213 / 241
聖女様
聖女様ファンクラブ
しおりを挟む
「私はスフィン将軍を起こしに行くわ」
「あぁ、頼んだ」
食事が出来上がる頃合いを見て、ラミッタは椅子から立ち上がる。
「失礼します。スフィン将軍」
部屋をノックするが、返事がない。だいぶお疲れのようだっだし、まだ眠っているのかとラミッタは思い部屋に入った。
思った通り、スフィンは上品な横画をし、ベッドの上で眠っている。
「スフィン将軍、お食事のご用意ができました」
軽く肩を叩いてスフィンを起こす。
「ん……。あぁ、ラミッタか……」
寝ている時も警戒心が強いスフィンがここまで隙を晒すなんて、よほど疲労が溜まっていたのだろう。
金色の髪をさらさらと流しながら、スフィンは上体を起こす。
「よく寝た」
ベッドから起き上がり、部屋を出ようとすると、未だに目覚めないマッサを見て、その掛け布団をはぎ取る。
「んー……。あと5時間……」
「寝すぎだ馬鹿者!!」
結局スフィンによって叩き起こされたマッサはあくびをしながら部屋から出て行った。
起きたばかりだが、空腹を感じているスフィンとマッサは、美味そうな匂いに段々と意識がしっかりとし始める。
「あっ、聖女様!!」
村の若い女が言うと、残りの村人達の視線もそちらへ向かう。
「聖女様!! この度は本当にありがとうございます!!」
「いや、大したことはしていない」
そう否定するも、ぶんぶんと若い女は首を横に振った。
「そんな事はありません!!」
「お前は、確かあの足を治したタカセとかいう男にアザミヤと呼ばれていたな?」
若い女、いや、アザミヤは自分の名前を言われた事に驚く。
「せ、聖女様が名前を憶えて下さっていただなんて!!」
「いや、職業柄、人の顔と名前を覚えるのは得意な方でな」
スフィンが言う職業とは軍人、将軍の事だったが、アザミヤ達村人の中ではすっかり聖女としてという事になっていた。
「流石、聖女様は違いますね」
「いや、だから私は聖女では……」
「まぁまぁ、飯も用意してもらったし、食べましょうや!!」
マッサが言うと、スフィンも諦め椅子へと座る。
村の野菜や家畜の肉で振舞われた料理は実に美味で、四人はすっかり満足だった。
「いやー、ご馳走様!!」
「アザミヤ、それに村の方達。美味かったぞ、礼を言う」
「い、いえ、お礼だなんて!! あ、そうだ! 村長が皆様とお話をしたいって言ってました!」
王都に出発する準備をする為にも、村長の協力が必要だと感じたマルクエン達は、了承して村長の元へ向かう。
マルクエン達を見送り、任せて下さいと一人で片付けをするアザミヤ。そこにタカセが訪れた。
「聖女様、いらっしゃいますか!?」
「あ、タカセ!! 足は大丈夫なの!?」
一人でやって来たタカセをアザミヤは案じる。
「あぁ、違和感はあるが、歩けるぐらいにはなった」
「そう、良かった……」
自分の手助け無しに歩けるタカセを見てアザミヤは微笑む。
「それより、聖女様は?」
「村長の元へ向かわれたわ。聖女様に何か用なの?」
「あぁ!!」
そう言ってタカセは胸を張る。
「俺の人生は聖女様によって救われた!! 俺はもう一度、冒険者を目指す。というか、勇者様と聖女様に付いて行って護衛になりたいんだ!!」
「あぁ、頼んだ」
食事が出来上がる頃合いを見て、ラミッタは椅子から立ち上がる。
「失礼します。スフィン将軍」
部屋をノックするが、返事がない。だいぶお疲れのようだっだし、まだ眠っているのかとラミッタは思い部屋に入った。
思った通り、スフィンは上品な横画をし、ベッドの上で眠っている。
「スフィン将軍、お食事のご用意ができました」
軽く肩を叩いてスフィンを起こす。
「ん……。あぁ、ラミッタか……」
寝ている時も警戒心が強いスフィンがここまで隙を晒すなんて、よほど疲労が溜まっていたのだろう。
金色の髪をさらさらと流しながら、スフィンは上体を起こす。
「よく寝た」
ベッドから起き上がり、部屋を出ようとすると、未だに目覚めないマッサを見て、その掛け布団をはぎ取る。
「んー……。あと5時間……」
「寝すぎだ馬鹿者!!」
結局スフィンによって叩き起こされたマッサはあくびをしながら部屋から出て行った。
起きたばかりだが、空腹を感じているスフィンとマッサは、美味そうな匂いに段々と意識がしっかりとし始める。
「あっ、聖女様!!」
村の若い女が言うと、残りの村人達の視線もそちらへ向かう。
「聖女様!! この度は本当にありがとうございます!!」
「いや、大したことはしていない」
そう否定するも、ぶんぶんと若い女は首を横に振った。
「そんな事はありません!!」
「お前は、確かあの足を治したタカセとかいう男にアザミヤと呼ばれていたな?」
若い女、いや、アザミヤは自分の名前を言われた事に驚く。
「せ、聖女様が名前を憶えて下さっていただなんて!!」
「いや、職業柄、人の顔と名前を覚えるのは得意な方でな」
スフィンが言う職業とは軍人、将軍の事だったが、アザミヤ達村人の中ではすっかり聖女としてという事になっていた。
「流石、聖女様は違いますね」
「いや、だから私は聖女では……」
「まぁまぁ、飯も用意してもらったし、食べましょうや!!」
マッサが言うと、スフィンも諦め椅子へと座る。
村の野菜や家畜の肉で振舞われた料理は実に美味で、四人はすっかり満足だった。
「いやー、ご馳走様!!」
「アザミヤ、それに村の方達。美味かったぞ、礼を言う」
「い、いえ、お礼だなんて!! あ、そうだ! 村長が皆様とお話をしたいって言ってました!」
王都に出発する準備をする為にも、村長の協力が必要だと感じたマルクエン達は、了承して村長の元へ向かう。
マルクエン達を見送り、任せて下さいと一人で片付けをするアザミヤ。そこにタカセが訪れた。
「聖女様、いらっしゃいますか!?」
「あ、タカセ!! 足は大丈夫なの!?」
一人でやって来たタカセをアザミヤは案じる。
「あぁ、違和感はあるが、歩けるぐらいにはなった」
「そう、良かった……」
自分の手助け無しに歩けるタカセを見てアザミヤは微笑む。
「それより、聖女様は?」
「村長の元へ向かわれたわ。聖女様に何か用なの?」
「あぁ!!」
そう言ってタカセは胸を張る。
「俺の人生は聖女様によって救われた!! 俺はもう一度、冒険者を目指す。というか、勇者様と聖女様に付いて行って護衛になりたいんだ!!」
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

聖女は聞いてしまった
夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」
父である国王に、そう言われて育った聖女。
彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。
聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。
そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。
旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。
しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。
ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー!
※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!

原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

【完結】拾ったおじさんが何やら普通ではありませんでした…
三園 七詩
ファンタジー
カノンは祖母と食堂を切り盛りする普通の女の子…そんなカノンがいつものように店を閉めようとすると…物音が…そこには倒れている人が…拾った人はおじさんだった…それもかなりのイケおじだった!
次の話(グレイ視点)にて完結になります。
お読みいただきありがとうございました。


聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる