31 / 241
異世界の日常
飛び出るお尻
しおりを挟む
腰の辺りを土壁でガッチリと固定されたシチは、出ようと飛び出ている上半身の腕を伸ばし、手で土壁を押すが、びくともしない。
シチは手から攻撃魔法を出そうとするが、魔力が吸い取らるのかうまく発動が出来ず。同じ様に捉えられた手下も土壁から抜けずにいた。
「さーて、後は首を落とすだけね」
「ひっ」
小さくシチは悲鳴を上げた。剣を手にラミッタが一歩一歩こちらへやって来る。
「その辺で勘弁してやれラミッタ」
マルクエンの言葉に振り返る。そしてはぁっとため息を付いた。
「宿敵、甘いわね。コイツは温泉宿であなたを吹き飛ばしたのよ?」
それを聞いてマルクエンはその時の事を思い出して目を逸らす。
「まぁ、それはそうだが。でも許してやってくれ」
ラミッタはシチ達をチラリと見て、剣を鞘に納める。
「首無しの死体を引っ張っていくのも面倒だしね」
その言葉に思わずシヘンも安堵した。目の前で人の首が刎ねられるのは見たことが無いので心臓がバクバクとしていたのだ。
「あの土も解除してやってくれないか?」
「私に命令しないで宿敵」
口ではそう言いながらもラミッタはまた地面を強く踏んだ。そして首を傾げる。
「あれ、おかしいわね」
再度、足で踏むが、土壁が壊れる気配は無い。
「あの女の魔力が加わってガッチガチになっちゃったかも」
「何っ!?」
「もしかしてこれ、引っ張り出すしか無いっスかね」
そう言われてマルクエンは頭をかきながらシチの元へと向かう。
「ラミッタ、そっちのちっこい子を頼む」
「誰がちっこいだ!!」
手下の女はギャーギャー怒っていたが、マルクエンは、ハハッと笑って土壁の後ろに回り、シチの下半身側へと立った。
「引き抜けないかやってみる。触っても良いか?」
そう言われ、シチは赤面する。
「し、仕方ないわね!! 下僕、特別に私の体に触れることを許可するわ!!」
「そりゃどうも」
「あのっ、そのっ、や、優しくしてよね」
シチの腰の辺りを掴んでマルクエンは力を込めて引っ張った。やむを得ず、尻にマルクエンの腰が当たる。
「い、痛い痛い!!」
「す、すまない。痛かったか?」
思わずマルクエンは手を離した。
「大丈夫、もっと強くして」
「あぁ、分かった」
またも力を込めて引っ張るマルクエン。シチは涙目になりながら歯を食いしばって耐えていた。
「あ、ちょっと動いたのが分かるわ」
「本当か? 一気に出すぞ!!」
うーんと力を込めると、ビンのフタのようにスッポーンとシチが抜けた。勢いあまってバランスを崩し、地面に仰向けで倒れるマルクエン。その上にはシチが馬乗りになっていた。
「何か、頑張って人助けしているのに、ヤバいことしているような気になるっスね……」
ケイは苦笑いしている。シヘンも何故か顔を赤らめてもじもじしていた。
シチは手から攻撃魔法を出そうとするが、魔力が吸い取らるのかうまく発動が出来ず。同じ様に捉えられた手下も土壁から抜けずにいた。
「さーて、後は首を落とすだけね」
「ひっ」
小さくシチは悲鳴を上げた。剣を手にラミッタが一歩一歩こちらへやって来る。
「その辺で勘弁してやれラミッタ」
マルクエンの言葉に振り返る。そしてはぁっとため息を付いた。
「宿敵、甘いわね。コイツは温泉宿であなたを吹き飛ばしたのよ?」
それを聞いてマルクエンはその時の事を思い出して目を逸らす。
「まぁ、それはそうだが。でも許してやってくれ」
ラミッタはシチ達をチラリと見て、剣を鞘に納める。
「首無しの死体を引っ張っていくのも面倒だしね」
その言葉に思わずシヘンも安堵した。目の前で人の首が刎ねられるのは見たことが無いので心臓がバクバクとしていたのだ。
「あの土も解除してやってくれないか?」
「私に命令しないで宿敵」
口ではそう言いながらもラミッタはまた地面を強く踏んだ。そして首を傾げる。
「あれ、おかしいわね」
再度、足で踏むが、土壁が壊れる気配は無い。
「あの女の魔力が加わってガッチガチになっちゃったかも」
「何っ!?」
「もしかしてこれ、引っ張り出すしか無いっスかね」
そう言われてマルクエンは頭をかきながらシチの元へと向かう。
「ラミッタ、そっちのちっこい子を頼む」
「誰がちっこいだ!!」
手下の女はギャーギャー怒っていたが、マルクエンは、ハハッと笑って土壁の後ろに回り、シチの下半身側へと立った。
「引き抜けないかやってみる。触っても良いか?」
そう言われ、シチは赤面する。
「し、仕方ないわね!! 下僕、特別に私の体に触れることを許可するわ!!」
「そりゃどうも」
「あのっ、そのっ、や、優しくしてよね」
シチの腰の辺りを掴んでマルクエンは力を込めて引っ張った。やむを得ず、尻にマルクエンの腰が当たる。
「い、痛い痛い!!」
「す、すまない。痛かったか?」
思わずマルクエンは手を離した。
「大丈夫、もっと強くして」
「あぁ、分かった」
またも力を込めて引っ張るマルクエン。シチは涙目になりながら歯を食いしばって耐えていた。
「あ、ちょっと動いたのが分かるわ」
「本当か? 一気に出すぞ!!」
うーんと力を込めると、ビンのフタのようにスッポーンとシチが抜けた。勢いあまってバランスを崩し、地面に仰向けで倒れるマルクエン。その上にはシチが馬乗りになっていた。
「何か、頑張って人助けしているのに、ヤバいことしているような気になるっスね……」
ケイは苦笑いしている。シヘンも何故か顔を赤らめてもじもじしていた。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?
あくの
ファンタジー
15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。
加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。
また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。
長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。
リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

聖女は聞いてしまった
夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」
父である国王に、そう言われて育った聖女。
彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。
聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。
そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。
旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。
しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。
ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー!
※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!

【完結】拾ったおじさんが何やら普通ではありませんでした…
三園 七詩
ファンタジー
カノンは祖母と食堂を切り盛りする普通の女の子…そんなカノンがいつものように店を閉めようとすると…物音が…そこには倒れている人が…拾った人はおじさんだった…それもかなりのイケおじだった!
次の話(グレイ視点)にて完結になります。
お読みいただきありがとうございました。


もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる