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第五章
美しく完璧な執事は、恋人に永遠の愛を誓う
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今宵が月夜で良かった。陽太は、フワリと明るい庭を見てホッとした。広い広い平野家の庭。今でこそどこに何があるかわかるが、最初のうちは1人で歩く度に迷子になったものだ。その庭を、陽太は既に1時間近く四つん這いの状態で探しものをしていた。
「あった」
小さな花を見つけた陽太は、思わず叫んでしまった。慌てて両手で口を塞ぎ、周囲をキョロキョロと見回す。この家の当主である平野聡真も、執事である小野智樹も今はぐっすり眠っている。陽太の声で起こしてはならないのだ。
(智樹。喜んでくれるかな)
亜麻色の髪と瞳をした美しい顔を思い出し、陽太は知らず頬を染めた。黙っていると冷徹に見えるが、陽太に対してはいつも蕩けるような笑顔をくれる智樹。大好きな大好きな陽太の恋人。
(恋人、か)
半年以上前。陽太は、着の身着のままでこの屋敷に辿り着いた。聡真や智樹に優しく迎えられ、食べたこともないご馳走や、暖かな服や布団を与えてもらった。悪夢に怯える陽太を、智樹は優しく抱き締めてくれた。更には、愛していると・・・。
(俺なんかの、どこがいいんだろう)
わからないが、智樹は毎晩のように愛してくれる。傷だらけの身体を、綺麗だと言ってくれる。
「難しいなぁ」
たどたどしい指で、陽太は賢明に花を編んでいく。すぐに失敗してしまっては、また同じ動作を繰り返す。
(こんなんじゃ、喜んでもらえない)
智樹が持っているものは、すべて高級品だ。燕尾服も、筆記用具も、懐中時計も。陽太が見たこともないようなものばかりだ。こんなものを喜んでくれるとは思えなかった。でも、陽太はなんらかの形で自分の気持ちを表現したかったのだ。
(智樹になら、もっと素敵な人がいたのに・・・)
平野家の執事となるべく、智樹はこれまで厳しい鍛錬を積んできたらしい。喜怒哀楽を出す事がないため、周囲からは機械仕掛けのようだとも言われている。聡真以外には心を開かない孤高の存在。その智樹が、陽太にだけは心を許してくれる。
誰かの事を思ってドキドキしたり切なくなるなんて、これまでの陽太には知らなかった感情だ。誰かを愛する事が、こんなにも幸せな気持ちになるのだと智樹が教えてくれた。
「できた」
小さな小さな花の指輪。陽太は、これを智樹にあげたかったのだ。
きっかけは、漢字の勉強にと聡真がくれた絵本だ。そこで、初めて指輪というものを知った。
「智樹の指に入るかな」
完成した指輪を月にかざして、陽太が満足そうに目を細める。
絵本では、貧しい村娘が愛する男性のために花の指輪を贈るということが書かれていた。
『何もない私ですが。この真心を込めた指輪に永遠の愛を誓います』
少女の愛は男性に通じた。2人の愛は永遠に続いたのだ。
(俺も、智樹とずっと一緒にいたい)
陽太にとって、この指輪は智樹への永遠の愛を誓うためのものなのだ。陽太は、壊れそうな小さな指輪を大切に抱えながら屋敷へと戻った。
そっと寝室に入ると、智樹が寝ていることを確かめた。
(良かった。気づいてない)
寝顔も綺麗だなと、陽太は思わず見惚れてしまった。慌てて本来の目的を思い出す。
「朝になったら、きっと捨てられちゃうだろうけど」
智樹を起こさないように、そっと左手の薬指に指輪をはめる。白くて綺麗な指に、薄紫の花がよく似合っていた。陽太は安心したように、智樹の横で目を閉じた。ものの数分で、穏やかな寝息が聞こえてくる。
(何をしているのかと思えば)
陽太の寝息を確認した智樹が、ゆっくりと目を開けた。夜中に自分の腕から陽太が抜け出した時から、ずっと起きていた。そして、庭先から聞こえる音にずっと耳を澄ましていたのだ。
(綺麗だな・・・)
自分の薬指にはめられた花の指輪を見た智樹が、少しだけ目元を和らげる。
(どうして、お前はこうもいちいち可愛いことをしてくれるのだろう)
そっと柔らかな黒髪に唇を押し当てると、夜風の冷たい香りがした。全身が冷えていたので、智樹は陽太を自分の胸へと抱き寄せる。無意識なのだろうが、陽太が嬉しそうに笑みを浮かべた。
(愛してる。言葉では足りないぐらい、愛している)
智樹は、陽太を好きになって、初めて自分にも人間らしい一面があったのだと気がついた。これまでの自分は、ただ聡真を守る事しか考えていなかった。それが自身の喜びだと、ずっと思ってきたのだ。
聡真の事は、今でも大切な主だ。地位など関係なく守るだろう。だが、陽太は違う。陽太は、智樹が心から愛おしいと思える唯一の存在だ。
聡真を守るのは、自分以外でも構わない。だが、陽太の横にはいつも自分がいたい。誰にも、渡したくない。
翌朝。目が覚めた陽太は、自身の薬指を見て驚いた。そこには、まるで芸術品のように美しい花の指輪が飾られていたのだ。
まるで、永遠の愛を誓ってもらったようで、嬉しかった。
「ただいま帰りました」
玄関から明るい声が聞こえてくる。時刻は午前10時。時間はちゃんと守ったようだ。
「お帰り。ずいぶん急いで来たんだね」
智樹が微笑めば、陽太がポッと耳まで赤くなった。
あの日。花の指輪を互いに渡した時から、陽太はどこか様子がおかしい。目が合えば逃げていくし、唇を寄せれば顔を背ける。
「どうした?何かあったのか?」
「あ、ううんっ。なんでも、なんでもないよっ」
慌てたように陽太は自室に向かった。
(許すのではなかった)
最近、陽太は涼雅の店である『蜜月堂』を手伝いに行っている。陽太がどうしても手伝いたいと言うので行かせたのだが、それから様子が変なのだ。
智樹はパウンドケーキを切ると、小皿に綺麗に並べた。
そして、シワ1つない燕尾服を翻し、廊下の奥へと向かった。
「旦那様。お茶の時間です」
スッと音もなく戸を開けて、紅茶とパウンドケーキを入れる。
と、同時に1枚の紙が智樹の前へとゆっくり流れてくる。
お前らしくないよ。
心が乱れているね。
気になるなら、陽太とよく話し合いなさい。
「・・・はい」
智樹は、そっと胸に手を当てた。陽太の気持ちがわからない。それだけで、こんなにも心細い気持ちになるなんて。
「昔の私からは想像もできないな」
智樹にとって、恋愛なんて考えたこともなかった。生まれながらに執事としての教育を受けて、感情など邪魔なものだと思ってきた。だが、陽太と会って変わった。陽太を愛しいと思えば思うほど、彼が欲しくなる。
「陽太」
夜。智樹は、寝たフリをしている陽太を布団ごと抱き締めた。
ビクッと陽太の身体が震える。
「な、何すんだよっ」
布団から出た陽太が見たのは、不安そうな智樹の顔だった。
「智樹?」
「こうしてないと、不安なんだ」
智樹が陽太を見つめる。とても、切ない瞳で・・・。
「お前が、私から離れていきそうで・・・。怖いんだ」
「え?」
それは、陽太が初めて見る智樹の顔だった。いつもの冷静さが嘘のように、とても儚げだった。
「大丈夫。俺は、どこにも行かないよ。大丈夫」
陽太が慰めるように智樹に口づける。最初は触れ合うだけだった唇が、やがて深くなっていった。
