別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

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亜人の森

攻略法

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「この箱にも何か出来ることがあればいいんだけどね」

「今のところ、緑色になって魔物が出てくる時しか破壊できないもんな」

「えぇ、後は柵で囲っておくぐらいしかないしね。気休め程度だけど」

 そこで、マルクエンはふと思い出す。

「あ!! そう言えばシチがこの箱は周辺の魔物の転送装置だって仮説を立てていなかったか!?」

 マルクエンの言葉を聞いてラミッタもハッとする。

「色んなことありすぎて忘れていたわ……」

「ってことは、周りの魔物を狩り続ければ……」

「いや、待って。……、ちょっと試したいことがあるわ」



「っと、言うわけで。皆さんにも協力をお願いしたいのですが」

 ラミッタが立てた作戦を実行するために、兵士たちに仮説を話す。

「承知いたしました。我々も戦いましょう」

「わかった!」

 兵士たちと二人は魔物狩りを始めた。

 森の中に居た熊型の魔物をマルクエンは切りつける。

 だが、トドメは刺さない。前足を一本斬り捨て、自由を奪う。

 セロラも曲刀を使い、森の中を駆け巡って魔物を弱らせていく。

 そうして魔物を次々に虫の息にしていった。

 夕暮れになり、皆は村に帰る。

「コラー、大丈夫か?」

 一目散にセロラはコラーの元へ走り、様子を伺う。

「あぁ、俺は平気だよ」

「そっか」

 ホッとした顔をして笑顔を見せるセロラ。

 王都からやって来た使者に、現状と試したいことがあると伝え、またひとっ走りして貰うことにした。





 そんな日々が一週間は続く。

 獣人は回復も早いのか、コラーは自分で動き回れるぐらいになっていた。

 夜になり、その時は来る。

 箱が怪しく緑色に光り、魔物達が召喚された。

 その様子を見て、ラミッタはニヤリと笑う。

「やっぱり。思った通りね」

 箱から出てきたのは、負傷し、衰弱した魔物達だった。

 そう、箱が緑色にならなければ壊せないのであれば、それまでに出てくる周囲の魔物を弱らせておけば良かったのだ。

「それじゃ、チャッチャとやっちゃいますか」

「あぁ!!」

 ものの十数分で魔物も、箱も片付いた。

 戦いというよりは魔物にトドメを刺すだけの作業だ。

「この事は早速報告ね」

「あららー。こういうコトされると困っちゃうんだよなー」

 気配を消して上空から見下ろしていたのは、奇術師の魔人ミネスと。

「久しぶりだな異世界の勇者よ!!!」

 ガタイの良い男の魔人。クラムだ。

「やはりこの箱なんてまどろっこしい事をせずに、さっさと勇者を血祭りに上げれば良かったのだ」

「えー。せっかく僕が作ったのにひどいー」

 ラミッタは上空に向けて雷を打ち上げる。マルクエンも光の刃を飛ばした。

「行くぞ!!」

 クラムは剣を構えて急降下し、マルクエンとラミッタに襲いかかる。

 青いオーラを身に纏ったマルクエンはそれを迎え撃った。

 剣同士がぶつかり合うと、ガァンと音が鳴り響く。

「それじゃ君はボクと遊ぼうか」

 ミネスはラミッタに向かって言う。

 ラミッタは剣を握りしめ、空を翔ける。
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