別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

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箱の中身は

魔物狩り

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「ただいまー」

 家のドアを開けてマルクエンが入る。エプロン姿のシヘンが出迎えてくれた。

「おかえりなさい、マルクエンさん」

「ありがとう、シヘンさん」

 ラミッタはソファに座ってウトウトとしていた。

「ラミッタ、帰ったぞ」

「んー? あぁ、宿敵ね」

 寝ぼけているラミッタの隣に座ると、彼女は驚く。

「な、なに隣に座ってんのよ?」

「あ、悪い。ダメだったか?」

「別に良いわよ」

 ラミッタはそっぽを向いて言う。

「あぁ、そうだ。さっきシチに会ったんだが……」

 その名を聞いて今度はこちらを振り向くラミッタ。

「なっ、あの痴女黒魔術師に会ったの!?」

「そ、そこまで言わなくても……」

 マルクエンは顔を近付けてくるラミッタから引き気味で話す。

「それで、聞いたんだが。なんでもこの世界の黒魔術では、魔物を転移させる事が出来るらしくてな」

「なにそれ、詳しく教えなさい!」

 マルクエンはシチからの説明を受け売りして集まってきた皆に話した。

「ふーん、確かに魔人がその黒魔術に近い事をしているかもしれないわね」

「という事は、近くの魔物を倒せば街の被害を減らせるって事ですか?」

「可能性はあるわね、それにあの大きな箱が気になるわ」

 マルクエンは他の箱の何倍もある大きな箱を思い返す。

「あの大きな箱用の魔物でもどこかに用意しているんじゃないかしら?」

「確かにそうっスねー」

「待っているだけじゃ暇だし、探しにでも行こうかしら」

 ラミッタは言って立ち上がるが、それにマルクエンは待ったをかける。

「いや、だが私達が街を離れている間に箱から魔物が現れたらどうするんだ?」

「そう遠くまでは行かないわよ。いつでも走って駆け付けられる距離まで」

 納得のいかなそうなマルクエンだったので、ラミッタは言う。

「私だけで行くわ。体がなまっちゃうし、魔物狩りでもして、街は宿敵に任せるわ」




「本当にラミッタさん一人で大丈夫でしょうか?」

 見送りに外に出ていたシヘンが心配そうに言う。

「だいじょーぶよ、任せておいて」

 ラミッタは足に魔力を込め、弾けるように草原を駆け抜けていく。

 残されたマルクエン達は、やる事も無いので、柵作りはEランクの仕事だったが手伝いをした。

 重い丸太を一人で軽々と持つマルクエンを見て、冒険者も街の人々も「流石だな」と関心している。

「皆さん、お疲れ様です!」

 冒険者ギルドの人間が作業員に水を配っていた。シヘンもそれに紛れて仕事をしている。

 ケイは木材に釘を打ち付けていた。
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