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その部屋での私
しおりを挟む2、その部屋での私
バス通りに面した男のマンションのエントランスに入りオートロックのパネルに押し慣れた部屋番号を押す。
無言で開くドアに吸い込まれる様に歩いて行った。
エレベーターを待つのは嫌いだ。
素にもどり後悔の気持ちが浮き上がる時がある、乗らなければどうなるのかって考えてしまう時がある。
ドアは鍵が掛かっていない。声もかけずに私は部屋にズンズンと入ってゆく、期待で胸が熱くなる。
部屋に入った時から男の体臭を消す為のコロンの香りが気になっている。
この香りが気持ちを落ち着かせてくれる。
でも私は、その中に女が残した臭いが無いか本能的に女の感を働かせた。
嫉妬なんてとんでもないそぶりを見せて、でも男に気づかれない様に気配を探る。
たとえば長い髪の毛を一本見つけたら私は嫉妬に狂う、でも素振りには出さない。
その分、女の深い部分を現す痴態が止められないぐらいに溢れ出してしまう。
今日は気配を感じない。
安心して、恥じらうそぶりを見せて部屋の灯を消して貰った。
いつも急に呼び出される。諦めかけた頃が出会える頃、焦らされ遊ばれてる自分を叱って見ても、一本の電話で40過ぎた主婦で自慢出来るキャリアを持つ高慢な女の頭の中は、恋する少女に変わる。
男の声が聞けると脳の中でギリギリと錆びた扉を開ける様に音を立てて私は恋する女に生まれて変わる。
今日の下着は長く使っているもので刺繍のほつれが少し出てるそれを男に見せたくは無い。
「暗い方が良いんだ」
私より10歳も歳が下、この部屋の主は先にソファに座っていて、シネマスターの様に優しく笑って立ち上がり、軽く頷いて壁のスイッチに手を当てた。
一旦灯りを消してしまうと全く見えなくなってしまったので、男はそのまま、ドアの向こう側の小さなキッチンの灯りを点けて、隔てるドアを少し開けて様子を見ている。
思いがけなくできた淡い電灯の帯が部屋に伸びて、その少しのドアの隙間が誰も居ない部屋から覗かれてしまいそうに思えて不安に思う。これから繰り広げられる痴態を覗かれる様に思えて、少しドキッとした。
幅の広い部屋灯りが帯びを床に描いている。その幅がぼやけた先にあるソファに男は座り直した。
男の部屋に入るのはもう何回目だろうすっかり男の思いのままに染められ、身体をくねらす私がいた。自分でもビックリするぐらいこの部屋の中、いやこの男の前ではスケベな女になれる。
男は私より10才下、彼の気のままに突然呼び出される。軽くキスで終わる事も有れば私が時間を作れば食事をする時もある。
だけど私は短い時間を捻り出し慌ててここに来る。
彼の好みに合わせて、私はこの部屋に入ると下着も外した裸の姿に自分からなってしまう。裸になってしまうと彼の犬、ペットになったように甘えたため息を出せる。
その姿のまま男の前でひざまついた。
言葉も無く男が顎を上げるだけで、私は男に背中を向けて両腕を背中に回し手が届くほどに近づく。
「今日はお前が買ってくれたネクタイで縛ってあげるね」スルスルと音を立てて男はネクタイを外し後ろ手に回した。
私の両方の手首に巻き付けた。
男の冷たい声が私に喜びを込み上げさせて来る。頷きはしない、でも身体を揺らして腕を男に差し出している。
「ふぅ~う」ため息が出る。
「ああぁ」大袈裟な声を出してしまった。
キツくネクタイが腕に食い込む様に縛られるとため息がでた。いっぱい刺激が欲しくて本能的に身体をくねらせ貪欲に快楽を貪ろうとしてしまう。
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