別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

文字の大きさ
上 下
104 / 241
ジャガの街

美味しいのだ!

しおりを挟む
「うん、美味いな」

「ほんと、美味しいですね!」

 シヘンも舌鼓を打つ中でラミッタが言う。 

「私、こういう料理は慣れないのよね。テーブルマナーしかり、量が少ないのしかり」

「そうか? 美味しくて良いじゃないか?」

「はいはい、ボンボンの宿敵さんにはこういうお上品なお料理がお似合いのこと」

 マルクエンにいちいち突っかかるラミッタを見てクスクスとケイとシヘンは笑っている。

「でも、今日はめちゃくちゃ腹減ったんで、ガッツリ食べたい気分はあるっスねー」

 ケイの言葉にラミッタも頷く。

「量が足りなかった時は、追加で何か頼みましょうか」

 そんな事を言っている内に、本日のスープがやって来た。

 黄色く、甘いいい匂いのするコーンスープだ。

「ふわぁー、いい匂い」

 思わず素直な感想が漏れるシヘン。

 スプーンでって一口飲むと、疲れた体に染み渡る優しい甘みを感じていた。

「んー、美味しい!!」

「美味い!! 美味いっスね!!」

 ワイワイと料理の感想を言い合ったり、竜と戦った時の話をしたりしていたら、お次は魚料理だ。

「お待たせ致しました。ラタのムニエルでございます」

 大きめのムニエルにされた白身魚を中心とし、カラフルなソースが皿に彩られている。

「おっ、食べごたえありそうッスね!!」

「冒険者用に大きめサイズの料理が提供されているのでしょうかね」

 マルクエンはそう呟き、サカナにナイフを入れる。

 淡白な身は、ふわりほろりと崩れ、付け合せのソースとも相性が良い。

「ンマーイ!! うまいっス!!!」

「中々、美味しいわね」

 ラミッタも流石にシェフの腕を認めざるを得ない一品だった。

 そして、4人の前に果実を加えた氷をふわふわに削った物が提供される。

木苺きいちごのふわふわかき氷でございます」

「え、デザート? まだお腹いっぱいじゃないわよ?」

「あー、これはなラミッタ。恐らく口直し用で、この後メインディッシュが来るんだ。この国でもコース料理の出し方が同じであればだがな」

「あら、物を知らずゴメンあそばせ」

 マルクエンに教えられるのは気に入らないのだろうか、ラミッタはそんな事を言う。

「なんつーか、さっぱりしてるッスね」

「うん、美味しいけどデザートとは違うんだね」

「えぇ、あくまで口直し用なので」

 ケイは次の料理をワクワクして待っていた。店員がやって来ると、待っていましたとばかりにソワソワする。

「お待たせ致しました。本日のメインディッシュ。トーラ牛のロースステーキでございます」

 その料理名を聞いてマルクエンがハッとする。確かトーラはシヘンの出身地だ。

「トーラ牛かぁ……」

 思わずシヘンは独り言を呟く。

「トーラは畜産が盛んッスからね! 牛もブランド物なんスよ!!」

「へぇー、そうだったのですね」

 マルクエンが感心して言うと、シヘンが話す。

「このお肉も、私と一緒にこの街まで旅してきたんですね」

「しみじみ言ってる場合じゃないわよ。熱いうちに食べましょう」

「そうですね、すみません」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

聖女は聞いてしまった

夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」 父である国王に、そう言われて育った聖女。 彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。 聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。 そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。 旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。 しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。 ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー! ※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

ゲート0 -zero- 自衛隊 銀座にて、斯く戦えり

柳内たくみ
ファンタジー
20XX年、うだるような暑さの8月某日―― 東京・銀座四丁目交差点中央に、突如巨大な『門(ゲート)』が現れた。 中からなだれ込んできたのは、見目醜悪な怪異の群れ、そして剣や弓を携えた謎の軍勢。 彼らは何の躊躇いもなく、奇声と雄叫びを上げながら、そこで戸惑う人々を殺戮しはじめる。 無慈悲で凄惨な殺戮劇によって、瞬く間に血の海と化した銀座。 政府も警察もマスコミも、誰もがこの状況になすすべもなく混乱するばかりだった。 「皇居だ! 皇居に逃げるんだ!」 ただ、一人を除いて―― これは、たまたま現場に居合わせたオタク自衛官が、 たまたま人々を救い出し、たまたま英雄になっちゃうまでを描いた、7日間の壮絶な物語。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

もしかして寝てる間にざまぁしました?

ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。 内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。 しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。 私、寝てる間に何かしました?

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持

空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。 その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。 ※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。 ※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

嘘つきと呼ばれた精霊使いの私

ゆるぽ
ファンタジー
私の村には精霊の愛し子がいた、私にも精霊使いとしての才能があったのに誰も信じてくれなかった。愛し子についている精霊王さえも。真実を述べたのに信じてもらえず嘘つきと呼ばれた少女が幸せになるまでの物語。

処理中です...