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とりあえず天井を塞ぐ

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 水分を取ったら体調が良くなってきたので、植上は仕事を済ませた。

 うーんと伸びをするとまだちょっとフラッとするが、仕方がない。

「ダーリン、お昼にしよー!!!」

 コエナがうるさい声で騒ぐ。植上も確かに少し腹が減ってきていた。

「ダーリンは血を作らないといけないんだから、沢山食べなきゃダメよ!!」

 いつの間にか作られていた大盛りのオムライスが居間に用意されていた。ムカつくが確かに美味い。

「どう、ダーリン美味しい?」

「どうだろうな」

「えー」

 どうでもいい会話をコエナとした後、食べ終えるぐらいの時にシチケアに話を振った。

「それで、シチケアさんをどうするかだが……」

「我か、我はもう自力で帰るぞ。心配は要らぬ。ただ、日が沈むまで待っていて欲しいのじゃが……」

「それは別に良いですけど、ちゃんと帰れます?」

 訝しげな目で植上が見ると視線を泳がせるシチケアが居た。

「やっぱ警察に頼んだほうが……」

 植上が言うと、シチケアは首を横に振る。

「ダメじゃ!! 警察はダメじゃ!! 一族の恥じゃー!!」

「いや、もう十分なぐらい恥晒してんじゃん……」

 コエナの言う通りだった。

「まぁいいや。ひとまず、やらなくちゃいけない事がある」

「そうよね、食後の運動。主にベッドで!」

 アホサキュバスの言うことをスルーして植上は自室へ戻る。その後を二人も着いて行った。

「これ、とりあえずどうにかしないと」

 自室の天井に開いた穴を指さした。

 修理の依頼は出しておいたが、年度初めの4月ということもあり、急には来てもらえず。様子を見に来るだけですら3日後になってしまうらしい。

「任せて、私が飛んで直してくるわ!!」

 コエナは得意げに言うが。

「誰のせいで空いたと思ってんだ」

「ご、ごめんなしゃい……」

 尻尾と頭が同時にシュンと下がった。


 植上は家の外に出て車に乗り込む。さも当たり前のように助手席にコエナが乗ってきた。

「僕は屋根を塞ぐ木を買いに行くんだけど?」

「うん、知ってるよ!! だから一緒に行こ?」

「お前は留守番だ! 大体その格好で行けないだろ!?」

 コエナは植上から借りたオーバーサイズの服を着ていた。人の目を引くだろう。

「えー、だってー」

「そうだ! 私ね、働いて返すからお金貸してダーリン! 服買いたい!」

「嫌だ」

「やだ!! 絶対ダーリンとお買い物する!!」

 はぁっとため息を吐いて植上は言った。

「せめてジャージにしておけ。そんで買った所で着替えるぞ」

「はーい!! ダーリン大好き!!」

 そして、コエナが家に帰ったのを見届けると。

 植上は車を走らせた。
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