「ん・・・っ、んんっ、んっ」
その日。智樹の愛撫はいつもと違って、かなり激しかった。陽太は、恥ずかしさと不安から智樹にギュッとしがみついた。やがて、互いの熱が解き放たれる。
「怖かったか?」
深く繋がったまま、智樹が不安げに尋ねる。いささか性急過ぎたかと心配していれば、陽太がチュッと唇を重ねてきた。
「怖くないよ。智樹だから」
陽太の細い腕が首に絡み付く。
より、2人の身体が密着した。
「どんなに乱暴にされたって、怖くないよ」
健気に微笑む陽太に、智樹が切なげに眉を寄せる。
「すまない。少し、乱暴にしてしまった」
智樹は、これまで自分が抱えていた不安や苛立ちを素直に話した。
「涼雅のところに手伝いに行ってから、お前が変わった気がして・・・」
涼雅の名前を出した瞬間。陽太が慌てて首を左右に振る。
「違うよっ。ただ、指輪を・・・っ、あっ」
「指輪?」
「あ、いや、あの・・・」
「陽太」
智樹の声に、陽太はオズオズと話し始めた。
智樹からもらった花の指輪が、あまりにも嬉しかった。嬉しくて、誰かに自慢したくて『蜜月堂』へ行ったのだ。そこで、涼雅に見せたら・・・。
「へぇ。ブルースターか。よく花嫁さんのブーケに使われるな」
と言われたのだ。プロポーズされたんだろうとからかわれたのだ。
「智樹が俺になんて、ありえないのに。急に、意識しちゃって」
真っ赤になって話す陽太がかわいくて、智樹は思わず強く抱き締めた。そして、その細く美しい薬指に口づける。
「涼雅の言葉は正しい。俺は、あの指輪に永遠の愛を込めたんだ」
「え?」
「ブルースターの花言葉には、幸福な愛というものがある。私は、お前にありったけの愛を与えたい」
智樹は、再び陽太を押し倒すとそのまま深く口づけた。躊躇いがちに背中に腕が回ったのを合図に、智樹は深くその身を沈めた。
「永遠に、愛している」
囁かれたその言葉に、陽太はこれ以上ないくらいの幸福を感じた。
2人が作った花の指輪はドライフラワーとされ、大切に飾られた。
「あった」
小さな花を見つけた陽太は、思わず叫んでしまった。慌てて両手で口を塞ぎ、周囲をキョロキョロと見回す。この家の当主である平野聡真も、執事である小野智樹も今はぐっすり眠っている。陽太の声で起こしてはならないのだ。
(智樹。喜んでくれるかな)
亜麻色の髪と瞳をした美しい顔を思い出し、陽太は知らず頬を染めた。黙っていると冷徹に見えるが、陽太に対してはいつも蕩けるような笑顔をくれる智樹。大好きな大好きな陽太の恋人。
(恋人、か)
半年以上前。陽太は、着の身着のままでこの屋敷に辿り着いた。聡真や智樹に優しく迎えられ、食べたこともないご馳走や、暖かな服や布団を与えてもらった。悪夢に怯える陽太を、智樹は優しく抱き締めてくれた。更には、愛していると・・・。
(俺なんかの、どこがいいんだろう)
わからないが、智樹は毎晩のように愛してくれる。傷だらけの身体を、綺麗だと言ってくれる。
「難しいなぁ」
たどたどしい指で、陽太は賢明に花を編んでいく。すぐに失敗してしまっては、また同じ動作を繰り返す。
(こんなんじゃ、喜んでもらえない)
智樹が持っているものは、すべて高級品だ。燕尾服も、筆記用具も、懐中時計も。陽太が見たこともないようなものばかりだ。こんなものを喜んでくれるとは思えなかった。でも、陽太はなんらかの形で自分の気持ちを表現したかったのだ。
(智樹になら、もっと素敵な人がいたのに・・・)
平野家の執事となるべく、智樹はこれまで厳しい鍛錬を積んできたらしい。喜怒哀楽を出す事がないため、周囲からは機械仕掛けのようだとも言われている。聡真以外には心を開かない孤高の存在。その智樹が、陽太にだけは心を許してくれる。
