気高い蝶 男の欲望にまみれた人妻

小笠原雅

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エピローグ 佐田の夢

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24、エピローグ 佐田の夢


 ホテルのキングサイズのベットで佐田の腰の上に女が跨がり腰を振って居る。韓国アイドルの様に腰からの盛り上がったケツ、太ももの盛り上がりが見事だ。骨盤底筋を鍛えた女芯の締まりは良いものがある。
 普段の男ならこの女の腰使いに呻くのだろうが、文子の呻きながら、身を捩らせて頭を振り回して逝きまくる姿とは違いがある。
 情が性感脳を刺激するのかもな、自信に満ちた女の顔を眺めていた。

 佐田がエレクトロを保ったまま、反応しないのに気が付いた女は焦り出した。男を逝かせてマウントを取るつもりが自分ばかり盛り上がっている。女が腰を上下させている時にポルチオに当てたり外したりして佐田が遊ぶのだ。気持ちいい所を外されてばかりいた女は、ムキになって股を広げて奥に入れようと下に下ろした時に、佐田は角度を合わせる様にして深く子宮を潰す様にシンボルをめり込ます。激しい快感が背骨を突き上げ、内臓を口から出す様な錯覚に襲われる。
 女は痙攣を起こしながらまた腰を上下さすのだが、シンボルは同じ場所には無い。
 女は佐田にしがみつき、「お願いお願い」と甘えてキスをせがむ。
 ゆっくり佐田が頷いたのをみて女がまた腰を上下している。身体の神経全部がポルチオに集まり佐田のシンボルに当てる事だけを願っている様だ。
 女は上下に腰を振る。また焦らされているが期待が高まっているけど
「欲しい 欲しい」女は口を開けて懇願して居る、股を大きく広げて背中を仰け反らす。
 しっかり焦らせた事を感じた佐田はシンボルの角度を合わせた。
 女のポルチオを押しつぶすように女の身体の中に入って行く。
「ああああー~いやーー」
 女は雄叫びをあげて身を震わした。
 今度は角度を変えない。
 女は腰を上げ同じ様に体重を全部乗せる様に腰を下げた。まためり込む、身体の中が全部佐田のシンボルでいっぱいになる、今度は頭の中に突き刺されたように感じた。
「あああーああーー」
「逝く逝く逝くーーーいってる逝く」
「深い深いああいっぱいになるぅ逝く逝く」

 また長い夜になりそうだ、お願いは震えて佐田にしがみつき背中の夜叉の剣を撫でていた。


 佐田は明日東京に向けて出発する、出陣式に出席して、みんなに送りだされ深酒をした。組みから充てがわれた女を思う存分遊んでやった。少し寝過ぎた様だ、力が漲る。
 事務所に置いてあるスーツで行くとしよう。予定を変える連絡を文子にかけた。


 文子はベットの中で電話に気づいた。佐田からの電話だ。
「文子、今日は大丈夫だな。俺は直接空港に行く事にした。空港についたら連絡をくれ。それとちゃんと美容院でセットしてくるんだぞ。わかったな。」
 寝起きにきつく言われたので気分が重い。

 武志は今日も会社に出てる。1人のベットが少し寂しい。

 昨日の武志の優しさに心が揺らいでいる。

 伊丹空港は文子の家からタクシーで20分ぐらいで着く。髪のセットは駅の近くの店に予約はしてある。

 佐田との待ち合わせは空港に12時。飛行機は13時発の羽田行きだ。
 服も佐田が用意してくれている。こんなおしゃれな夜逃げはあるだろうか。

 昨夜の武志とのセックスの余韻が残る。髪に武志の残り香を感じる。慌ててシャワーを浴びて化粧をした。
 昨日の夜泣いたからだろうか目が赤いどんな夢を見たのかわからない。枕がしっとり濡れていた。花達に水をあげた。
 もう手入れをして上げれないと思うと苦しくて仕方ない。この子達を守るために意地を張って沼に落ちた様な気がする。
 ただ、今だけは優しく水をあげたい。

 佐田が選んだ服をきて身支度をした。セミ フォーマル のワンピース 。綺麗なピンクでタイトなデザイン。ノースリーブのミニ 丈 大人のかわいらしさがよく出てる。
 胸には蝶の型のネックレスペンダントが良く光っている。

