別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

文字の大きさ
上 下
145 / 241
アムールトへ

国王陛下!

しおりを挟む
「それで、今度はお二人にお伺いしたい。先程の魔人の襲撃についてです」

 マスカルが言い、マルクエンが答えた。

「試練の塔でも出くわした、奇術師の格好をした女の魔人です。『ミネス』と名乗っています」

「マルクエンさんとラミッタさんとは因縁が深いみたいですね」

「えぇ、こちらの世界に来てからずっと狙われていますね」

 それを聞いて、マスカルは、ふーむと考える。

「その魔人の目的は、何なのでしょうね」

「そうですね、奴は私達に『魔王軍の仲間になれ』と迫ってきていますね」

「魔王軍の仲間にですか……」

 マスカルは腕を組んで更に考え込んだ。

「マスカル様、魔人の考えなど理解が出来ませんよー」

 アレラに言われ、「それもそうだが」とマスカルは言う。

「まぁ、アレラの言う通りですね。ともかく、お二人は明日、戦いに備えてください」

「わかりました」

 マルクエンとラミッタは返事をし、その日は夕食を摂り、眠った。




 翌日、ホテルのロビーで落ち合うマスカル達とマルクエン達。

「それでは、城へと向かいましょう」

 礼服でなく、戦う用の武器防具を身につけて、マルクエンとラミッタは城へ行く。

 一番大きな道路を歩き、城までは一本道だ。

 城門へ着く。衛兵はマスカルの顔を見ると、敬礼をし、中に通される。

 元の世界でも、よく城には通っていたマルクエンはさほど緊張をしなかったが、ラミッタは借りてきた猫のようだ。

「緊張しているのか? ラミッタ」

「はぁ!? 別に?」

 マルクエンに悪態をつく以外はだが。

 このアムールトの城は、イーヌ王国の城に負けず劣らず大きい。

 階段を登り、大きな扉の前までやって来た。

「それでは、これより国王陛下の御前です」

 マスカルに言われて、マルクエンは大きく頷く。

 近衛兵が扉を開けると、長く赤い絨毯の敷かれた立派な玉座が広がる。

 その先には椅子に座る人物が居た。おそらく国王陛下だろう。

 マスカルが先頭だって歩き、その後ろを皆が付いていく。

 部屋の半ばより少し先まで歩くと、勇者パーティーがひざまずき、マルクエンとラミッタも習って跪く。

「国王陛下、異世界からの勇者をお連れしました」

「うむ」

 国王は白髪と立派なヒゲを生やした人物だった。

「異世界からの勇者よ、よくおいでなさった。私は『コニヤン』の王、メイクーン。あなた方の名を教えて欲しい」

「はっ、イーヌ王国より参りました。マルクエン・クライスと申します」

 マルクエンは顔を上げて挨拶をする。ラミッタも同じ様に顔を上げた。

「ルーサより参りました。ラミッタ・ピラと申します」

「マルクエン殿にラミッタ殿か」

 国王は笑顔を作り、二人の名を口にする。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

聖女は聞いてしまった

夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」 父である国王に、そう言われて育った聖女。 彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。 聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。 そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。 旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。 しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。 ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー! ※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

【完結】拾ったおじさんが何やら普通ではありませんでした…

三園 七詩
ファンタジー
カノンは祖母と食堂を切り盛りする普通の女の子…そんなカノンがいつものように店を閉めようとすると…物音が…そこには倒れている人が…拾った人はおじさんだった…それもかなりのイケおじだった! 次の話(グレイ視点)にて完結になります。 お読みいただきありがとうございました。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした

猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。 聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。 思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。 彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。 それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。 けれども、なにかが胸の内に燻っている。 聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。 ※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています

処理中です...