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第51話 「ビー」までね
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「陽菜、合格おめでとう」
「ありがとう~、圭」
夏休みが終わり、僕は家庭教師のバイトに加え、カテマッチの運営も本格的に参与するようになり、さらには不倫研究会のサークル活動もあり、多忙を極めた。
サークルには新入生が三人も入り、僕にも後輩ができ、サークルでは副幹事の役職を与えられた。
もちろん、学業もおろそかにはできない。
忙しさに時間はあっという間過ぎ、気が付けば四月も半ばに差し掛かっていた。
陽菜は無事に志望校に合格し、今日はお祝いを兼ねて陽菜と新宿にあるパンケーキのお店に来ている。
「待った甲斐があったね~、凄く美味しそう~」
陽菜は、幸せそうにパンケーキを頬張っていた。
店内は満席で、僕以外は全員女性という状況で完全アウェーの状況に、ますます美少女ぶりに磨きをかけた陽菜と一緒だと目立つ。
周りの客が、チラチラと僕たちを見ているのだ。
僕が気になって食がすすまないでいると、陽菜が心配そうに声をかけてきた。
「圭、食欲ないの? あまり食べてないね」
「い、いや~、どうも甘いものは苦手で……」
「あれ? バレンタインで小躍りして喜んでたのは誰だったかな~?」
ひと月前のバレンタイン、陽菜は手作りのチョコを僕にくれた。
女の子にチョコを貰ったのは初めてだったので、僕は凄く嬉しかったのだ。
ちなみに、愛莉と綾乃は完全スルー、佳那は陽菜と同じものをくれた。つまり、陽菜がくれたのは佳那が作ったモノという事になる。
「佳那さんに作ってもらったくせに、偉そうに言うな」
「え? なんでママに作ってもらったの、知ってるの?」
(しまった!)
「い、いや、どうせ……、そんな事かな~、と思って」
陽菜が疑惑の目を向ける。
「ワタシさ、ママの様子がおかしいって、ずっと思ってたんだよね」
陽菜は感の鋭い子だ。しかも頭が良い、ちょっとしたほころびからボロが出るから気を付けないといけない。
「もしかして、どこかで不倫とかしてるんじゃないかな~、なんて」
「ま、まさか、佳那さんに限って、そんな事ある訳ないだろ」
「そうだよね~、あんなオバサン、相手にする訳ないか 笑」
陽菜は自分の母親をオバサン呼ばわりして、ケタケタと笑った。
まさか目の前に不倫相手がいるとも思わず……。
僕の胸が痛む。
「ところでさ、小梢さんのこと、知ってる?」
「……なにが?」
「は~ん、その様子じゃ、やっぱり何も聞いてないんだね」
陽菜が悪戯っぽい視線を向ける。
「小梢の事は、もう良いよ……」
せっかく、忘れかけていたのに余計な事を切り出すのだから……。
「先月、小梢さんとデートしたんだよね~」
「そ、そうなのか?」
『ほら、喰いついてきた』と言わんばかりに、陽菜がフフンといった表情になる。
「ビッグニュースがあるんだけど……、知りたい?」
(知りたい!)が、陽菜がタダで教えてくれるとは思えない。
「教えてあげても良いけど……、条件付きね 笑」
(ほら来た! やっぱりだ!)
「なんだよ……、勿体ぶるなよ」
「教えてあげるから、今から、圭の部屋へ行って良い?」
「なんで交換条件が、僕の部屋に来ることなんだよ?」
「だって~、受験前から最近まで、キスしてもらってないもの」
陽菜の受験が終わるまで、という事で暫くはキスをせがまれても自重していた。
「それとも~、路チューしてくれる?」
「ば、ばか! そんな事できる訳ないだろ」
「でしょ~」陽菜はテーブルの向こうでニヤニヤする。
「僕の部屋に来ても、それだけだからな、分かっているとは思うけど」
一応、くぎを刺すが、陽菜は予想外の行動に出るから油断できない。
「まあ、小梢さんに操を立ててるんだったら、もう必要ないと思うけどね」
「どういうことだ?」
「おっーと、これ以上は、後でね 笑」
(まさか……、小梢に新しい恋人でもできたのだろうか?)
小梢を諦めると誓っていても、やはり気になる。
僕は、残っていたパンケーキを一気に頬張った。
「ちょ、そんなに気になるの? さっきまで、あまり食べてなかったのに」
「僕も陽菜とキスしたいんだよ」
嘘である。本当は小梢の事が気になっているだけだ。そして、陽菜も当然、そんなことは分かってる。
「嘘つき!
ブーー、あからさまに嘘つかれるとムカつく~」
「ゴメン、でも、久しぶりなのは本当だろ?」
「まあ、たしかに、でもムカついたから、今日はBまでして」
「ビーって、何?」
「圭……、知らないの?
フフフ、あとで教えてあげる」
悪戯っぽく、陽菜はウインクして見せた。
「ありがとう~、圭」
夏休みが終わり、僕は家庭教師のバイトに加え、カテマッチの運営も本格的に参与するようになり、さらには不倫研究会のサークル活動もあり、多忙を極めた。
サークルには新入生が三人も入り、僕にも後輩ができ、サークルでは副幹事の役職を与えられた。
もちろん、学業もおろそかにはできない。
忙しさに時間はあっという間過ぎ、気が付けば四月も半ばに差し掛かっていた。
陽菜は無事に志望校に合格し、今日はお祝いを兼ねて陽菜と新宿にあるパンケーキのお店に来ている。
「待った甲斐があったね~、凄く美味しそう~」
陽菜は、幸せそうにパンケーキを頬張っていた。
店内は満席で、僕以外は全員女性という状況で完全アウェーの状況に、ますます美少女ぶりに磨きをかけた陽菜と一緒だと目立つ。
周りの客が、チラチラと僕たちを見ているのだ。
僕が気になって食がすすまないでいると、陽菜が心配そうに声をかけてきた。
「圭、食欲ないの? あまり食べてないね」
「い、いや~、どうも甘いものは苦手で……」
「あれ? バレンタインで小躍りして喜んでたのは誰だったかな~?」
ひと月前のバレンタイン、陽菜は手作りのチョコを僕にくれた。
女の子にチョコを貰ったのは初めてだったので、僕は凄く嬉しかったのだ。
ちなみに、愛莉と綾乃は完全スルー、佳那は陽菜と同じものをくれた。つまり、陽菜がくれたのは佳那が作ったモノという事になる。
「佳那さんに作ってもらったくせに、偉そうに言うな」
「え? なんでママに作ってもらったの、知ってるの?」
(しまった!)
「い、いや、どうせ……、そんな事かな~、と思って」
陽菜が疑惑の目を向ける。
「ワタシさ、ママの様子がおかしいって、ずっと思ってたんだよね」
陽菜は感の鋭い子だ。しかも頭が良い、ちょっとしたほころびからボロが出るから気を付けないといけない。
「もしかして、どこかで不倫とかしてるんじゃないかな~、なんて」
「ま、まさか、佳那さんに限って、そんな事ある訳ないだろ」
「そうだよね~、あんなオバサン、相手にする訳ないか 笑」
陽菜は自分の母親をオバサン呼ばわりして、ケタケタと笑った。
まさか目の前に不倫相手がいるとも思わず……。
僕の胸が痛む。
「ところでさ、小梢さんのこと、知ってる?」
「……なにが?」
「は~ん、その様子じゃ、やっぱり何も聞いてないんだね」
陽菜が悪戯っぽい視線を向ける。
「小梢の事は、もう良いよ……」
せっかく、忘れかけていたのに余計な事を切り出すのだから……。
「先月、小梢さんとデートしたんだよね~」
「そ、そうなのか?」
『ほら、喰いついてきた』と言わんばかりに、陽菜がフフンといった表情になる。
「ビッグニュースがあるんだけど……、知りたい?」
(知りたい!)が、陽菜がタダで教えてくれるとは思えない。
「教えてあげても良いけど……、条件付きね 笑」
(ほら来た! やっぱりだ!)
「なんだよ……、勿体ぶるなよ」
「教えてあげるから、今から、圭の部屋へ行って良い?」
「なんで交換条件が、僕の部屋に来ることなんだよ?」
「だって~、受験前から最近まで、キスしてもらってないもの」
陽菜の受験が終わるまで、という事で暫くはキスをせがまれても自重していた。
「それとも~、路チューしてくれる?」
「ば、ばか! そんな事できる訳ないだろ」
「でしょ~」陽菜はテーブルの向こうでニヤニヤする。
「僕の部屋に来ても、それだけだからな、分かっているとは思うけど」
一応、くぎを刺すが、陽菜は予想外の行動に出るから油断できない。
「まあ、小梢さんに操を立ててるんだったら、もう必要ないと思うけどね」
「どういうことだ?」
「おっーと、これ以上は、後でね 笑」
(まさか……、小梢に新しい恋人でもできたのだろうか?)
小梢を諦めると誓っていても、やはり気になる。
僕は、残っていたパンケーキを一気に頬張った。
「ちょ、そんなに気になるの? さっきまで、あまり食べてなかったのに」
「僕も陽菜とキスしたいんだよ」
嘘である。本当は小梢の事が気になっているだけだ。そして、陽菜も当然、そんなことは分かってる。
「嘘つき!
ブーー、あからさまに嘘つかれるとムカつく~」
「ゴメン、でも、久しぶりなのは本当だろ?」
「まあ、たしかに、でもムカついたから、今日はBまでして」
「ビーって、何?」
「圭……、知らないの?
フフフ、あとで教えてあげる」
悪戯っぽく、陽菜はウインクして見せた。
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