胸が高鳴る。鞄から折り畳み傘を取り出している。
「さと・・・」
チャンスとばかりに一歩踏み出した敦人は、そのまま固まってしまった。なぜなら、覚は1人ではなかったから。
(章悟?)
髪型が僅かに変わっていたが、そこには章悟がいた。当たり前のように折り畳み傘を取り上げると、覚に向かって手招きをする。
「恥ずかしいよ」
微かに覚の声がした。困ったような、それでいてどこか嬉しそうな声だ。やがて根負けしたのか、覚が章悟の横に並んで歩いていく。寄り添って歩く2人に、敦人は声をかけられなかった。
「マジかよ」
章悟の甘い眼差しとはにかんだ覚の笑顔。2人が交際していることはあきらかだった。
雨は次第に勢いを増していき、敦人の横を何人もの人が通りすぎていく。楽しそうに章悟を見上げる覚。ついこの前まで、その笑顔は敦人に向けられていた。
華やかなバラに気をとられ、ひっそりと寄り添う可憐な花に気がつけなかった。今頃、覚の存在の大きさに気付くなんて。
離さなきゃよかった。彼の手を、ずっと握っていればよかった。敦人は、自分の愚かさを思い知った。
「遅いよ!アッ君」
レストランの前では、膨れっ面のジュンがいた。おそらく、他の男にもらったのだろう。ブランドもののバッグをブラブラと提げている。
「ごめん」
「早く行こう。もう、お腹ペコペコ」
びしょ濡れの敦人に構わず、ジュンが店の中へと入っていく。
(もう、遅いのかな)
覚の笑顔を取り戻したい。ずっと側にいて欲しい。
敦人にとって、覚は忘れられない男となった。
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