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動乱
動乱 2
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活気のある街が今は別の事情で慌ただしかった。兵士達が住民に外へ出ないよう警告をして回っている。
アシノは街の外壁にある門の前へ陣取る。目の前には兵士が横に3列の陣形を組んでいた。
サツキは馬に乗り、カミクガは走り、魔物の群れへと向かっていった。身体強化の支援魔法は使用済みだ。
クサギは後方で怪我人が出るまで待機をしながら、兵士達に支援魔法を使い続けている。
そして、ムツヤ達は馬車に乗り、サツキ達の支援という形で後を追う。
ムツヤは魔剣『ムゲンジゴク』のレプリカを腰に携えていた。魔剣で斬れる魔物と斬れない魔物を判別する為だ。
連絡石が光る。先行するサツキからの接敵をしたという合図だ。
サツキは魔剣『カミカゼ』に風を纏わせて一気に横薙ぎに振った。
その瞬間、風の刃が辺りを斬り裂く。前線に居た魔物の群れは一斉に煙となって消えていった。
カミクガも魔剣『カタトンボ』に魔力を込めて舞うように魔物を斬り捨てる。
途中魔物に囲まれるが、魔剣を地面に突き刺すと、辺り一面に放電が起きて魔物を焦がす。
千里眼の使える兵士達は勇者達の更に人間離れした戦いを目に焼き付けていた。
「こりゃ、私達の出番はないかなー?」
馬車の上でのんきそうにルーが言った。
「魔剣をこんなに早く使いこなすなんて…… 流石勇者様とそのお仲間ですね……」
モモは息を呑んでその光景を見ながら馬車を走らせる。
「そろそろ近いわね、ムツヤっち行って!」
「わがりまじだ!!」
ムツヤが馬車から飛び降りてサツキ達に加勢をする。
まぁ、加勢と言ってもその必要はほぼ無いのだが、アシノから魔剣で斬れない魔物を見つけろという命令を遂行するためだ。
ムツヤは魔剣『ムゲンジゴク』のレプリカを持ち、敵の群れに突っ込んでいった。
王には東の国の実力者だと言うことにしてあるので、多少動きが良くても不審がられないだろう。
前線にいる魔物を思い切り縦に斬ると煙となって消えた。この魔物は普通の武器でも倒せるみたいだ。
ここはサツキと仲間達に任せ、ムツヤはその奥にいる甲冑のような甲殻を持つ人形の魔物へ向かう。
一気に駆け寄ると一突きに魔物を串刺した。また煙になって消える。
今回は裏の道具でしか倒せない敵は居ないのかと思ったその時。
竜が現れた。
空を飛び、こちらに一直線に向かってくる。千里眼で見ていた兵士達も叫びだす。
「竜です!! 翼竜が現れました!!」
「翼竜だと!?」
兵士は翼竜だと言っていたが、ムツヤ達が倒したことがあるそれとは違っていた。
竜は火を吐き、ムツヤの千里眼で見ると、背中に人影が見える。
「何アレ!!」
魔物と戦っていたルーも思わず遠くの空を見上げた。
「りゅ、竜ですか!?」
「何故ここに!!」
ユモトとモモも動揺する。3分ほどで竜は上空を旋回するまで近付いて、地面へと着地した。
既にサツキとカミクガは竜の元へ駆け寄っており、剣を構えている。
ムツヤが飛び出して、竜の足元を斬りつけた。が、剣は分厚い表皮に弾かれる。
肉は裂けなかったが、ムツヤの馬鹿力で叩かれた衝撃は凄まじいものだったらしく、竜は咆哮を上げて暴れ始めた。
「ムツヤさん、ここは私達に任せて下さい」
サツキは前に躍り出てムツヤへと言う。
「わがりまじだ!!」
ムツヤはまた別の攻撃の効かない魔物を探すためにその場を引いた。
アシノは街の外壁にある門の前へ陣取る。目の前には兵士が横に3列の陣形を組んでいた。
サツキは馬に乗り、カミクガは走り、魔物の群れへと向かっていった。身体強化の支援魔法は使用済みだ。
クサギは後方で怪我人が出るまで待機をしながら、兵士達に支援魔法を使い続けている。
そして、ムツヤ達は馬車に乗り、サツキ達の支援という形で後を追う。
ムツヤは魔剣『ムゲンジゴク』のレプリカを腰に携えていた。魔剣で斬れる魔物と斬れない魔物を判別する為だ。
連絡石が光る。先行するサツキからの接敵をしたという合図だ。
サツキは魔剣『カミカゼ』に風を纏わせて一気に横薙ぎに振った。
その瞬間、風の刃が辺りを斬り裂く。前線に居た魔物の群れは一斉に煙となって消えていった。
カミクガも魔剣『カタトンボ』に魔力を込めて舞うように魔物を斬り捨てる。
途中魔物に囲まれるが、魔剣を地面に突き刺すと、辺り一面に放電が起きて魔物を焦がす。
千里眼の使える兵士達は勇者達の更に人間離れした戦いを目に焼き付けていた。
「こりゃ、私達の出番はないかなー?」
馬車の上でのんきそうにルーが言った。
「魔剣をこんなに早く使いこなすなんて…… 流石勇者様とそのお仲間ですね……」
モモは息を呑んでその光景を見ながら馬車を走らせる。
「そろそろ近いわね、ムツヤっち行って!」
「わがりまじだ!!」
ムツヤが馬車から飛び降りてサツキ達に加勢をする。
まぁ、加勢と言ってもその必要はほぼ無いのだが、アシノから魔剣で斬れない魔物を見つけろという命令を遂行するためだ。
ムツヤは魔剣『ムゲンジゴク』のレプリカを持ち、敵の群れに突っ込んでいった。
王には東の国の実力者だと言うことにしてあるので、多少動きが良くても不審がられないだろう。
前線にいる魔物を思い切り縦に斬ると煙となって消えた。この魔物は普通の武器でも倒せるみたいだ。
ここはサツキと仲間達に任せ、ムツヤはその奥にいる甲冑のような甲殻を持つ人形の魔物へ向かう。
一気に駆け寄ると一突きに魔物を串刺した。また煙になって消える。
今回は裏の道具でしか倒せない敵は居ないのかと思ったその時。
竜が現れた。
空を飛び、こちらに一直線に向かってくる。千里眼で見ていた兵士達も叫びだす。
「竜です!! 翼竜が現れました!!」
「翼竜だと!?」
兵士は翼竜だと言っていたが、ムツヤ達が倒したことがあるそれとは違っていた。
竜は火を吐き、ムツヤの千里眼で見ると、背中に人影が見える。
「何アレ!!」
魔物と戦っていたルーも思わず遠くの空を見上げた。
「りゅ、竜ですか!?」
「何故ここに!!」
ユモトとモモも動揺する。3分ほどで竜は上空を旋回するまで近付いて、地面へと着地した。
既にサツキとカミクガは竜の元へ駆け寄っており、剣を構えている。
ムツヤが飛び出して、竜の足元を斬りつけた。が、剣は分厚い表皮に弾かれる。
肉は裂けなかったが、ムツヤの馬鹿力で叩かれた衝撃は凄まじいものだったらしく、竜は咆哮を上げて暴れ始めた。
「ムツヤさん、ここは私達に任せて下さい」
サツキは前に躍り出てムツヤへと言う。
「わがりまじだ!!」
ムツヤはまた別の攻撃の効かない魔物を探すためにその場を引いた。
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