別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

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水の神様

知る者

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「大丈夫か?」

 マルクエンは体を寄せてシチを支える。

「怪我はそうでもないけど、血が足りないみたいね」

 冷静を装いながらシチが言うと、マルクエンはシチの前でかがむ。

「良かったら背負っていくぞ」

「し、仕方ないわね。偉大なる黒魔術師を背負う栄誉を与えるわ!!!」

 いそいそとマルクエンに抱きつくシチ。ひんやりと冷たい体温が伝わる。




 洞窟の外で金属の装備を回収し、マルクエン達は集落まで戻った。

「おぉ、マルクエンさん!! 皆さん!! 祠の方はどうでしたか?」

 宿屋の主人が出迎えてくれ、マルクエンは先程の出来事を話す。

「結界は直りました。しかし、魔人の襲撃があり、シチが怪我をしてしまいました」

「なっ、魔人ですか!? 大変だ、避難と治安維持部隊へ連絡を……」

 焦る主人にラミッタが言う。

「いえ、奴なら倒しましたので」

「ま、魔人をですか!? し、信じられない……」

「ともかく、この集落に当面の危険は無いと思われます。シチを休ませてやりたいのですが、宿は取れますか?」

「そ、それはもちろんですが」

 宿屋の一室へ通され、マルクエンはシチをベッドに降ろした。

「運んでくれたことは褒めてあげるわ!!!」

「あぁ、そうか」

 マルクエンは笑顔で返す。

「宿敵、私達は早く次の大きな街へ向かったほうが良いと思うわ」

「どうしてだ、ラミッタ?」

 シチの怪我の心配もあり、治るまでは面倒を見ていたいと思っていたマルクエンだったが、ラミッタの意見が気になる。

「ねぇ、一つ聞いていいかしら?」

 シチが突然、口を挟む。

「あなた達、何者なのかしら? その強さと、魔人は転生者って言っていたけど……」

 マルクエンとラミッタは顔を見合わせ、頷いた。

「シチ、巻き込んでしまったし、信じられない話だろうが信じて欲しい」

 マルクエン達はこの世界に来た生い立ちと、この世界での出来事をシチに説明する。

「お前達が転生者だと? それじゃ『伝説のゆーしゃ』みたいじゃねーか!!」

 話を聞いていた手下は、信じられないとばかりにそう言った。

 無理もない、こんな話は信じろと言う方が難しい。

「いや、私は信じるわ。その強さと、魔人が狙う理由に辻褄つじつまが合うもの」

「姉御ぉ……」

「信じてくれてありがとう」

 マルクエンはふっと笑う。

 そして、話を終えた所でラミッタが本題に入る。

「魔人達の狙いが私達だとしたら、この集落に居るのは危険ね。周りを巻き込むわ」

「あぁ、そうだな」

「武器を調達したら魔王の情報を集めて、こちらから叩いてやるわ」

 そう言うと、ラミッタは椅子から立ち上がり、部屋の外に出ていこうとする。
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