誰かの事を思ってドキドキしたり切なくなるなんて、これまでの陽太には知らなかった感情だ。誰かを愛する事が、こんなにも幸せな気持ちになるのだと智樹が教えてくれた。
「できた」
小さな小さな花の指輪。陽太は、これを智樹にあげたかったのだ。
きっかけは、漢字の勉強にと聡真がくれた絵本だ。そこで、初めて指輪というものを知った。
「智樹の指に入るかな」
完成した指輪を月にかざして、陽太が満足そうに目を細める。
絵本では、貧しい村娘が愛する男性のために花の指輪を贈るということが書かれていた。
『何もない私ですが。この真心を込めた指輪に永遠の愛を誓います』
少女の愛は男性に通じた。2人の愛は永遠に続いたのだ。
(俺も、智樹とずっと一緒にいたい)
陽太にとって、この指輪は智樹への永遠の愛を誓うためのものなのだ。陽太は、壊れそうな小さな指輪を大切に抱えながら屋敷へと戻った。
そっと寝室に入ると、智樹が寝ていることを確かめた。
(良かった。気づいてない)
寝顔も綺麗だなと、陽太は思わず見惚れてしまった。慌てて本来の目的を思い出す。
「朝になったら、きっと捨てられちゃうだろうけど」
智樹を起こさないように、そっと左手の薬指に指輪をはめる。白くて綺麗な指に、薄紫の花がよく似合っていた。陽太は安心したように、智樹の横で目を閉じた。ものの数分で、穏やかな寝息が聞こえてくる。
(何をしているのかと思えば)
陽太の寝息を確認した智樹が、ゆっくりと目を開けた。夜中に自分の腕から陽太が抜け出した時から、ずっと起きていた。そして、庭先から聞こえる音にずっと耳を澄ましていたのだ。
(綺麗だな・・・)
自分の薬指にはめられた花の指輪を見た智樹が、少しだけ目元を和らげる。
(どうして、お前はこうもいちいち可愛いことをしてくれるのだろう)
そっと柔らかな黒髪に唇を押し当てると、夜風の冷たい香りがした。全身が冷えていたので、智樹は陽太を自分の胸へと抱き寄せる。無意識なのだろうが、陽太が嬉しそうに笑みを浮かべた。
(愛してる。言葉では足りないぐらい、愛している)
智樹は、陽太を好きになって、初めて自分にも人間らしい一面があったのだと気がついた。これまでの自分は、ただ聡真を守る事しか考えていなかった。それが自身の喜びだと、ずっと思ってきたのだ。
聡真の事は、今でも大切な主だ。地位など関係なく守るだろう。だが、陽太は違う。陽太は、智樹が心から愛おしいと思える唯一の存在だ。
聡真を守るのは、自分以外でも構わない。だが、陽太の横にはいつも自分がいたい。誰にも、渡したくない。
翌朝。目が覚めた陽太は、自身の薬指を見て驚いた。そこには、まるで芸術品のように美しい花の指輪が飾られていたのだ。
まるで、永遠の愛を誓ってもらったようで、嬉しかった。
「ただいま帰りました」
玄関から明るい声が聞こえてくる。時刻は午前10時。時間はちゃんと守ったようだ。
「お帰り。ずいぶん急いで来たんだね」
智樹が微笑めば、陽太がポッと耳まで赤くなった。
あの日。花の指輪を互いに渡した時から、陽太はどこか様子がおかしい。目が合えば逃げていくし、唇を寄せれば顔を背ける。
「どうした?何かあったのか?」
「あ、ううんっ。なんでも、なんでもないよっ」
慌てたように陽太は自室に向かった。
(許すのではなかった)
最近、陽太は涼雅の店である『蜜月堂』を手伝いに行っている。陽太がどうしても手伝いたいと言うので行かせたのだが、それから様子が変なのだ。