 少し早い目に家を出た。家出をするんだ、息が苦しい。罪悪感に押し潰されそうだ。後ろ髪を引かれると言うのはこの事なんだろう。
 美容院に早く行くと先生は空いてる様で、すぐに取り掛かって貰ったのですぐに終わった。

 佐田との待ち合わせには時間がある。

 早く佐田に会いたい。この気分を早く忘れさせて欲しい。文子は早く空港に行かなきゃダメだ。空港に向かうためのタクシーを待っている

 裏腹に文子の胸に武志の事が思い出される。別れの言葉はスマホで送ろうと思ったが返信が来るのが怖い。
 もう一切の連絡は取らない、連絡が来ない様にしなければならない。書き置きを残しておけば良かったと今更思う。

 佐田に犯されてプライドを切り裂かれ、その代わりに身も心も溶ける快感を貰った。昨日までは佐田を好きで堪らないと思っていたが、佐田は玩具としての文子を見ている。

 文子の中の淫乱で奥深い欲望と性癖を武志に見せる事は出来ない。これだけ文子は調教されてしまった。ショーの出演で戻れないと知ってしまった。
 私は渦巻の中に吸い込まれて行くように落ちて消えてしまいたい。そうしなければならない、佐田の背中の夜叉に心を食べ尽くされた時に決めたのだ。

 道路の反対側にキャリアケースを引っ張り駅に向かうサラリーマンを見かけた。

 武志を思い出させる。

 どうしても書き置きを置いていきたい。
もう武志と繋がるスマホは使わない
 心の落ち着く場所は武志が作ってくれていた。感謝のかけらだけでも置いて行きたい。

 タクシーを拾い家に一度帰ることにした。

 タクシーに待ってもらい文子は自宅に戻った。玄関に入りリビングでメモを探そうとしたら。

 武志がベランダの花に水をやっていた。
文子に気付いた武志は慌てて文子に駆け寄った。
 スローモーションで武志が抱きしめに来る、耳元で優しく囁く
「帰って来てくれたんだ」
 文子は身体が固まって動けない。

心の中で、

「ワタシハヨニゲヲスルンデス」

 頭が逃げろと叫んでいる。

「文子をずっと信じてた。」

 武志は文子にかけより肩を抱きしめて
「ありがとう。」

「シンジル?」

「ワタシハアナタニウソバカリデス」

文子は唖然として武志を見た
「知っていたの」

 武志は文子の目を見て。
「知っていた。」
「文子を傷つけたく無くてどうして良いかわからなくて。」
「何も言わなくていい。!ちゃんと文子は俺が守る。」

「もっと早く気付いてやれなくてごめんね。」

「この子達が寂しいって言うんだ」
 武志はベランダの花に語りかけた。

 文子は叫んだ。
「私は淫乱なのよ。知らない男に股を開いて気持ち良くっておしっこも漏らす。入れて欲しくて裸でお尻を振るわ。
 抱いて欲しくて、叩かれても股を開くの、ペ○スもよだれを垂らして舐めるのよ。下着も付けずに街を歩くわ。変態よ!淫乱なのよ
知らなかったでしょ、アナタが笑ものになるのよ」

武志は黙って頷いた。

「でもねそれは、文子、仕方なかったんだ」
 武志はきつく抱きしめて心を込めて言った。

「愛している」

どれだけこの言葉が欲しかったかわからない。
自信がなくて不安で1人で寝ていた夜を思い出す。

「仕方ないなんて言わないで。」

「ワタシは、ワタシは。知らないでしょう!」
 「昨日の夜が本当の2人だ、それ以上も以下も無いんだ」
 武志は全部知っていた?佐田の家の事、シアタールームの事も?

