別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

文字の大きさ
上 下
138 / 241
アムールトへ

知らんな

しおりを挟む
「宿敵、なにそれは」

「いや、私も知らん……」

「知らんって……。それが宿敵が得た能力なのかしら」

 辺り一面には狼型の魔物の死体だらけだ。

「とりあえず。ギルドに報告かしら?」

「あぁ、そうだな……」





 ギルドへと戻った二人は先程のことを報告することにした。

 順番が来たので、受付嬢と話をする。

「お待たせ致しました!」

「クエストを受けたの者なのですが」

 ギルドの身分証を提示してマルクエンが言う。

「えーっと、マルクエンさん! クエストは無事終わりましたか?」

「はい、終わったことには終わったのですが……。その、魔人に襲撃をされまして」

 マルクエンが言った瞬間。受付嬢が笑顔のまま四秒ほど固まった。

「ま、ままま、魔人ですか!?」

 大声を出すので、ギルド中の注目がこちらへと向けられる。

「え、えぇまぁはい」

「な、何故魔人だと分かったのですか!?」

「以前も戦ったことがありまして。ミネスという魔人です」

「以前戦ったァ!? じょ、冗談ですよね?」

 そこで別の受付嬢がやって来た。

「この方達は、龍殺しのパーティのマルクエンさんとラミッタさんよ」

「龍殺しィ!? ですか!?」

「え、えぇ、そう呼ばれているらしいですね」

 注目を受けている恥ずかしさでマルクエンは顔を赤くして頭をかく。



「なるほど、犬型から狼型の群れになって、討伐は終わったと……」

 だいぶ落ち着いてきた受付嬢は状況を理解したようだ。

「大変でしたね。ともかく、お怪我が無くて何よりです」

 マルクエンとラミッタは報奨金を貰って視線を感じるギルド内を後にした。

「何かお腹すいたわね。何か食べていきましょうか?」

「あぁ。だが、マスカルさんに魔人が現れた事を報告しなくては」

「報告しなくてはって言ったって、どこに居るか知っているの?」

「あっ……」

 そう言えばどこに居るのか聞いていなかったなと思うマルクエン。

「夜になれば会えるんだし、先に何か食べましょう」

「そうだな……」

 飲食店通りまで足を伸ばす二人。色々な料理屋があって目移りしてしまう。

「何系が食べたいとかある?」

「パスタが久しぶりに食べたいな」

「パスタか……。まぁいいわ。それにしましょう」

 自分の提案にすんなり乗っかるラミッタに、何だかマルクエンは違和感を覚えた。

「随分と素直じゃないか?」

「別に、疲れているだけよ」

 ラミッタはキッと睨んで言う。あぁ、いつものラミッタだなと安心するマルクエン。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

聖女は聞いてしまった

夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」 父である国王に、そう言われて育った聖女。 彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。 聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。 そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。 旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。 しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。 ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー! ※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

【完結】拾ったおじさんが何やら普通ではありませんでした…

三園 七詩
ファンタジー
カノンは祖母と食堂を切り盛りする普通の女の子…そんなカノンがいつものように店を閉めようとすると…物音が…そこには倒れている人が…拾った人はおじさんだった…それもかなりのイケおじだった! 次の話(グレイ視点)にて完結になります。 お読みいただきありがとうございました。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした

猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。 聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。 思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。 彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。 それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。 けれども、なにかが胸の内に燻っている。 聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。 ※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています

処理中です...