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第64話 交際一日
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翌朝、朝食をとりながら、僕は今後の事を話し合わなければと思っていた。
「なあ、陽菜。付き合い始めて直ぐに離れ離れになってしまってすまない」
陽菜は、何を言ってるのか分からないと言った表情をしている。
「だけど、できるだけ東京へは遊びに行くし、その……大学を卒業したら、僕の所へ来てくれないか? 四年も待たせて、そこから更に四年も待たせる事になって悪いとは思ってるけど」
「イヤよ」
「へ?」
「ワタシ、今日で圭とは別れるんだから」
「え……と、何を言ってるのか、分からないんだけど……」
予想外の陽菜の言葉に、僕は思考が追いつかない。
「ワタシ遠恋はムリだから、圭の事なんて、さっさと忘れて他に恋人を作るの」
「いや、いや、おかしいだろ。だったら何故、ぼくと経験したの?」
「約束だったじゃない、ワタシと付き合ってくれるって」
陽菜は『何を言ってるの?』と言った表情で澄ましてる。
「でも、この先付き合う気はないんだろ?」
「そうよ、交際期間一日 笑」
陽菜には振り回さっれてばかりだったが、最後の最後まで翻弄されようとは思っていなかった僕は、ただ茫然とするばかりだった。
「まあ、僕が文句をいえた立場じゃないけど、そりゃないよ~」
「だったら、東京で就職すればよかったんじゃない。そしたらワタシという二百人斬りの美少女と付き合えたのに」
自分で「美少女」と言ったり、「二百人斬り」の間違った用法といい、相変わらず陽菜は面白い。
「でも、どうしても最初の赴任先は故郷の中学校にしたかったんだ」
「それって、小梢さんと別れたことと関係してるの?」
「うん、でも小梢が故郷に帰ったから僕も帰るというわけではないんだ」
僕は初めて陽菜に土門華子の事、それに小梢がどう関わっていたのかを話した。
「小梢さん……、可哀そう…。それに、その華子さんも。
ワタシも華子さんの日記を読みたかったな~」
「だから、どうしても松江の中学校。僕が一年生を過ごした学校で教師としてスタートしたかったんだ」
「そういう事なら、仕方ないか。ワタシはてっきり小梢さん目当てかと思ったよ 笑」
「小梢とは、別れてからは全然連絡を取ってないし、とっくに関係は終わってるよ。彼女も新しい目標とやらを見つけたんだし、今頃、目標は叶ってるだろう」
僕の話に、陽菜はニヤニヤしながら聞き入っていた。なにか嬉しそうですらある。
「なんで、そんなに嬉しそうなんだ?」
「別にぃ~」と言いながら、笑いがこみ上げてくるのを堪えているかのようだ。
「そういや、小梢さんの目標って教えてなかったね。知りたい?」
少し気になったが、僕にとってはもう過去の事だ。教師になると決めて、小梢の事はなるべく考えないようにしていた。
「いや、良いよ……。今更だし」
「分かったよ、じゃあ、内緒のままにしとく。
でも、ワタシが圭をフることに変更はないからね。圭は二百一人目、ワタシにフラれる男」
「はあ~、これでまた『彼女いない歴』が始まるよ……、トホホ……」
今更ながら、逃した魚は大きいと痛感する。そう思う程、陽菜は超絶美少女だ。
それにしても、小梢、愛莉に続き陽菜までが僕の元を去るとは、僕はこの先、彼女もできなければ結婚もできないのではないかと心配になってしまう。
「大丈夫じゃない?」
「なにが?」
「案外、直ぐに新しいカノジョができるかもよ~
素直になれば~だけど 笑」
「気休めとして受け取っておくよ 笑」
「ねえ、最後にママに会ってくれる? ワタシを家まで送っていって」
佳那にも大変な世話になっている。僕は陽菜を送るついでに佳那にお別れを告げようと思った。
~・~・~
「あら~、圭君。いらっしゃい」
佳那は、いつものように明るい笑顔で僕を迎えてくれた。
「来週、東京を離れるので、ご挨拶に伺いました」
「あ、圭。ワタシやる事があるから、ここでお別れね。
見送りには行かないから、ここで『さよなら』だよ。元気でね」
そう言って、陽菜は自分の部屋へ消えていった。
あまりにもそっけない態度に、佳那も僕もポカンと口を開けてしまう。
おそらく、佳那のために僕との時間を作ってくれたのだろう。何気に陽菜は人に気配りができる子だ。
「佳那さん……。その、いっぱいお世話になったのに、勝手な事ばかりお願いして済みませんでした」
「良いのよ、圭君には陽菜ちゃんの方がお似合いだもの」
「それが……、フられちゃいました 笑」
「まあ、どうして?」
「遠距離恋愛はイヤだそうです」
「じゃあ、わたしが松江まで追っかけちゃおうかしら 笑」
佳那は自分の冗談に笑ったが、直ぐに真顔になり、顔を近づけてきた。
なんども交わしたキスを、久しぶりに交わす。
「圭君……、元気でね」
「はい、佳那さんも」
別れのキスは、これで何度目だろう……?
「なあ、陽菜。付き合い始めて直ぐに離れ離れになってしまってすまない」
陽菜は、何を言ってるのか分からないと言った表情をしている。
「だけど、できるだけ東京へは遊びに行くし、その……大学を卒業したら、僕の所へ来てくれないか? 四年も待たせて、そこから更に四年も待たせる事になって悪いとは思ってるけど」
「イヤよ」
「へ?」
「ワタシ、今日で圭とは別れるんだから」
「え……と、何を言ってるのか、分からないんだけど……」
予想外の陽菜の言葉に、僕は思考が追いつかない。
「ワタシ遠恋はムリだから、圭の事なんて、さっさと忘れて他に恋人を作るの」
「いや、いや、おかしいだろ。だったら何故、ぼくと経験したの?」
「約束だったじゃない、ワタシと付き合ってくれるって」
陽菜は『何を言ってるの?』と言った表情で澄ましてる。
「でも、この先付き合う気はないんだろ?」
「そうよ、交際期間一日 笑」
陽菜には振り回さっれてばかりだったが、最後の最後まで翻弄されようとは思っていなかった僕は、ただ茫然とするばかりだった。
「まあ、僕が文句をいえた立場じゃないけど、そりゃないよ~」
「だったら、東京で就職すればよかったんじゃない。そしたらワタシという二百人斬りの美少女と付き合えたのに」
自分で「美少女」と言ったり、「二百人斬り」の間違った用法といい、相変わらず陽菜は面白い。
「でも、どうしても最初の赴任先は故郷の中学校にしたかったんだ」
「それって、小梢さんと別れたことと関係してるの?」
「うん、でも小梢が故郷に帰ったから僕も帰るというわけではないんだ」
僕は初めて陽菜に土門華子の事、それに小梢がどう関わっていたのかを話した。
「小梢さん……、可哀そう…。それに、その華子さんも。
ワタシも華子さんの日記を読みたかったな~」
「だから、どうしても松江の中学校。僕が一年生を過ごした学校で教師としてスタートしたかったんだ」
「そういう事なら、仕方ないか。ワタシはてっきり小梢さん目当てかと思ったよ 笑」
「小梢とは、別れてからは全然連絡を取ってないし、とっくに関係は終わってるよ。彼女も新しい目標とやらを見つけたんだし、今頃、目標は叶ってるだろう」
僕の話に、陽菜はニヤニヤしながら聞き入っていた。なにか嬉しそうですらある。
「なんで、そんなに嬉しそうなんだ?」
「別にぃ~」と言いながら、笑いがこみ上げてくるのを堪えているかのようだ。
「そういや、小梢さんの目標って教えてなかったね。知りたい?」
少し気になったが、僕にとってはもう過去の事だ。教師になると決めて、小梢の事はなるべく考えないようにしていた。
「いや、良いよ……。今更だし」
「分かったよ、じゃあ、内緒のままにしとく。
でも、ワタシが圭をフることに変更はないからね。圭は二百一人目、ワタシにフラれる男」
「はあ~、これでまた『彼女いない歴』が始まるよ……、トホホ……」
今更ながら、逃した魚は大きいと痛感する。そう思う程、陽菜は超絶美少女だ。
それにしても、小梢、愛莉に続き陽菜までが僕の元を去るとは、僕はこの先、彼女もできなければ結婚もできないのではないかと心配になってしまう。
「大丈夫じゃない?」
「なにが?」
「案外、直ぐに新しいカノジョができるかもよ~
素直になれば~だけど 笑」
「気休めとして受け取っておくよ 笑」
「ねえ、最後にママに会ってくれる? ワタシを家まで送っていって」
佳那にも大変な世話になっている。僕は陽菜を送るついでに佳那にお別れを告げようと思った。
~・~・~
「あら~、圭君。いらっしゃい」
佳那は、いつものように明るい笑顔で僕を迎えてくれた。
「来週、東京を離れるので、ご挨拶に伺いました」
「あ、圭。ワタシやる事があるから、ここでお別れね。
見送りには行かないから、ここで『さよなら』だよ。元気でね」
そう言って、陽菜は自分の部屋へ消えていった。
あまりにもそっけない態度に、佳那も僕もポカンと口を開けてしまう。
おそらく、佳那のために僕との時間を作ってくれたのだろう。何気に陽菜は人に気配りができる子だ。
「佳那さん……。その、いっぱいお世話になったのに、勝手な事ばかりお願いして済みませんでした」
「良いのよ、圭君には陽菜ちゃんの方がお似合いだもの」
「それが……、フられちゃいました 笑」
「まあ、どうして?」
「遠距離恋愛はイヤだそうです」
「じゃあ、わたしが松江まで追っかけちゃおうかしら 笑」
佳那は自分の冗談に笑ったが、直ぐに真顔になり、顔を近づけてきた。
なんども交わしたキスを、久しぶりに交わす。
「圭君……、元気でね」
「はい、佳那さんも」
別れのキスは、これで何度目だろう……?
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