 武志はずっと文子の目を見て聞いている。

 文子は受け入れて貰えると安心した。
安堵と後悔と嬉しさとで、文子は気を失ってしまった。


 ベットで文子を休ませて、しばらくした頃。佐田から電話が掛かって来た。その電話に武志が出た。
「文子は今寝込んでいます。また落ち着いたら連絡させますね」

「うるさい早く文子を出せ」
「若いモンを行かせるぞ」
 と脅したが武志は動じない。

「おまえが送りつけた動画あるだろう。ちゃんとモザイクかけたつもりかよ。綺麗に拭ってあげたよ。」

「なんだと、もう一度言ってみろ。」

「あの手のショーは普通は携帯預かったりするだろ主催が。あんな場所は。関係者のあんただから取れたんだよな」

「俺を舐めてたんだろうが相手間違えたよな。オーナーさんにも会って事情話したよ」

「俺は波風立てたくない。文子から手を引いてくれたらそれでいい。そう話した。」
「昨日呼び出されたんじゃないのか?聞いてないのか?」

「代議士の先生必死になって文子の身体舐めてたな。汚いケツ写ってたよ。俺と文子が連絡付かなくなったら、動画がSNSに流れるぞ」

 いっぱいコピー取って貸金庫に預けているからな。

「証拠送ってやるぞ見てみろよ」
それが佐田の声を聞いたのが最後だ



 佐田は一人で東京に行った。
空港で待ち合わせている人がいるので乗り過ごす事が出来ない。

 空港に着いたが出迎えは来なかった。組には黙っていた。今回の仕事の結果を出した後でないと佐田自身が危ない。

 佐田が東京に行った時に合わせて、買収を計画していた会社が反撃を仕掛けて来た。予想はされていたので佐田は打ち合わせ通り協力者に連絡を入れて買収に力を入れようとした。しかし動いてくれない。組にここで頼る訳にはいかない。仕方ない今がチャンスだと全財産を突っ込んで戦った。

 その時買収先に助け船が出た。大きな資本の会社が現れて多額の資本参加を約束した。  途端に佐田の持っている株は値打ちを失った。

 シアタールームの動画は酷くて武志を悩ませたが役に立った。モザイクを消した後に顔を出したのは、大物政治家、買収したい企業のトップ。これが出ると場所を提供したオーナーの信用も台無しだ。一瞬にして佐田の信用が崩れた。誰も佐田に従うものがいない。

 しばらくして佐田の死体が東京湾に浮かんだ。

 武志の事を舐めたんだろう。出向したとはいえ、助け船を出した会社の上層部と繋がっている。

 佐田が買収したい会社を同じく狙っていた。
 
 暑い真夏日、武志は病院の一室で文子が入っている病室で座っている。
「今日は暑いね、もうすぐ退院出来る様だよ退院したら何食べたいかな?」
「そうねスイカが食べたいな」
「へー欲がないねもっと高い物言うと思ったよ」
「スイカが1番よ夏には身体に良いのよ」
「それと水着買いたいな、貴方と一緒に海に行きたいの、まだ一緒に行ってないでしょ?」
 文子は今精神病院のベットで寝ている。
武志が行くと少女の様な笑顔になる。
「そうだな一緒に行こうね」
「私裸で泳ぎたいな、なんか見られたい気がするの」
「どうかな、大胆だねでもそれも楽しみだね」
「ありがとう、嬉しいな。楽しみだね」

 少しの間の記憶がないそうだ。
「花が呼んでるよ早く帰ろうね」

武志が言うと文子が微笑んだ。

それから10年が経った
日曜日のお昼に大阪の下町の古びたアパートに武志は向かっている。

鉄の階段を登り、廊下の柵を利用して洗濯物を干す家庭、ビールの空き缶がゴミ箱に溢れている家庭、民度の低い住宅街の安っぽいアパートだ。

 そこに文子は住んでいる。
 佐田が死んでから文子は精神を病んだが、妊娠している事を知ると、これは佐田の子どもだと言って譲らない。
 出産は武志が世話をしたがそのあとDNAの検査を自分でして、それを理由に離婚を迫って来た。武志は思い止まる様に努めたが。
 勤めていた会社を辞めて、1人で子どもに合わせた休みが取れる会社に勤めて1人で育てている。
 武志は拒まれてもその部屋に休みになれば通っている。
 文子の家の玄関に立っていたら、後ろから少年野球のユニホームを来た少年がドタドタと走って来て武志を押しのけて家に入って言った。
「お母さんご飯にして、腹減ったよー」
 部屋の中で声がした。
 部屋の中を覗くと、キッチンから文子が出てきて食べ物を運んでいる。文子も、もう40半ばだ髪を茶色に染めて後ろに括った後ろ姿を見るとやつれた感じが拭えない。

「またチキンラーメンか?オレ好きだから良いよ。お父さんも好きだったんだろう。いただきます」元気な声が響く

 ふと文子は振り返り、玄関から見える空を見た。

 文子の目の前が青い空が広がったその色は宇宙まで透き通る様な美しさだ。
 いつか見た佐田に汚された時の、懐かしいと思えるあの時と同じ青空だ。


 ただ顔を伏せ武志を遮る様に玄関のドアを閉めた。

 


気高い蝶 「完」
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