智樹はパウンドケーキを切ると、小皿に綺麗に並べた。
そして、シワ1つない燕尾服を翻し、廊下の奥へと向かった。
「旦那様。お茶の時間です」
スッと音もなく戸を開けて、紅茶とパウンドケーキを入れる。
と、同時に1枚の紙が智樹の前へとゆっくり流れてくる。
お前らしくないよ。
心が乱れているね。
気になるなら、陽太とよく話し合いなさい。
「・・・はい」
智樹は、そっと胸に手を当てた。陽太の気持ちがわからない。それだけで、こんなにも心細い気持ちになるなんて。
「昔の私からは想像もできないな」
智樹にとって、恋愛なんて考えたこともなかった。生まれながらに執事としての教育を受けて、感情など邪魔なものだと思ってきた。だが、陽太と会って変わった。陽太を愛しいと思えば思うほど、彼が欲しくなる。
「陽太」
夜。智樹は、寝たフリをしている陽太を布団ごと抱き締めた。
ビクッと陽太の身体が震える。
「な、何すんだよっ」
布団から出た陽太が見たのは、不安そうな智樹の顔だった。
「智樹?」
「こうしてないと、不安なんだ」
智樹が陽太を見つめる。とても、切ない瞳で・・・。
「お前が、私から離れていきそうで・・・。怖いんだ」
「え?」
それは、陽太が初めて見る智樹の顔だった。いつもの冷静さが嘘のように、とても儚げだった。
「大丈夫。俺は、どこにも行かないよ。大丈夫」
陽太が慰めるように智樹に口づける。最初は触れ合うだけだった唇が、やがて深くなっていった。
「ん・・・っ、んんっ、んっ」
その日。智樹の愛撫はいつもと違って、かなり激しかった。陽太は、恥ずかしさと不安から智樹にギュッとしがみついた。やがて、互いの熱が解き放たれる。
「怖かったか?」
深く繋がったまま、智樹が不安げに尋ねる。いささか性急過ぎたかと心配していれば、陽太がチュッと唇を重ねてきた。
「怖くないよ。智樹だから」
陽太の細い腕が首に絡み付く。
より、2人の身体が密着した。
「どんなに乱暴にされたって、怖くないよ」
健気に微笑む陽太に、智樹が切なげに眉を寄せる。
「すまない。少し、乱暴にしてしまった」
智樹は、これまで自分が抱えていた不安や苛立ちを素直に話した。
「涼雅のところに手伝いに行ってから、お前が変わった気がして・・・」
涼雅の名前を出した瞬間。陽太が慌てて首を左右に振る。
「違うよっ。ただ、指輪を・・・っ、あっ」
「指輪?」
「あ、いや、あの・・・」
「陽太」
智樹の声に、陽太はオズオズと話し始めた。
智樹からもらった花の指輪が、あまりにも嬉しかった。嬉しくて、誰かに自慢したくて『蜜月堂』へ行ったのだ。そこで、涼雅に見せたら・・・。
「へぇ。ブルースターか。よく花嫁さんのブーケに使われるな」
と言われたのだ。プロポーズされたんだろうとからかわれたのだ。
「智樹が俺になんて、ありえないのに。急に、意識しちゃって」
真っ赤になって話す陽太がかわいくて、智樹は思わず強く抱き締めた。そして、その細く美しい薬指に口づける。
「涼雅の言葉は正しい。俺は、あの指輪に永遠の愛を込めたんだ」
「え?」
「ブルースターの花言葉には、幸福な愛というものがある。私は、お前にありったけの愛を与えたい」
智樹は、再び陽太を押し倒すとそのまま深く口づけた。躊躇いがちに背中に腕が回ったのを合図に、智樹は深くその身を沈めた。
「永遠に、愛している」
囁かれたその言葉に、陽太はこれ以上ないくらいの幸福を感じた。
2人が作った花の指輪はドライフラワーとされ、大切に飾られた。
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