双子のイケメン執事達と恋愛しています

すいかちゃん

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第四話

双子のイケメン執事達は、主に呼び捨てにされたい

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平野家の朝は、かなり早い。
朝の5時には、自動制御装置によりゆっくりとカーテンが開くようになっている。朝日が室内を照らし、勇人はその眩しさに目を開けた。
「んっ?んーっ、んーっ」
瞬間。勇人は、自分が悟にキスされている事に気がついた。おまけにパジャマの下半身は既に裸にされている。
「おはよ、勇人様。まだ寝てていいのに」
勇人の声に顔を離した悟がニッコリと微笑む。亜麻色の髪と瞳、それに彫りの深い顔立ちはどこか異国の印象を抱かせた。ややふっくらとした唇はほのかに赤く、その原因はずっと勇人にキスしていたからである。
「目覚まし時計の代わりになっただろ?」
悪びれもなくそう言った悟は、勇人のパジャマの襟を広げるとそこにもキスをしてきた。
「うわっ」
「赤くなっちゃって。かわいいなぁ」
悟がもう一度キスしようと顔を近づけた瞬間。スッと白い手袋をした篤の手が止めに入る。
「悟。さっさと退かないか。勇人様が困ってる」
「篤っ。てめぇ、いいところで邪魔しやがってっ」
悟は、自分と全く同じ顔をしている篤に向かって拳を振り上げた。が、篤はそれを軽くかわして勇人に微笑みかける。
「朝食の準備ができましたよ」
「は、はい」
ベッドから起き上がろうとした勇人は、篤に腕を掴まれる。何事かと思えば、今度は篤にキスをされた。
「口直しです」
サラッと言われて、勇人は耳まで真っ赤になった。後ろでは悟が文句を言っている。このやり取りは、ほぼ毎日繰り返されていた。
(俺達って、恋人同士、なんだよね?)
篤と悟の美しい顔立ちを見る度に、勇人は今だに信じられない。
篤と悟とは、キスやそれ以上の事もした。だが、具体的に何が変わったのか勇人にはわからなかった。

「あのさ。俺なんかのどこがいいわけ?」
気分転換にピクニックでもしたいと軽く言ったら、篤と悟が早速用意してくれた。驚く事に、平野家の敷地内には小さな牧場や池まであった。
ランチは悟が用意する事になっているため、牧場のベンチで休憩しながら篤と待つ事にする。
「どこと聞かれると、困るのですが」
木製のベンチに腰掛ければ、すかさず篤が足元に片膝をついて、勇人の靴を脱がせてくれる。そして、汗をかいた足をタオルで丁寧に拭ってくれるのだ。
「俺なんて、ちんちくりんだろ?篤さんや悟さんみたいに綺麗な人なら、もっと素敵な人がいるよ」
ちんちくりんという表現がツボに入ったのか、篤が声をあげて笑った。日頃表情が乏しい篤は、笑っただけでとても華やかな印象になる。勇人は、知らず頬を赤く染めた。
「勇人様の顔立ちは、とても愛らしいです」
篤の指が、そっと頬を包み込む。
「特に、このアーモンドのような瞳が」
篤の唇が、そっと勇人の瞼に落ちる。あまりにも自然で、勇人は黙って受け入れた。
「そして、桃のように柔らかく瑞々しい頬も」
篤の唇が、今度は頬に触れる。
「そして、桜色の唇も、とても魅力的です」
囁くように言った篤の唇は、勇人の唇の端に触れた。
「でも、ただかわいらしいから好きという訳ではありません。あなたは、私達を人として扱ってくれる」
「え?」
「これまで、私と悟は様々な主に仕えてきました。ですが、人間らしく扱われた事はなかった」
木漏れ日の中。勇人は一瞬だけ見てしまった。篤の寂しそうな顔を。
「私と悟が、どれだけ嬉しかったか」
勇人は、篤のキスを当たり前のように受け入れた。舌を優しく吸われなから、心地いいと感じた。
「勇人様になら、永遠の愛を誓えると思いました。勇人様が命じれば、なんだって致します」
唇を離した篤は、勇人の足を持ち上げるとその指に口づけた。
「や、やめっ。汚ないよっ」
「勇人様の身体で、汚ない所などありません」
篤は、そのまま勇人の親指を口に含むと、舌を絡ませた。その光景は、なんだかとてもイケナイ事をされているようで、勇人の鼓動が高まる。
「あ…っ」
思わず勇人が声をあげる。篤が顔を上げ、互いの間に不思議な空気が流れた瞬間。
「抜け駆けはなしって言ったろっ」
大きなバスケットを提げた悟が、甘い雰囲気を一気に壊した。顔を真っ赤にしてあわてふためく勇人に対して、篤は冷静そのものだった。
「勇人様に忠誠を誓ったまでだ」
「じゃ、オレもするっ」
「や、やめっ。2人とも、ダメだって、あっ、やだっ、あっ」
結局。勇人の左右の指は、双子の執事達によってベロベロに舐められてしまった。勇人は、自分のはしたない声が誰にも聞かれずによかったと、それだけはホッとした。
「さ。昼飯食おうぜ」
カラフルなレジャーシートを広げて、悟が手際よく用意していく。
「勇人様が以前から食べたがっていた、カニカマサラダのサンドイッチと鶏の照り焼き。それから、チョコミントのアイス」
悟がテキパキと料理の説明をしながら、小さなテーブルに料理を並べていく。この双子は、料理もすこぶるうまいのだ。準備が整う間、篤が勇人の指を丁寧にタオルで拭いてくれる。
「なぁ。カニカマでなくたって、本物のカニをいれればいいだろ?」
悟の言葉に、勇人が眉をしかめた。
「カニカマだって十分うまいよ。お昼にカニは高すぎる」
勇人は、悟お手製のカニカマサンドを頬張ると、満面の笑みを浮かべた。
「美味しい」
そんな勇人こそ、とっても美味しそう。と、双子は心の中でこっそり呟いた。そして、やはり無防備な勇人は、たまらなく2人の性欲を刺激するようだ。
「勇人様。こんな所に泥が」
篤の指が、スッと勇人の頬に触れる。
「たいした事…」
「大変だっ。早く洗い流した方がいい」
「え?」
篤と悟に肩を掴まれた勇人は、冷や汗が背中を流れ落ちるのを感じた。

