双子のイケメン執事達と恋愛しています

すいかちゃん

文字の大きさ
上 下
5 / 5
第五話

双子のイケメン執事達は、可愛い主を独り占めしたい

しおりを挟む
篤と悟が生まれた小野家は、代々執事として様々な名家に仕えてきた。なかでも、古くから恩がある平野家には優秀な執事が派遣されている。双子として生まれた篤と悟の能力は、一族のなかでもピカ一であった。立ち居振舞いはもちろん、武芸にも長けていた。
当初、2人は平野グループの御曹司である秋久の執事に選ばれた。が、彼の度重なるワガママな行動に匙を投げた。
「このような主に仕えたくはありません」
それが、2人の意見だった。本来なら、執事が主を捨てるなどあってはならない。だが、小野家は違う。小野家の執事は、自ら主を選ぶ事ができるのだ。
そんな2人に、新しい主が紹介された。
「平野勇人様?そのような人物は平野家には居ませんが…」
渡された写真を見ながら、篤が不思議そうに尋ねる。
「知らないのは当然だ。なぜなら、勇人様は外の人間だ」
「外の?」
そこで、篤と悟は当主の祥平が子連れの女性と再婚する事を知った。
「しかし、彼は平野家の血を引いていません」
「オレ達が気に入れば、仕えてやるよ」
篤と悟は、早速勇人の事を調べた。母子家庭で育ち、学校ではイジメにあった経験もあるらしい。だが、はちきれんばかりの笑顔はそんな過去を感じさせなかった。
「なんだろう、この気持ち…」
勇人を遠巻きに見ていた悟が、自身の胸を抑える。篤も同じような顔をしている。
「私もだ。なぜだか、あの笑顔に惹かれる…」
それは、双子にとっては未経験の感情だった。勇人の笑顔を見る度に心が踊る。彼らが接する主達は、皆どこか傲慢で冷徹だった。温厚な祥平とて、執事に対してはどこか壁を作っている。
だが、勇人のクルクル変わる表情に嘘や詭弁はない。あるのは、『純粋』という言葉だけだ。
「よ、よろしくお願いします。篤さん、悟さん」
実際に会った勇人に、双子はますます好感度を抱いた。水を頼む時でさえ、とても遠慮がちなのだ。おまけに、篤と悟を一目で見分けてくれる。
双子の気持ちは、日に日に高ぶっていった。
「篤。もしかして、オレ、勇人様の事が好きかもしれない」
勇人の寝顔を見つめながら、悟がポソッと呟く。
「私もだ。寝顔を見ているだけで、幸福な気持ちになる」
勇人のサラサラとした黒髪を撫でながら、篤も告白する。

「あの頃は、見ているだけで良かったのに」
悟がスッと目を細める。目の前のベッドでは、篤と勇人が抱き合って眠っている。無意識なのか、勇人が甘えるように篤の首元に顔を埋めた。悟にとって、篤は大切な兄だ。何をするのも一緒だった。だが、これだけは違う。
「ちょっと風呂に入っている間に、何勇人様を独り占めしてんだよっ」
悟が喚けば、篤が片目だけ開けてシッと指で合図をした。
「勇人様はお疲れなのだ。騒ぐな」
篤が、これみよがしに勇人の身体を抱き寄せる。悟は自分もベッドに入ると、勇人の身体を引き寄せた。
「悟。やめなさい」
「勇人様は、オレと寝るのを望んでいるはずだ」
悟の言葉に、篤はかなり不機嫌になった。悟は、幼い頃から感情を素直に出すタイプだった。そして、いつも篤よりも優位に立ちたがるのだ。
「なぜ勇人様の気持ちがわかる?」
「この間なんか、勇人様が口で奉仕してくれたんだぜ。お前、まだだろ?」
勇人の唇を親指でなぞりながら、悟がニヤリと笑う。篤の目の色が変わった。
「あれは、お前が強引にさせた事だろう」
「勇人様がしたいって言ったんだ」
いつも奉仕してもらうお礼がしたいと勇人が言ったのだ。そこで、悟がおねだりをしたというわけだ。恥ずかしそうに頬を染めながら、小さな口で懸命に奉仕する姿は堪らなくかわいかった。その光景を見た時の篤の顔は、悟を更に調子に乗らせた。篤は、フッと笑う。
「私は、勇人様から抱いて欲しいとおねだりされたぞ」
悟の手から勇人を奪った篤がニヤリと笑う。勇人はストレスが溜まると、エッチで気を紛らわせようとするらしい。秋久に嫌味を言われた夜。風呂場で可愛くおねだりされたのだ。悟はいなかったため、篤はその身体を独り占めした。泡だらけになった身体で抱きつかれ、篤の理性は吹き飛んだ。
「…にしても」
「起きないな」
よほど疲れていたのか、勇人は全く起きる気配はない。双子は視線を合わせると、あっという間に勇人を全裸にしてしまった。
「どっちが勇人様の身体を知り尽くしているか…」
「勝負だ」
そして、勇人の意思とは関係ない勝負が始まった。
「キスは、オレの方がうまい」
悟は、勇人の小さな舌をゆっくり絡めた。
「ん…、ん…っ」
眠っていても、快楽は感じるらしい。勇人の頬がうっすら染まり、無意識に腰を揺らす。
「どけ。そんな拙い舌技で勇人様を焦らすな」
今度は篤が、丹念に勇人の口腔内を舐めねぶる。
「んっ、んんっ、んっ」
ビクッビクッと勇人の腰が大きく揺れた。悟はその様子にムッとして、勇人の乳首を激しく吸う。すると、反対側を篤が強く吸った。
「はぁ…っ、あっ」
勇人がビクビクッと跳ねながら達した。篤がニヤッと笑う。
「私が吸った瞬間に、勇人様は絶頂を迎えた」
「なっ。違うっ」
篤と悟はしばらく睨み合うと、今度は勇人の下半身へと顔を埋めた。左右から同時に舐めれば、勇人の目蓋がゆっくり開いた。
「あ…っ、んっ、え?な、何っ、あっ、あぁっ」
いきなりのフェラに慌てた勇人は、あっという間に達してしまった。全裸で仰向けにされ、身体をいいように弄られているのだ。慌てるなという方が無理である。
「どういう事か説明してくださいっ」
枕を抱き締めて勇人が抗議する。篤と悟は、これまでの経緯をザッと説明した。
「勇人様を独占したい。オレだけの主にしたい」
「私もです。あなたの心も身体も、悟に渡したくない」
双子に哀願され、勇人は困惑した。が、静かに2人を見つめる。
「俺は、篤も悟も大好きだよ。どちらか選ぶなんて、出来ない。2人と、愛し合いたい」
恥ずかしそうに話す勇人は、とてもいじらしく、そして愛らしかった。双子の視線は、自然と勇人の下半身へと注がれる。ソコは、双子の愛撫を期待しているかのようだ。
「では、勇人様」
「今夜は、オレ達と同時に繋がって」
「え?同時に?うわっ、あっ、無理っ、無理ぃっ、あっ、あ…ん」
勇人の声が甘く、最高に淫らになったのは言うまでもない。
しおりを挟む

この作品は感想を受け付けておりません。

あなたにおすすめの小説

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜のたまにシリアス ・話の流れが遅い

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

飼われる側って案外良いらしい。

なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。 なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。 「まあ何も変わらない、はず…」 ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。 ほんとに。ほんとうに。 紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22) ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。 変化を嫌い、現状維持を好む。 タルア=ミース(347) 職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。 最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

処理中です...