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チェイサー

チェイサー 3

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 別のコウモリがアシノとクサギの元へやってくる。

「くっ、この!!」

 クサギが防御壁を貼ると、それにコウモリは激突して怯んだ。アシノはやけくそ気味にワインボトルのフタをパァンと飛ばす。

 その瞬間、コウモリの体に穴が空いた。そして煙となって消える。

「アシノ様!?」

 クサギだけでなく、他の兵士達もアシノを見た。当の本人はポカーンとした表情で突っ立ている。

「流石アシノ様!! 他の奴らも頼みますよ!!」

「お、おう」

 ワインボトルのフタを飛ばす練習だけはずっとしていた。自分でも半信半疑ながら空を飛ぶコウモリに次々に飛ばす。

 命中すると同時にコウモリは消えていく。何だかわからんが聞いているのでヨシとするしかない。

「防御壁を展開しろ!! アシノ様の援護をするんだ!!!」

 絶望的な状況から一変して兵士達の士気が上がる。アシノは考えていた、何故自分の攻撃だけ通るのかと。

 だが、今は目の前の状況をどうにかすることが先決だ。両手にワインボトルを構えてアシノは上空に撃ち続けた。

 防御壁に次々と突撃してくるコウモリにアシノは狙いを定めてワインボトルのフタをパァンと飛ばし続けた。

 やはり、次々にコウモリは消し飛んでいく。やがて、あらかたコウモリは始末できたが、上空を飛んで何匹か王都の中へと入ってしまった。

「私は街に飛んでいった奴らを倒します。ここは任せました!!」

 アシノはそう言って王都の中へ入る。避難勧告のおかげか、いつもは賑わう王都に誰一人として外を歩くものは居なかった。

 自分自身をエサにして、襲いかかるコウモリにカウンターでビンのフタをパァンと飛ばす。

 その様子を住人達は窓から見ていた。

 小さいフタは目に見えなかったため、まるでアシノが未知の魔法でコウモリを倒しているように見えた。

 アシノは空を見上げてコウモリを追い続ける。

(なんでコイツが効くのかわからんが、今はこれで倒すしか無いな)

 頭の中で何故自分の攻撃だけが通用するのかを考えたが、答えが出ない以上、今は戦うしか無い。
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