「あっ。もう、いいっ。もう、綺麗になった、から…っ」
あれよあれよと風呂場に連れ込まれた勇人は、篤と悟によって全身を泡だらけにされていた。
「まだ、洗ってない場所があります」
「そうそう。とっても大事なところが」
椅子に勇人を座らせた悟が、背後から細い足を左右に開く。否が応でも、目の前の篤の前に全てをさらけ出すような格好になってしまった。
「やっ」
慌てて勇人が両手で股間を隠す。が、これはこれでなんともイヤらしいポーズになってしまった。
「ご自分で、洗いますか?」
「え?自分でって…?」
戸惑う勇人の指に、篤が丁寧に泡立てた石鹸を乗せる。そして、そのまま勇人に自身の股間を握らせた。
「ちょっ、ちょっと待ってっ。あっ」
篤の手によって、勇人はまるで2人の前でオナニーを披露しているような状態になった。洗っているだけなんて、無理だ。
「いつ見ても、勇人様のここはとっても愛らしい」
うっとりと篤が呟く。そして、勇人の手をそっと包み込んだ。
「私も、お手伝いしますね」
「やめっ、やだっ。あっ、はあっ、あっ」
篤が勇人の性器を握り、素早く揉みしだく。勇人の背筋がピンと反り返り、ゾクゾクとした慣れた感じが全身を包んだ。
「じゃ、オレはこっちを綺麗にしてやるよ」
今度は、悟の指が勇人の尻の割れ目をなぞり奥へと潜り込む。
前と後ろを両方刺激され、勇人の声が高まった。と、篤が不意にその根本を押さえる。
「あ、篤さ・・・っ、どうして?」
「私達を、どうか呼び捨てで呼んでください」
篤が、哀願するように切ない声で告げる。それは、以前から2人に頼んでいた事だ。悟の指が2本に増える。
「やだっ。悟さ…っ」
「オレ達は、主に仕える事を生き甲斐にしてるんだ」
悟の指が、勇人の蕾を左右に広げる。
「あっ。あっ、んっ、ダメっ。指、抜いてぇ。あっ、いやっ」
絶頂を迎えているのにイケないというのが、勇人をもどかしくさせた。
「では、私達を呼び捨てにしてください」
「エッチな命令付きでね」
左右の耳をそれぞれ噛まれ、勇人の思考能力がどんどん働かなくなる。このままいったら、次はどんな事をされるのか。想像しただけで怖くなった。
「あ、篤…っ、悟…っ。イカせてっ」
「かしこまりましたっ。勇人様っ」
「仰せのままに」
悟と篤が満面の笑みを浮かべて、勇人への愛撫を強くする。前と後ろを刺激されながら、乳首を擦られたり嘗められたりして、とうとう勇人は白濁を吹き上げた。
「次は、どうして欲しい?」
悟に耳元で囁かれ、勇人は小さな小さな声で命令した。指では、足りないと…。その後、膝立ちにされた勇人は上の口を悟に、下の口を篤に可愛がられるはめになったのだった。
(全く。これじゃあ、どっちが主人なんだかわからないよ)
またまた双子のいいようにされてしまった勇人は、ふてくされた表情でスヤスヤ眠る双子を交互に見つめた。2人の寝顔を見ていたら、身体の奥が熱くなる。
(や、やだな。俺って、こんなにエッチだったのかな)
勇人は、自分の心と身体がどんどん変化していくような気がしてならなかった。








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