別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

文字の大きさ
上 下
200 / 243
スフィン

試練の塔再び

しおりを挟む
 昼前頃にスフィンは目が覚めた。酒を飲んで寝るなんていつぶりだろうか。

 少し痛む頭に、酔い覚ましの魔法を掛けて上半身を起こす。

「って、なっ、なあああああ!?」

 隣で寝ているマッサに気が付いてスフィンは飛び起きた。

「な、何故貴様がここに居る!?」

 その大声でマッサは目を覚ます。寝不足のクマができており、フラフラしていた。

「おはようございます。何故ってスフィンさんが付き合えって……

「私がそんな事言うわけ無いだろう!!!」

「理不尽だ!!! 言いましたよ!!! 軍人としての心得を教えるって説教が数時間!!」

 説教と言われ、あぁ確かに酒を飲むとよくそんな事をしていたなとスフィンは思う。

「そ、そうか。それでも同じベッドで寝る必要は無いだろ!!」

「お互い体力が尽きてバッタリですよ。多分」

 自分に責があるので、あまり問い詰めることが出来ないスフィン。

「……まぁいい」

 それだけ言って立ち上がり、部屋を出た。




「スフィン将軍!! おはようございます!!」

 ラミッタが敬礼をして一階に降りてきたスフィンを迎える。

「ラミッタか、どうやら寝過ぎたようだ」

「あのー、おはようございます」

 マルクエンもおずおずと挨拶をするが、ジッと見つめられ、目線をフンッと逸らされるだけだった。

「それじゃ、朝飯っていうか昼飯でも食べましょうかね」

 ふわーっと眠そうなあくびをしながらマッサも一階に降りてきた。




 四人は椅子に座り、食事をする。

「とりあえず。この後は冒険者ギルドに行って、国からの伝令待ちっすねぇ」

 ゆで卵の殻をきながらマッサが言う。

「そうか、分かった」

 スフィンは短く言うと、また沈黙が流れた。

「スフィン将軍はその……。この国で勇者になれーって言われたらどうします?」

「答えは決まっている。ルーサへ帰れるならば私はなんだってするさ」




 昼食を終えた一行は冒険者ギルドに向かって歩き始める。

 その途中で、慌ただしく走るギルドのスタッフと遭遇した。

「あっ、ギルドマスター!! 向かおうと思っていたんですよ!!」

「どうした? 俺のことが恋しくなっちまったか?」

「それは無いですね」

 冷たく言われるマッサ。ギルドのスタッフは「そんなことよりも!」と言葉を続ける。

「国から、いや、国と勇者マスカル様からの伝令が届きました!」

 その言葉に一同はどんな内容かと少し身構える。

「えーっとですね。新たな異世界からの来訪者を連れ、試練の塔に挑めるか試すようにとのことです!」

「まずは王都に行く前に勇者として相応しいか試せって事か」

 マッサが言うと、マルクエンも頷く。

「そうみたいですね」

「私達が試練の塔に挑んだ時、魔人の妨害があったわ。今回も、もしかしたら……」

 ラミッタがそう口し、マッサは考えた。

「ある。と考えた方が間違いなさそうですねぇ」

「今度は私とラミッタが護衛をします」

「敵国の騎士に守られるほど落ちぶれてはいない」

 スフィンが腕を組んで発言し、マルクエンはしょんぼりマルクエンになる。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

魅了が解けた貴男から私へ

砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。 彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。 そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。 しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。 男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。 元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。 しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。 三話完結です。

あなたがそう望んだから

まる
ファンタジー
「ちょっとアンタ!アンタよ!!アデライス・オールテア!」 思わず不快さに顔が歪みそうになり、慌てて扇で顔を隠す。 確か彼女は…最近編入してきたという男爵家の庶子の娘だったかしら。 喚き散らす娘が望んだのでその通りにしてあげましたわ。 ○○○○○○○○○○ 誤字脱字ご容赦下さい。もし電波な転生者に貴族の令嬢が絡まれたら。攻略対象と思われてる男性もガッチリ貴族思考だったらと考えて書いてみました。ゆっくりペースになりそうですがよろしければ是非。 閲覧、しおり、お気に入りの登録ありがとうございました(*´ω`*) 何となくねっとりじわじわな感じになっていたらいいのにと思ったのですがどうなんでしょうね?

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

婚約破棄からの断罪カウンター

F.conoe
ファンタジー
冤罪押しつけられたから、それなら、と実現してあげた悪役令嬢。 理論ではなく力押しのカウンター攻撃 効果は抜群か…? (すでに違う婚約破棄ものも投稿していますが、はじめてなんとか書き上げた婚約破棄ものです)

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判

七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。 「では開廷いたします」 家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

処理中です...