別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

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試練の塔

VS偽マルクエン

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 マルクエンの剣が偽ラミッタの防御壁に食い込み始める。

「ラミッタ!!!」

 偽マルクエンが飛びかかるも、ラミッタが牽制を入れ、上手く近付けない。

「はあああ!!!」

 渾身の力を出して、マルクエンは魔法の防御壁を破壊し、偽ラミッタに一太刀浴びせようとした。

 飛び退いて避ける偽ラミッタだったが、一瞬で距離を縮められ、横薙ぎの一撃を食らってしまう。

 体が真っ二つになり、黒い煙になって消えた。

「おのれえぇぇぇぇ!!! よくもラミッタを!!!!」

 偽物のマルクエンが憤怒の表情をして重い一撃を放つ。ラミッタは剣が弾かれて、後ろに一瞬バランスを崩した。

 そんなラミッタの肩をマルクエンが後ろから支える。

「大丈夫か!?」

「えぇ、平気よ」

 場所を交代して前衛をマルクエンが務め、その後ろからラミッタが魔法の牽制を入れた。

 青白く光るマルクエンは偽マルクエンを圧倒している。更に魔法が飛び交っているので、偽物はだいぶ分が悪かった。

「っく!!」

 魔法の雷と風をくらい、切り傷や火傷でボロボロの偽マルクエン。

「そろそろ決着を着けるか」

 マルクエンは重い一撃を偽物に浴びせ、縦に鎧ごと斬り捨てた。

 黒い煙となって消える偽マルクエン。これでどうやら戦いは終わったようだった。

「ふぅ……。とりあえず終わったか」




 剣を仕舞い、安堵するマルクエン。奥にあった扉が左右に開き、階段が待っている。

「それじゃ、行きましょうか」

 スタスタと歩くラミッタ。先程まで偽物の自分がやらかした事を考えないようにしていた。

 お互い会話もなく階段を登ると、次の扉が目の前に現れる。

 マルクエンが押し開けると、現れたのは、室内とは到底思えないような景色だった。

「何だこれは!?」

 広がるのは、辺り一面の銀世界。雪原だ。

「どうなってんのよこれ……」

 扉の前でも寒さが身に染みる。この中を歩いていけと言うことなのだろうかと、マルクエンはため息を付いた。

「私は、寒いのは苦手なのだがな……」

「私だって嫌よ!!」

 ラミッタは軽装備なので余計に寒いだろう。マルクエンは身を案じる。

「その格好じゃ寒いだろうな。どうする? 引き返すか?」

「これぐらい、魔法で断熱するわ。平気よ」

 そう言って歩みを進めるラミッタ。マルクエンも後を付いていく。

 薄っすらと見える道を30分ぐらい歩いただろうか、一向にたどり着く様子はない。

「あっ、あれっ!?」

 ラミッタが突然声を出す。

「どうしたんだラミッタ?」

「断熱の魔法が出来ない……。っていうか、魔法が使えないわ!!」

「何だって!?」

 驚くマルクエン。

「流石は試練の塔って所かしらね?」

 ラミッタは強がるが、寒そうだ。

「大丈夫かラミッタ?」

「平気よ」

 そんな会話をしていると、天候が崩れ、吹雪き始めてきた。

「これは……。まずいな……」

 いよいよ引き返すかと思っていた矢先、小さな山小屋が視界に入る。

「ラミッタ!! あそこに小屋があるぞ!!」

「罠かもしれないわよ?」

「中には私が入って確認してみる。この寒さじゃ先に体がまいってしまう」

 マルクエンは小屋の扉に手を伸ばした。鍵は掛かっていない。

 一通り山小屋の確認をするが、罠らしいものはない。

「ラミッター!! 大丈夫そうだ!!」

 外で待つラミッタは山小屋に駆け込んで扉を閉めた。

「うー、さぶさぶさぶー……」

 中で震えるラミッタに、マルクエンは1枚だけあった毛布を掛けた。

「何のつもり?」

「いや、ちょうど毛布があったからな」

「アンタはどうするの?」

「ラミッタは毛布にくるまっていてくれ、私は良いものを見つけた」

 マルクエンが見つけたのは、水と食料。薪木だ。

「ねぇ、都合が良すぎないかしら?」

 疑いの目を向けるラミッタにマルクエンは答える。

「試練の塔だから、命を奪うってわけではないのだろう」

「そういうモンかしらねぇ……」

 マルクエンは火打ち石を使って木くずを燃やし、たきぎに火を移した。
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