別の形で会い直した宿敵が結婚を迫って来たんだが

まっど↑きみはる

文字の大きさ
上 下
22 / 241
奇術師の魔人

奇術師

しおりを挟む
 ラミッタも剣を引き抜いて女に斬りかかる。

 だが、女は片手で防御壁を貼り、ラミッタの斬撃は弾かれてしまう。

「えっ、ちょっ、ラミッタさん!?」

 驚くケイ達に対してラミッタは大声を上げる。

「敵よ!!」

 マルクエンも斬りかかる。あの反応速度と防御壁の貼り方は素人では無いことは確かだ。

「まぁまぁ、落ち着いて」

 今度は縦に横にと振り回される剣をひらりと躱しながら言う。

「あー、嫌われちゃったかなー?」

 クスッと笑って女は空に飛び上がった。

「お前、何者だ!!」

 マルクエンは上を向いて叫ぶ。

「まぁ、今日は挨拶だけ。また近い内に会えるよ」

 ラミッタは天に向かって業火を打ち出すも、女は何処かへ飛び去ってしまう。

「空を飛んでるって事は、魔人っスかね……」

「まさか、また魔人が……」

 ケイとシヘンは驚いていてそう言う以外何も出来なかった。

「あ、あのマルクエンさん!! ラミッタさん!!」

 剣を納めた二人に向かって、シヘンが意を決して声を掛ける。

「さっきの人……、お二人を別の世界から来た勇者って言ってましたけど……。どういう事なんですか!?」

 言われた二人は顔を合わせ、ラミッタがため息を吐いて話し始めた。

「あなた達には話しておいた方が良いかもしれないわね」

「そうだな。シヘンさん、ケイさん。とても信じられない話ですが、信じて欲しい」

 二人は別の世界から来たこと、前の世界で戦い合ってたこと、それらを全て話す。

 説明には三十分ほど掛かり、終わった後にケイは頭を抱えていた。

「ぜんっぜん信じられないですけど、お二人が嘘をつくとも思えないっス!!」

「そうですね、私は信じます」

 何とかシヘンとケイも納得してくれて、マルクエンはほっと胸を撫で下ろす。

「それで、お二人は元の世界に帰りたいから魔王を倒すって事っスか?」

「まぁ、当面の目標はそうですね」

「私は別にこの世界で過ごしても良いんだけどね」

「いくら何でも魔王は無理っスよ!!」

 ケイは二人を説得したかったが、いい言葉が思い浮かばなかった。

「まぁ、当面は冒険者としてお金と情報を集めますよ。私もこの世界の事を何も分かっていませんですし」

 マルクエンが言うと何か言いたげなケイを見てラミッタが語りかける。

「私達と居たら危険に巻き込まれるかもしれないわ。無理に一緒に居なくても大丈夫よ」

「わ、私は一緒に行きます!! お供させて下さい!!」

 以外にもシヘンが頭を下げて言い出した。驚くマルクエンとケイ。

「ちょっ!! 今の話聞いていたろ!?」

 慌ててケイはシヘンに強く言う。

「私は世界を冒険してみたいし、強くなりたいんです!」

 意外にもシヘンの決意は固いようだ。

「ありがとう、シヘンさん。あなたの事は何があっても守る」

 真顔でマルクエンが言うので、シヘンは思わず赤面して目を逸らしてしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~

k33
ファンタジー
初めての小説です..! ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

パークラ認定されてパーティーから追放されたから田舎でスローライフを送ろうと思う

ユースケ
ファンタジー
俺ことソーマ=イグベルトはとある特殊なスキルを持っている。 そのスキルはある特殊な条件下でのみ発動するパッシブスキルで、パーティーメンバーはもちろん、自分自身の身体能力やスキル効果を倍増させる優れもの。 だけどその条件がなかなか厄介だった。 何故ならその条件というのが────

聖女は聞いてしまった

夕景あき
ファンタジー
「道具に心は不要だ」 父である国王に、そう言われて育った聖女。 彼女の周囲には、彼女を心を持つ人間として扱う人は、ほとんどいなくなっていた。 聖女自身も、自分の心の動きを無視して、聖女という治癒道具になりきり何も考えず、言われた事をただやり、ただ生きているだけの日々を過ごしていた。 そんな日々が10年過ぎた後、勇者と賢者と魔法使いと共に聖女は魔王討伐の旅に出ることになる。 旅の中で心をとり戻し、勇者に恋をする聖女。 しかし、勇者の本音を聞いてしまった聖女は絶望するのだった·····。 ネガティブ思考系聖女の恋愛ストーリー! ※ハッピーエンドなので、安心してお読みください!

原産地が同じでも結果が違ったお話

よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。 視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

【完結】拾ったおじさんが何やら普通ではありませんでした…

三園 七詩
ファンタジー
カノンは祖母と食堂を切り盛りする普通の女の子…そんなカノンがいつものように店を閉めようとすると…物音が…そこには倒れている人が…拾った人はおじさんだった…それもかなりのイケおじだった! 次の話(グレイ視点)にて完結になります。 お読みいただきありがとうございました。

【本編完結】転生したら第6皇子冷遇されながらも力をつける

そう
ファンタジー
転生したら帝国の第6皇子だったけど周りの人たちに冷遇されながらも生きて行く話です

処理中です...