146 / 241
アムールトへ
試験
しおりを挟む
「お二人の活躍は耳にしております。この国の民を助けて頂き、なんと感謝を述べて良いのやら」
「いえ、恐れ多い。身に余る光栄でございます」
マルクエンは再び頭を下げてそう言った。
「さて、もっとゆっくりとお話をしたいのですが、時間がない。早速で申し訳ないが、お二人を真の勇者として認める為に、試験を受けて貰いたい」
「はっ、かしこまりました」
マルクエンは柔和な印象を持った国王だったが、急に威厳のある真面目な顔をして語りかける。
「この試験。いかなる結果になったとしても、他言無用でお願いしたい」
「はっ。肝に銘じます」
マルクエンが言ったのを見届け、国王が命じた。
「それでは、勇者マスカルよ、お連れしなさい」
「はっ。それでは失礼します」
マスカルは立ち上がり、一礼すると、玉座を後にする。
マルクエンとラミッタもその後を付いて行った。
「お優しそうな国王陛下でしたね」
扉を出てマルクエンがマスカルに話しかける。
「えぇ、民からの信頼も厚い立派なお方です」
「それで、この後は……」
「私に付いてきて下さい」
少し素っ気なくマスカルが答えたのが気になったが、マルクエン達は黙って後を歩く。
連れられたのは城の端、頑丈に施錠された扉の前だ。
鍵を取り出し、マスカルは扉を開くと、真っ暗な空間がずっと続いていた。
燭台に一斉に火が灯り、ゆらゆらと炎が道を照らす。
「ここは……」
「この先です」
ラミッタは強大な魔力を感じ取っていた。嫌な予感がする。
少し進むと階段になっていた。どんどん降りていくが、長い階段だ。
やがて、出口が見える。そこは明るい光が差し込んでいた。
「お疲れ様です。こちらです」
出た先は地下だというのに魔法の照明で照らされ、昼のように明るい。
そして、周りを見渡すと、そこはまるで。
「闘技場……ですか?」
「えぇ」
マルクエンがポツリと言うと、マスカルが答える。
観客席には国王と近衛兵、そしてドレスに身を包んだ、身分の高そうな女性が一人。
「これは……」
「試験はここで行います」
国王が拡声魔法を使い、大きな声で言った。
「それでは、ヴィシソワよ。参れ!!」
「かしこまりました。親愛なる国王陛下」
そう言いながら対になる出口から出てきた人物は。
低空を滑空しながらやってきて、そのまま宙に舞い上がった。
「なっ!?」
マルクエンは驚いて。
「魔人!?」
ラミッタも叫んだ。
「いえ、恐れ多い。身に余る光栄でございます」
マルクエンは再び頭を下げてそう言った。
「さて、もっとゆっくりとお話をしたいのですが、時間がない。早速で申し訳ないが、お二人を真の勇者として認める為に、試験を受けて貰いたい」
「はっ、かしこまりました」
マルクエンは柔和な印象を持った国王だったが、急に威厳のある真面目な顔をして語りかける。
「この試験。いかなる結果になったとしても、他言無用でお願いしたい」
「はっ。肝に銘じます」
マルクエンが言ったのを見届け、国王が命じた。
「それでは、勇者マスカルよ、お連れしなさい」
「はっ。それでは失礼します」
マスカルは立ち上がり、一礼すると、玉座を後にする。
マルクエンとラミッタもその後を付いて行った。
「お優しそうな国王陛下でしたね」
扉を出てマルクエンがマスカルに話しかける。
「えぇ、民からの信頼も厚い立派なお方です」
「それで、この後は……」
「私に付いてきて下さい」
少し素っ気なくマスカルが答えたのが気になったが、マルクエン達は黙って後を歩く。
連れられたのは城の端、頑丈に施錠された扉の前だ。
鍵を取り出し、マスカルは扉を開くと、真っ暗な空間がずっと続いていた。
燭台に一斉に火が灯り、ゆらゆらと炎が道を照らす。
「ここは……」
「この先です」
ラミッタは強大な魔力を感じ取っていた。嫌な予感がする。
少し進むと階段になっていた。どんどん降りていくが、長い階段だ。
やがて、出口が見える。そこは明るい光が差し込んでいた。
「お疲れ様です。こちらです」
出た先は地下だというのに魔法の照明で照らされ、昼のように明るい。
そして、周りを見渡すと、そこはまるで。
「闘技場……ですか?」
「えぇ」
マルクエンがポツリと言うと、マスカルが答える。
観客席には国王と近衛兵、そしてドレスに身を包んだ、身分の高そうな女性が一人。
「これは……」
「試験はここで行います」
国王が拡声魔法を使い、大きな声で言った。
「それでは、ヴィシソワよ。参れ!!」
「かしこまりました。親愛なる国王陛下」
そう言いながら対になる出口から出てきた人物は。
低空を滑空しながらやってきて、そのまま宙に舞い上がった。
「なっ!?」
マルクエンは驚いて。
「魔人!?」
ラミッタも叫んだ。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

聖女は聞いてしまった
夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」
父である国王に、そう言われて育った聖女。
彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。
聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。
そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。
旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。
しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。
ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー!
※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!

原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

【完結】拾ったおじさんが何やら普通ではありませんでした…
三園 七詩
ファンタジー
カノンは祖母と食堂を切り盛りする普通の女の子…そんなカノンがいつものように店を閉めようとすると…物音が…そこには倒れている人が…拾った人はおじさんだった…それもかなりのイケおじだった!
次の話(グレイ視点)にて完結になります。
お読みいただきありがとうございました。


聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる