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王女に恋したクジラ
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今日も、来てくれるだろうか?
ボクは、ドキドキしながらお城のバルコニーを眺めていた。
「こんばんわ。クジラさん」
王女様の声だ!
ボクは、嬉しくて岩の周りをクルクル回った。
変だろ?クジラのボクが、人間の王女様に恋をするなんて。
でも、好きになっちゃったんだから仕方ない。初めて王女様を見た時から、ボクには彼女しかいないと思った。
「今日は月が綺麗ね」
王女様の金色の髪の方がずっと綺麗だよ。それに、綺麗なのは髪だけじゃない。王女様の青い瞳は空よりも海よりも澄んでいて美しい。
本当は、この気持ちを王女様に伝えたい。でも、人間の言葉を話せないボクには、この気持ちを伝える方法がないんだ。
だから、ボクは今夜も歌うよ。
王女様に喜んでもらうために。
ほら。王女様が笑ってくれてる。ボクのために、笑ってくれてるんだ!
王女様のためだったら、ボクは何でもするよ!
でも、ボクは知ってしまったんだ。王女様がなぜバルコニーに来るのか。
王女様は、隣の国の王子様が好きだったんだ。去年の舞踏会で出会ってから、ずっと好きだったんだ。
でも、王様は2人の結婚に大反対。だから、王女様はバルコニーから隣国を眺めていたんだ。
ボクに、会うためじゃなかったんだね。
「あの人に会いたい」
王女様が泣いてる。
ポロポロ、ポロポロ。
真珠のような涙が海にこぼれてくる。
泣かないでよ。
泣かないで。
王女様のためなら何でもするから。
だから、泣かないで。
「クジラさん。私のお願い、聞いてくれる?」
嫌だよ。
だって、そのお願いを聞いたらボクは失恋しちゃうんだ。
ねぇ、ボクを選んでよ。
王女様の事が大好きなんだ。
でも、ダメだよね。
だって、王女様が好きなのは王子様なんだもの。
ボクは、王女様のお願いを聞いた。
隣の国まで、王女様を背中に乗せて運んだんだ。
さようなら、王女様。
幸せにね。
ボクは大丈夫。新しい恋を探すから。
でも、きっとずっと王女様の事が好きなんだろうな。
ボクは、今夜も歌う。
王女様が好きだと言ってくれた曲を・・・。
ボクは、ドキドキしながらお城のバルコニーを眺めていた。
「こんばんわ。クジラさん」
王女様の声だ!
ボクは、嬉しくて岩の周りをクルクル回った。
変だろ?クジラのボクが、人間の王女様に恋をするなんて。
でも、好きになっちゃったんだから仕方ない。初めて王女様を見た時から、ボクには彼女しかいないと思った。
「今日は月が綺麗ね」
王女様の金色の髪の方がずっと綺麗だよ。それに、綺麗なのは髪だけじゃない。王女様の青い瞳は空よりも海よりも澄んでいて美しい。
本当は、この気持ちを王女様に伝えたい。でも、人間の言葉を話せないボクには、この気持ちを伝える方法がないんだ。
だから、ボクは今夜も歌うよ。
王女様に喜んでもらうために。
ほら。王女様が笑ってくれてる。ボクのために、笑ってくれてるんだ!
王女様のためだったら、ボクは何でもするよ!
でも、ボクは知ってしまったんだ。王女様がなぜバルコニーに来るのか。
王女様は、隣の国の王子様が好きだったんだ。去年の舞踏会で出会ってから、ずっと好きだったんだ。
でも、王様は2人の結婚に大反対。だから、王女様はバルコニーから隣国を眺めていたんだ。
ボクに、会うためじゃなかったんだね。
「あの人に会いたい」
王女様が泣いてる。
ポロポロ、ポロポロ。
真珠のような涙が海にこぼれてくる。
泣かないでよ。
泣かないで。
王女様のためなら何でもするから。
だから、泣かないで。
「クジラさん。私のお願い、聞いてくれる?」
嫌だよ。
だって、そのお願いを聞いたらボクは失恋しちゃうんだ。
ねぇ、ボクを選んでよ。
王女様の事が大好きなんだ。
でも、ダメだよね。
だって、王女様が好きなのは王子様なんだもの。
ボクは、王女様のお願いを聞いた。
隣の国まで、王女様を背中に乗せて運んだんだ。
さようなら、王女様。
幸せにね。
ボクは大丈夫。新しい恋を探すから。
でも、きっとずっと王女様の事が好きなんだろうな。
ボクは、今夜も歌う。
王女様が好きだと言ってくれた曲を・・・。
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小木田十(おぎたみつる)
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