別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

文字の大きさ
上 下
148 / 241
アムールトへ

勇者の試験

しおりを挟む
「マスカルよ。あれは何だ!?」

「つい先日、出来るようになったとマルクエンさんは仰っていましたね。私も見るのは初めてですが……」

 ヴィシソワは直感で防御壁で防げないことを感じ取ったので、そのままひらりひらりと避ける。

「なるほど、確かに強力な技だ」

 そんなヴィシソワに休む暇も与えず、ラミッタが各種魔法を飛ばす。

「ほう、やりますねぇ」

 そう言って両手を広げると、右手には剣、左手には巨大な盾が飛んできた。

「それでは、私も」

 盾の後ろに身を潜め、ヴィシソワはラミッタに向かって突撃してくる。

 ラミッタは、光の剣を数十本身の回りに出し、敵へと撃ち放った。

 盾は全てを受け止め、弾き、ラミッタの元へとやって来る。一度、距離を置こうと下がるも、相手の速さが圧倒的に上だ。

 マルクエンは牽制を入れようと、光の刃を飛ばした。

「ふっ」

 ヴィシソワはニヤリと笑い、盾から魔法で作られた大きな半透明の腕を出した。

 その腕はラミッタを掴み、ぐるんとマルクエンの方を向く。

「なっ、危ない!!」

 マルクエンがそう叫ぶと同時に、ラミッタも目の前に来た光の刃を見て短く声を出す。

「あっ!!」




 光の刃がラミッタを斬るすんでのところで、魔法の手がラミッタを地面に叩き落した。

「ぐっ」

 叩きつけられたラミッタは声を漏らす。叩きつけられる前に、宙を飛ぶように速度を和らげたが、背中から落ちたので息がうまく出来ない。

 思わず駆け寄るマルクエン。

「ラミッタ!! ラミッタ無事か!?」

「あっ……はふ……」

 喋ることが出来ないでいた。刃による外傷は見当たらないが、内臓にダメージがあるかもしれない。

「ラミッタ!! ラミッタしっかりしろ!!」

 ラミッタの上体を起こそうとするマルクエンの元にヴィシソワがやって来た。

 振り返って剣を付き出そうとしたが、軽く弾かれて目の前に剣を突きつけられる。

「弱い、弱すぎる」

 マルクエンとラミッタは、魔人ヴィシソワに敗北した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした

猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。 聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。 思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。 彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。 それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。 けれども、なにかが胸の内に燻っている。 聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。 ※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

処理中です...