92 / 241
ジャガの街
ジャガへ
しおりを挟む
「お、流石はお二人さん。それ、ウチで一番良い大剣と魔剣士の剣だよ」
マルクエンの大剣は、鋼で作られており、値も張るが、丈夫なものだ。
元々使っていた剣より一回り小さいが、その点は仕方がないだろう。
ラミッタの方は魔力の伝導率が良く、剣に炎や電気を纏わせても問題が無い。
こちらも、元の剣よりは魔力の伝導率が低い。
「外で振り回して貰っても構わないよ」
「そうですか、では」
マルクエンは大剣を軽々と振り回し、縦に横にと素振りをする。
ラミッタも具合を確認するために、魔力を流しながら素振りした。
「私はこの剣で良いわ」
「あぁ、私もこれにしよう」
そう言って店に戻ると、店主に告げられる。
「俺の見立てだと、その剣は暫くの間なら大丈夫だろうけど、いずれお兄さんの力に耐えきれなくなるね」
「そうですか……」
マルクエンも薄々分かっていたが、どうしようかと悩む。
「ここから西に良い鍛冶屋の街がある。『ジャガ』って言うんだ。余裕があったら寄って行っても良いかもね」
「西へですか、わかりました。ありがとうございます」
何度か断ったのだが、料金はだいぶサービスしてもらい、マルクエン達は集落の人々に送り出されながら旅へと戻っていった。
「それで『ジャガ』って街には行くんスか?」
ケイに尋ねられてマルクエンはうーんと唸る。
「『ライオ』という大きな街で武器と魔人の情報を集めても良いのですが……」
「ライオまでは歩いて二日半かかるわ、ジャガは今日中に着ける。途中魔人と戦いになって剣が折れても困るわよ?」
「そうだな、寄るだけ寄ってみるか」
ラミッタに言われマルクエンは考えが纏まったようだ。
街道を歩き、しばらくすると分かれ道が現れ、看板によると、左の道へ行けばジャガらしい。
道中の魔物をシヘンとケイに任せ、四人は道を歩く。
日が暮れる前に街が見えてきた。鍛冶屋の街らしく、工房がそこら中にあり、煙突から煙が出ている。
「おー、ジャガは初めて来ましたけど、まさに鍛冶屋の街って感じっスね」
「そうですね」
マルクエンも関心して周りを見渡した。
「この街にも冒険者ギルドってあるのかしら?」
ラミッタは案内用の看板を見て言う。
「あ、ありますね!」
シヘンがギルドの文字を見つけた。ラミッタも場所を確認するため覗き込む。
「えーっと、あっちの方ね。とりあえず向かってみましょう」
「あぁ、そうだな」
マルクエン達は案内通りにギルドを見つけ、中へと入っていった。
ギルドの中は人で賑わっている。何か情報を見つけようと、掲示板を眺めるが、特にこれといった物は無かった。
興味本位で依頼が貼られている掲示板も覗いてみる。
他の街でも見た薬草集めから、鉱山で日雇いの仕事まで幅広く募集されていた。
「この街には武器を探しに来たわけだし、お金も不自由していないから、依頼は受ける必要も無さそうね」
ラミッタの言う通りだと、マルクエンも同意し、早々に宿屋へ向かおうとした時だ。
「白い鎧の金髪高身長。茶髪にヘアバンド、左頬に傷、天使のような人……」
メガネを掛けたギルドの受付嬢がぶつぶつと言いながら目を凝らしてこちらを見ていた。
「あのー、もし間違っていたらすみません。あなた達、マルクエンさんとラミッタさんじゃありませんか?」
マルクエンの大剣は、鋼で作られており、値も張るが、丈夫なものだ。
元々使っていた剣より一回り小さいが、その点は仕方がないだろう。
ラミッタの方は魔力の伝導率が良く、剣に炎や電気を纏わせても問題が無い。
こちらも、元の剣よりは魔力の伝導率が低い。
「外で振り回して貰っても構わないよ」
「そうですか、では」
マルクエンは大剣を軽々と振り回し、縦に横にと素振りをする。
ラミッタも具合を確認するために、魔力を流しながら素振りした。
「私はこの剣で良いわ」
「あぁ、私もこれにしよう」
そう言って店に戻ると、店主に告げられる。
「俺の見立てだと、その剣は暫くの間なら大丈夫だろうけど、いずれお兄さんの力に耐えきれなくなるね」
「そうですか……」
マルクエンも薄々分かっていたが、どうしようかと悩む。
「ここから西に良い鍛冶屋の街がある。『ジャガ』って言うんだ。余裕があったら寄って行っても良いかもね」
「西へですか、わかりました。ありがとうございます」
何度か断ったのだが、料金はだいぶサービスしてもらい、マルクエン達は集落の人々に送り出されながら旅へと戻っていった。
「それで『ジャガ』って街には行くんスか?」
ケイに尋ねられてマルクエンはうーんと唸る。
「『ライオ』という大きな街で武器と魔人の情報を集めても良いのですが……」
「ライオまでは歩いて二日半かかるわ、ジャガは今日中に着ける。途中魔人と戦いになって剣が折れても困るわよ?」
「そうだな、寄るだけ寄ってみるか」
ラミッタに言われマルクエンは考えが纏まったようだ。
街道を歩き、しばらくすると分かれ道が現れ、看板によると、左の道へ行けばジャガらしい。
道中の魔物をシヘンとケイに任せ、四人は道を歩く。
日が暮れる前に街が見えてきた。鍛冶屋の街らしく、工房がそこら中にあり、煙突から煙が出ている。
「おー、ジャガは初めて来ましたけど、まさに鍛冶屋の街って感じっスね」
「そうですね」
マルクエンも関心して周りを見渡した。
「この街にも冒険者ギルドってあるのかしら?」
ラミッタは案内用の看板を見て言う。
「あ、ありますね!」
シヘンがギルドの文字を見つけた。ラミッタも場所を確認するため覗き込む。
「えーっと、あっちの方ね。とりあえず向かってみましょう」
「あぁ、そうだな」
マルクエン達は案内通りにギルドを見つけ、中へと入っていった。
ギルドの中は人で賑わっている。何か情報を見つけようと、掲示板を眺めるが、特にこれといった物は無かった。
興味本位で依頼が貼られている掲示板も覗いてみる。
他の街でも見た薬草集めから、鉱山で日雇いの仕事まで幅広く募集されていた。
「この街には武器を探しに来たわけだし、お金も不自由していないから、依頼は受ける必要も無さそうね」
ラミッタの言う通りだと、マルクエンも同意し、早々に宿屋へ向かおうとした時だ。
「白い鎧の金髪高身長。茶髪にヘアバンド、左頬に傷、天使のような人……」
メガネを掛けたギルドの受付嬢がぶつぶつと言いながら目を凝らしてこちらを見ていた。
「あのー、もし間違っていたらすみません。あなた達、マルクエンさんとラミッタさんじゃありませんか?」
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!
[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

聖女は聞いてしまった
夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」
父である国王に、そう言われて育った聖女。
彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。
聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。
そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。
旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。
しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。
ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー!
※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!

原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

【完結】拾ったおじさんが何やら普通ではありませんでした…
三園 七詩
ファンタジー
カノンは祖母と食堂を切り盛りする普通の女の子…そんなカノンがいつものように店を閉めようとすると…物音が…そこには倒れている人が…拾った人はおじさんだった…それもかなりのイケおじだった!
次の話(グレイ視点)にて完結になります。
お読みいただきありがとうございました。


聖女が降臨した日が、運命の分かれ目でした
猫乃真鶴
ファンタジー
女神に供物と祈りを捧げ、豊穣を願う祭事の最中、聖女が降臨した。
聖女とは女神の力が顕現した存在。居るだけで豊穣が約束されるのだとそう言われている。
思ってもみない奇跡に一同が驚愕する中、第一王子のロイドだけはただ一人、皆とは違った視線を聖女に向けていた。
彼の婚約者であるレイアだけがそれに気付いた。
それが良いことなのかどうなのか、レイアには分からない。
けれども、なにかが胸の内に燻っている。
聖女が降臨したその日、それが大きくなったのだった。
※このお話は、小説家になろう様にも掲載しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる