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アムールトへ
試験
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「お二人の活躍は耳にしております。この国の民を助けて頂き、なんと感謝を述べて良いのやら」
「いえ、恐れ多い。身に余る光栄でございます」
マルクエンは再び頭を下げてそう言った。
「さて、もっとゆっくりとお話をしたいのですが、時間がない。早速で申し訳ないが、お二人を真の勇者として認める為に、試験を受けて貰いたい」
「はっ、かしこまりました」
マルクエンは柔和な印象を持った国王だったが、急に威厳のある真面目な顔をして語りかける。
「この試験。いかなる結果になったとしても、他言無用でお願いしたい」
「はっ。肝に銘じます」
マルクエンが言ったのを見届け、国王が命じた。
「それでは、勇者マスカルよ、お連れしなさい」
「はっ。それでは失礼します」
マスカルは立ち上がり、一礼すると、玉座を後にする。
マルクエンとラミッタもその後を付いて行った。
「お優しそうな国王陛下でしたね」
扉を出てマルクエンがマスカルに話しかける。
「えぇ、民からの信頼も厚い立派なお方です」
「それで、この後は……」
「私に付いてきて下さい」
少し素っ気なくマスカルが答えたのが気になったが、マルクエン達は黙って後を歩く。
連れられたのは城の端、頑丈に施錠された扉の前だ。
鍵を取り出し、マスカルは扉を開くと、真っ暗な空間がずっと続いていた。
燭台に一斉に火が灯り、ゆらゆらと炎が道を照らす。
「ここは……」
「この先です」
ラミッタは強大な魔力を感じ取っていた。嫌な予感がする。
少し進むと階段になっていた。どんどん降りていくが、長い階段だ。
やがて、出口が見える。そこは明るい光が差し込んでいた。
「お疲れ様です。こちらです」
出た先は地下だというのに魔法の照明で照らされ、昼のように明るい。
そして、周りを見渡すと、そこはまるで。
「闘技場……ですか?」
「えぇ」
マルクエンがポツリと言うと、マスカルが答える。
観客席には国王と近衛兵、そしてドレスに身を包んだ、身分の高そうな女性が一人。
「これは……」
「試験はここで行います」
国王が拡声魔法を使い、大きな声で言った。
「それでは、ヴィシソワよ。参れ!!」
「かしこまりました。親愛なる国王陛下」
そう言いながら対になる出口から出てきた人物は。
低空を滑空しながらやってきて、そのまま宙に舞い上がった。
「なっ!?」
マルクエンは驚いて。
「魔人!?」
ラミッタも叫んだ。
「いえ、恐れ多い。身に余る光栄でございます」
マルクエンは再び頭を下げてそう言った。
「さて、もっとゆっくりとお話をしたいのですが、時間がない。早速で申し訳ないが、お二人を真の勇者として認める為に、試験を受けて貰いたい」
「はっ、かしこまりました」
マルクエンは柔和な印象を持った国王だったが、急に威厳のある真面目な顔をして語りかける。
「この試験。いかなる結果になったとしても、他言無用でお願いしたい」
「はっ。肝に銘じます」
マルクエンが言ったのを見届け、国王が命じた。
「それでは、勇者マスカルよ、お連れしなさい」
「はっ。それでは失礼します」
マスカルは立ち上がり、一礼すると、玉座を後にする。
マルクエンとラミッタもその後を付いて行った。
「お優しそうな国王陛下でしたね」
扉を出てマルクエンがマスカルに話しかける。
「えぇ、民からの信頼も厚い立派なお方です」
「それで、この後は……」
「私に付いてきて下さい」
少し素っ気なくマスカルが答えたのが気になったが、マルクエン達は黙って後を歩く。
連れられたのは城の端、頑丈に施錠された扉の前だ。
鍵を取り出し、マスカルは扉を開くと、真っ暗な空間がずっと続いていた。
燭台に一斉に火が灯り、ゆらゆらと炎が道を照らす。
「ここは……」
「この先です」
ラミッタは強大な魔力を感じ取っていた。嫌な予感がする。
少し進むと階段になっていた。どんどん降りていくが、長い階段だ。
やがて、出口が見える。そこは明るい光が差し込んでいた。
「お疲れ様です。こちらです」
出た先は地下だというのに魔法の照明で照らされ、昼のように明るい。
そして、周りを見渡すと、そこはまるで。
「闘技場……ですか?」
「えぇ」
マルクエンがポツリと言うと、マスカルが答える。
観客席には国王と近衛兵、そしてドレスに身を包んだ、身分の高そうな女性が一人。
「これは……」
「試験はここで行います」
国王が拡声魔法を使い、大きな声で言った。
「それでは、ヴィシソワよ。参れ!!」
「かしこまりました。親愛なる国王陛下」
そう言いながら対になる出口から出てきた人物は。
低空を滑空しながらやってきて、そのまま宙に舞い上がった。
「なっ!?」
マルクエンは驚いて。
「魔人!?」
ラミッタも叫んだ。
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