173 / 241
亜人の森
異世界のこと
しおりを挟む
「みんな! 勇者様をお連れしたぞ!」
一斉に敬礼をされ、マルクエンも敬礼を返す。
「それじゃ一応壊せないかやってみましょうか」
「あぁ、そうだな」
マルクエンは青いオーラを身に纏って、光の刃を飛ばしてみる。
周りの兵士は息を呑んでそれを見守っていた。
しかし、箱は光の刃を弾く。
「うおおおおおおお!!!!」
今度は雄叫びを上げてマルクエンは全力で剣を叩きつける。
箱はびくともしなかったが、地中にめり込んだ。
その間、ずっと呪文を唱えていたラミッタの前に闇の断頭台が現れた。
鉱脈の竜を屠った時よりも、ずっと大きく、刃は鋭い。
「落ちろ!!!」
勢いよく落とされた断頭台の刃だったが、箱にあたると物凄い音を響かせて止まってしまった。
「ダメみたいね」
ラミッタは、はぁっとため息をつく。マルクエンはうーむと考えて言った。
「やはり、箱が緑色になって魔物を出している時以外はどうしようも無いのだろうか?」
「おそらく、ね」
まだ箱が破壊できる時ではないので、一旦宿屋に戻ったマルクエン達。
すっかり日は傾き、あたりは夕暮れ時になる。
「この音は何ですか?」
マルクエンは先程から聞こえだした音の正体をコラーに尋ねてみる。
「この音? あぁ、ひぐらしの鳴き声ですね」
「ひぐらし?」
マルクエンは聞き慣れない単語を聞き返す。
「カナカナカナって鳴く虫だぞ! マルクエン様!」
セロリが得意気に胸を張って言う。
「虫なんですか!? 知らなかった……」
「マルクエン様は異世界からの勇者って聞いてますが、その異世界には居なかったのですか?」
「えぇ、そうですね」
へぇーっとコラーは不思議そうな顔をする。
「マルクエン様、ラミッタ様、異世界の事聞いてもいいですか!?」
コラーは目を輝かせて言った。
「そんなに面白いもんじゃないわよ」
「まぁ、良いじゃないか。そうだな……。一緒に夕飯でも食べながら話そうか」
一緒に夕飯と言われ、コラーは手を前に突き出してブンブンと振るう。
「勇者様と一緒にお食事なんて恐れ多いです……」
「ですから、そこまで緊張しなくても良いですよ」
「私、マルクエン様とごはんしたい!」
「そ、それではお言葉に甘えて……」
マルクエンとラミッタは今までの生い立ちを簡単に語る。
コラーはうんうんと目を輝かせ、おとぎ話を聞く子供の様に聞いていた。
少し話すつもりが長話になってしまい。すっかり夜になってしまう。
「少し話しすぎましたか、まぁ、今お話した通りですよ」
「凄い、凄い話です!!」
コラーは大興奮だった。セロラは分かっているのかいないのかだったが。
一斉に敬礼をされ、マルクエンも敬礼を返す。
「それじゃ一応壊せないかやってみましょうか」
「あぁ、そうだな」
マルクエンは青いオーラを身に纏って、光の刃を飛ばしてみる。
周りの兵士は息を呑んでそれを見守っていた。
しかし、箱は光の刃を弾く。
「うおおおおおおお!!!!」
今度は雄叫びを上げてマルクエンは全力で剣を叩きつける。
箱はびくともしなかったが、地中にめり込んだ。
その間、ずっと呪文を唱えていたラミッタの前に闇の断頭台が現れた。
鉱脈の竜を屠った時よりも、ずっと大きく、刃は鋭い。
「落ちろ!!!」
勢いよく落とされた断頭台の刃だったが、箱にあたると物凄い音を響かせて止まってしまった。
「ダメみたいね」
ラミッタは、はぁっとため息をつく。マルクエンはうーむと考えて言った。
「やはり、箱が緑色になって魔物を出している時以外はどうしようも無いのだろうか?」
「おそらく、ね」
まだ箱が破壊できる時ではないので、一旦宿屋に戻ったマルクエン達。
すっかり日は傾き、あたりは夕暮れ時になる。
「この音は何ですか?」
マルクエンは先程から聞こえだした音の正体をコラーに尋ねてみる。
「この音? あぁ、ひぐらしの鳴き声ですね」
「ひぐらし?」
マルクエンは聞き慣れない単語を聞き返す。
「カナカナカナって鳴く虫だぞ! マルクエン様!」
セロリが得意気に胸を張って言う。
「虫なんですか!? 知らなかった……」
「マルクエン様は異世界からの勇者って聞いてますが、その異世界には居なかったのですか?」
「えぇ、そうですね」
へぇーっとコラーは不思議そうな顔をする。
「マルクエン様、ラミッタ様、異世界の事聞いてもいいですか!?」
コラーは目を輝かせて言った。
「そんなに面白いもんじゃないわよ」
「まぁ、良いじゃないか。そうだな……。一緒に夕飯でも食べながら話そうか」
一緒に夕飯と言われ、コラーは手を前に突き出してブンブンと振るう。
「勇者様と一緒にお食事なんて恐れ多いです……」
「ですから、そこまで緊張しなくても良いですよ」
「私、マルクエン様とごはんしたい!」
「そ、それではお言葉に甘えて……」
マルクエンとラミッタは今までの生い立ちを簡単に語る。
コラーはうんうんと目を輝かせ、おとぎ話を聞く子供の様に聞いていた。
少し話すつもりが長話になってしまい。すっかり夜になってしまう。
「少し話しすぎましたか、まぁ、今お話した通りですよ」
「凄い、凄い話です!!」
コラーは大興奮だった。セロラは分かっているのかいないのかだったが。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

聖女は聞いてしまった
夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」
父である国王に、そう言われて育った聖女。
彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。
聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。
そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。
旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。
しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。
ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー!
※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!

原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

【完結】拾ったおじさんが何やら普通ではありませんでした…
三園 七詩
ファンタジー
カノンは祖母と食堂を切り盛りする普通の女の子…そんなカノンがいつものように店を閉めようとすると…物音が…そこには倒れている人が…拾った人はおじさんだった…それもかなりのイケおじだった!
次の話(グレイ視点)にて完結になります。
お読みいただきありがとうございました。


聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる