別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

文字の大きさ
上 下
97 / 241
ジャガの街

ウィンドウショッピング

しおりを挟む
 サツマの工房の前通りにある商店街へと、一行は歩いていた。

 鍛冶屋の街というだけあり、武器や刃物、金物類が所狭しと並んで売られている。

「武器は竜を倒したら作ってもらうとして、ケイ。剣でも研いでもらったら?」

 ラミッタは『刃物研ぎます!』という看板を指さして言った。

「そうっスね、そろそろ研いでもらうっすかねー」

 ケイは肩の剣を降ろして研屋に預けに行く。

「1時間ぐらいで出来るらしいッス」

「それじゃ、それまでこの辺でもブラブラしてましょうかねー」

 ラミッタはうーんと背伸びをする。

 通りの武器を眺めながら歩くマルクエン達。

「お、あの剣。中々良いな」

「切れ味は良さそうね、魔剣士向けじゃないけど」

 マルクエンとラミッタは武器を眺め、手に取り、盛り上がっていた。

「あの二人の会話、何ていうか軍人! って感じだよなー。男女二人で買い物ってのに色気が無いと言うか……」

「あはは、そうだね」

 そんな二人の少し遠くでケイとシヘンが話をしている。

「何か面白い防具でも無いものかしら」

「防具か」

 そんな事を呟きながら歩くと、ふとヘンテコな店が目に入った。

「な、何この店……」

 ピンク色の看板を掲げているその店では、明らかに体を守る面積の少ない、水着のような鎧を店頭販売している。

「いらっしゃいませー」

 その赤い水着のような鎧を身に纏う、美しい女性店員がマルクエンに向かって挨拶をした。

「あ、あぁ、どうも」

 立派な谷間を前に、目のやり場に困るマルクエン。ラミッタは小声で「ド変態卑猥野郎」とボソッと言っていた。

「どうですか? この新作のアーマー!」

 そんなマルクエンを更に困らせるかのように店員は前かがみになり胸を寄せる。

「い、いや。どうって……」

「この動きやすさ、機能美!! 最高のアーマーですよ!!!」

「アーマーって言うけど、体を全然守れてないじゃない……」

 ラミッタが呆れながら言うと、店員はムッとした顔をして言う。

「急所は守れています! これは極限まで無駄を省いた素晴らしいアーマーなのです!」

「急所っていうか、見られたらまずい部分を守っているだけの間違いじゃない?」

「むむむー? それじゃ試着してみてください!!!」

「何でそうなるのよ!!!」

 ラミッタは赤面しながら叫んだ。

「何ですか? 実際に試しもしないで偏見で私の作品を否定したのですかー?」

「ん? 私の作品というと……?」

「はい! これは私が作り上げたアーマーです!」

 店員は胸を張って言う。

「鍛冶屋さんだったのか!」

「はい! それで、そこのお嬢さん!! 私の作品を着て頂けますよね!?」

「何か面白そうなことになってるッスねー?」

 ケイがニヤニヤしながら近付いてきた。シヘンも騒ぎを聞いてオロオロしている。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

聖女は聞いてしまった

夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」 父である国王に、そう言われて育った聖女。 彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。 聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。 そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。 旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。 しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。 ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー! ※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

【完結】拾ったおじさんが何やら普通ではありませんでした…

三園 七詩
ファンタジー
カノンは祖母と食堂を切り盛りする普通の女の子…そんなカノンがいつものように店を閉めようとすると…物音が…そこには倒れている人が…拾った人はおじさんだった…それもかなりのイケおじだった! 次の話(グレイ視点)にて完結になります。 お読みいただきありがとうございました。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

処理中です...