191 / 241
スフィン
この世界の謎
しおりを挟む
「どこでも良いとは言っていないだろうが!!!!」
「スフィン将軍!! どうなさったのですか!?」
「な、何でもない!!!」
ラミッタの呼びかけに顔を赤面させながら答えるスフィン。
「お待たせしました!! 皆様、簡単なものですが、お食事の準備が整いました!!」
ネーアは床で伸びているマッサをスルーしてマルクエン達に呼びかける。
「あ、あのー。弟さん床で伸びていますが」
マルクエンが指摘すると、ネーアは笑顔のまま言う。
「どうせ、ろくでもない事をしたのでしょう。いつもの事です」
「そりゃねえぜ……姉ちゃん……」
食堂にはマルクエンとラミッタ。テーブルを挟んでスフィンと、ちゃっかりマッサも座っていた。
スフィンは相変わらずマルクエンを睨んでいる。
「まぁまぁ、スフィンさん。そう睨んでいると可愛い顔が台無しだぜ?」
「な、何を言うか!!」
どうもこのマッサという男が居ると、スフィンは調子が崩れた。
前菜にとうもろこしのスープが出てきて、マッサが言う。
「さぁさぁ、美味しそうじゃないですか。それではイタダキマス!!」
「イタダキマス?」
「この世界で食べ物を食べる前に言う感謝の言葉ですよ」
スフィンにマッサは軽く説明を入れると、スープを食べ始めた。
「うん、甘くて美味い!!」
マルクエン達もスプーンを手に取り、一口食べる。
「おぉ、これは中々……」
スフィンも習って一口飲んでみると、優しい甘みとコクが口に広がった。
「……。まぁいい。ラミッタ、現状を簡潔に説明してくれ」
「はっ……。と言いましても、何から説明すれば良いのか、少々複雑でして……」
「まず、私が戦死したと言ったな?」
気まずいながらも、ラミッタはしっかりと伝える。
「はい。スフィン将軍は戦場で遠くからの魔法矢による狙撃で命を落としました」
「……。そうか、我ながら情けない最期だ」
そう言って視線をスープに落とす。
「それで、私の死後戦局はどうなった?」
「はっ、その……。ルーサは不利な状況下になり、軍同士の大きなぶつかり合いがありました。そこで私とこの宿敵は対峙し……」
「負けた、と」
「申し訳ありません……」
ラミッタも下を向いて気まずそうにした。
「あの、私からもその後のことについて話して構いませんか?」
重い空気に耐えながら、マルクエンは発言する。
「ふん、侵略者の言葉など信用ならぬな」
「まぁまぁ、スフィンさん」
「その後と言っても、戦いの三日後、高熱を出して、そこで私の意識は朦朧として途絶えました。その時点ではまだ戦争の決着は着いていませんでした」
スフィンは何か考え事をし、話し始める。
「大体の事は分かった。元のルーサがある世界で死んだ者がこちらに来ていると言うことだな?」
「恐らくは、ですが」
ラミッタが言うと、スフィンは頷く。
「この世界にはルーサが無いという事は分かった。だが、イーヌの侵略者は皆、私の敵だ」
「スフィン将軍!! どうなさったのですか!?」
「な、何でもない!!!」
ラミッタの呼びかけに顔を赤面させながら答えるスフィン。
「お待たせしました!! 皆様、簡単なものですが、お食事の準備が整いました!!」
ネーアは床で伸びているマッサをスルーしてマルクエン達に呼びかける。
「あ、あのー。弟さん床で伸びていますが」
マルクエンが指摘すると、ネーアは笑顔のまま言う。
「どうせ、ろくでもない事をしたのでしょう。いつもの事です」
「そりゃねえぜ……姉ちゃん……」
食堂にはマルクエンとラミッタ。テーブルを挟んでスフィンと、ちゃっかりマッサも座っていた。
スフィンは相変わらずマルクエンを睨んでいる。
「まぁまぁ、スフィンさん。そう睨んでいると可愛い顔が台無しだぜ?」
「な、何を言うか!!」
どうもこのマッサという男が居ると、スフィンは調子が崩れた。
前菜にとうもろこしのスープが出てきて、マッサが言う。
「さぁさぁ、美味しそうじゃないですか。それではイタダキマス!!」
「イタダキマス?」
「この世界で食べ物を食べる前に言う感謝の言葉ですよ」
スフィンにマッサは軽く説明を入れると、スープを食べ始めた。
「うん、甘くて美味い!!」
マルクエン達もスプーンを手に取り、一口食べる。
「おぉ、これは中々……」
スフィンも習って一口飲んでみると、優しい甘みとコクが口に広がった。
「……。まぁいい。ラミッタ、現状を簡潔に説明してくれ」
「はっ……。と言いましても、何から説明すれば良いのか、少々複雑でして……」
「まず、私が戦死したと言ったな?」
気まずいながらも、ラミッタはしっかりと伝える。
「はい。スフィン将軍は戦場で遠くからの魔法矢による狙撃で命を落としました」
「……。そうか、我ながら情けない最期だ」
そう言って視線をスープに落とす。
「それで、私の死後戦局はどうなった?」
「はっ、その……。ルーサは不利な状況下になり、軍同士の大きなぶつかり合いがありました。そこで私とこの宿敵は対峙し……」
「負けた、と」
「申し訳ありません……」
ラミッタも下を向いて気まずそうにした。
「あの、私からもその後のことについて話して構いませんか?」
重い空気に耐えながら、マルクエンは発言する。
「ふん、侵略者の言葉など信用ならぬな」
「まぁまぁ、スフィンさん」
「その後と言っても、戦いの三日後、高熱を出して、そこで私の意識は朦朧として途絶えました。その時点ではまだ戦争の決着は着いていませんでした」
スフィンは何か考え事をし、話し始める。
「大体の事は分かった。元のルーサがある世界で死んだ者がこちらに来ていると言うことだな?」
「恐らくは、ですが」
ラミッタが言うと、スフィンは頷く。
「この世界にはルーサが無いという事は分かった。だが、イーヌの侵略者は皆、私の敵だ」
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

聖女は聞いてしまった
夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」
父である国王に、そう言われて育った聖女。
彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。
聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。
そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。
旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。
しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。
ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー!
※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!

原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

【完結】拾ったおじさんが何やら普通ではありませんでした…
三園 七詩
ファンタジー
カノンは祖母と食堂を切り盛りする普通の女の子…そんなカノンがいつものように店を閉めようとすると…物音が…そこには倒れている人が…拾った人はおじさんだった…それもかなりのイケおじだった!
次の話(グレイ視点)にて完結になります。
お読みいただきありがとうございました。


聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる