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第47話 美栞の変化
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「久しぶりですね、森岡。試験はどうでしたか?」
声の主の変化に、僕は驚いた。
7月になると、大学は春学期(前期)の試験という学生にとって重要なイベントを迎える。
単位を落として留年でもしようものなら、大きな負担をかけている親に申し訳が立たない。
僕は、家庭教師も休み、佳那との不倫関係も中断させて勉強に励んだ。
試験が終わると、一週間ほどで夏休みに入る。
日常が戻った僕は、学食で美栞を待っていたのだが、現れた彼女は別人になっていた。
眼鏡からコンタクトに変え、髪も中途半端な長さだったものを、バッサリとショートカットにしている。元々、小柄で目が大きく童顔だったのに、さらに幼く見えた。
そして、特筆すべきは爆乳だ。
身体にぴったりと張り付いたTシャツがはち切れんばかりに盛りあっている。
「森岡。アナタ、またワタシの胸を見てますね。相変わらずスケベですね」
美栞は不機嫌そうな表情を見せるが、これは仕方ない。見るなという方が無理だ。
「い、いや、すみません。なんか、ミカン先輩、雰囲気変わりましたね」
実験的恋人関係となってから暫くして、お互いをどう呼ぶかという事になり、美栞はそのまま『森岡』に、僕は『ミカン先輩』と呼ぶことになった。
美栞曰く、『自分が先輩である事を強調したい』らしい。
「女は、恋人ができると綺麗になるらしいです。ですが、何もしなくても綺麗になるのではないらしいです」
「そ、そりゃあ……そうだろ」と突っ込みたくなる。
「だから、関係各所を回って、どうやったら綺麗になるか研究したのです。その成果が今のワタシです」
「ミカン先輩、とっても可愛いです」
僕の誉め言葉に、美栞はフルフルと口元を震わせる。どうやら、嬉しいらしい。
「森岡は、夏休みは帰省するのですか?」
突如、夏休みの話題を振られる。
「いえ、バイトもあるので、帰らない予定です」
「そうですか、それは都合よかったです」
「何がですか?」
「前々から、アナタに手料理を食べさせようと思っていたのですが、なかなか時間が取れなかったのです」
たしかに、お昼を一緒に食べていた時に、そういう話をしていた。
「来月、アナタの家へ行きます」
「はあ……」
「参考書によると、これは、女の子の覚悟……らしです」
「え?
あの……、どういう事で?」
「森岡の家で一晩、一緒に過ごします。ワタシの覚悟です」
女の子の覚悟と言えば、アレしかない。でも、本当に美栞と関係を結んでも良いのだろうか?
「ミカン先輩、念のために確認しますが……、覚悟って、アレですよね」
「森岡は、もう経験済みですか?」
「え……と、は……い」
「そうですか、なら安心です。ワタシは初めてなので、この点においてはアナタが先輩という事になります」
(本気だ! ミカン先輩は本気でヤルつもりだ!)
「そ、そんな。僕もたいした経験はありません」
久しぶりにドキドキが大きくなる。僕の目線は、自然と美栞の爆乳へ注がれる。
「森岡、本当に胸が好きですね。アナタ、オッパイ星人ですか?」
「す、すみません……」
「まあ、良いです。 今度、この胸を好きなようにさせてあげます」
(ぶおおおーーー!)僕は心の中でガッツポーズをとった。
「では、いつにしますか?」
動揺を抑えつつ、僕は日程の確認をする。高揚感が半端なかった。
「では、八月の始め、一日でどうです?」
夏休みに入って間もない。その日は、家庭教師のバイトもカテマッチの運営の仕事も入っていない。僕は快諾した。
「それから、森岡は、ちゃんと避妊してくれますか?」
まるで、生徒が教師に質問するかのような調子で、美栞はきわどい事を尋ねる。
(こ、この人には、恥じらいというものはないのか!?)
「だ、大丈夫です。それは、男の責任でもありますから」
「ありがとう、ワタシは今、絶対に妊娠できないので、それだけは気を付けてください」
たしかに、学生で妊娠でもしたら大変なことになる。僕は、綾乃の初体験の時、避妊具なしで交わった時の事を思い出した。幸い、綾乃に生理はあったが、もし妊娠でもさせていたらと思うと、後で背筋が凍る思いがした。
「森岡は、ワタシの事が好きですか?」
唐突な美栞の質問に、僕は、答えに窮する。
(僕は、美栞の事を好きなのだろうか?)
「あ、やっぱり良いです。 験と言ったのはワタシなので、モルモットに気持ちを聞くのは間違った検証方法です」
相変わらず、モルモット扱いにされ助かったが、美栞のことが好きかと言うと、正直なところ微妙だと思った。
原因は彼女だ。彼女の存在が僕の中で大きくなっていた……。
声の主の変化に、僕は驚いた。
7月になると、大学は春学期(前期)の試験という学生にとって重要なイベントを迎える。
単位を落として留年でもしようものなら、大きな負担をかけている親に申し訳が立たない。
僕は、家庭教師も休み、佳那との不倫関係も中断させて勉強に励んだ。
試験が終わると、一週間ほどで夏休みに入る。
日常が戻った僕は、学食で美栞を待っていたのだが、現れた彼女は別人になっていた。
眼鏡からコンタクトに変え、髪も中途半端な長さだったものを、バッサリとショートカットにしている。元々、小柄で目が大きく童顔だったのに、さらに幼く見えた。
そして、特筆すべきは爆乳だ。
身体にぴったりと張り付いたTシャツがはち切れんばかりに盛りあっている。
「森岡。アナタ、またワタシの胸を見てますね。相変わらずスケベですね」
美栞は不機嫌そうな表情を見せるが、これは仕方ない。見るなという方が無理だ。
「い、いや、すみません。なんか、ミカン先輩、雰囲気変わりましたね」
実験的恋人関係となってから暫くして、お互いをどう呼ぶかという事になり、美栞はそのまま『森岡』に、僕は『ミカン先輩』と呼ぶことになった。
美栞曰く、『自分が先輩である事を強調したい』らしい。
「女は、恋人ができると綺麗になるらしいです。ですが、何もしなくても綺麗になるのではないらしいです」
「そ、そりゃあ……そうだろ」と突っ込みたくなる。
「だから、関係各所を回って、どうやったら綺麗になるか研究したのです。その成果が今のワタシです」
「ミカン先輩、とっても可愛いです」
僕の誉め言葉に、美栞はフルフルと口元を震わせる。どうやら、嬉しいらしい。
「森岡は、夏休みは帰省するのですか?」
突如、夏休みの話題を振られる。
「いえ、バイトもあるので、帰らない予定です」
「そうですか、それは都合よかったです」
「何がですか?」
「前々から、アナタに手料理を食べさせようと思っていたのですが、なかなか時間が取れなかったのです」
たしかに、お昼を一緒に食べていた時に、そういう話をしていた。
「来月、アナタの家へ行きます」
「はあ……」
「参考書によると、これは、女の子の覚悟……らしです」
「え?
あの……、どういう事で?」
「森岡の家で一晩、一緒に過ごします。ワタシの覚悟です」
女の子の覚悟と言えば、アレしかない。でも、本当に美栞と関係を結んでも良いのだろうか?
「ミカン先輩、念のために確認しますが……、覚悟って、アレですよね」
「森岡は、もう経験済みですか?」
「え……と、は……い」
「そうですか、なら安心です。ワタシは初めてなので、この点においてはアナタが先輩という事になります」
(本気だ! ミカン先輩は本気でヤルつもりだ!)
「そ、そんな。僕もたいした経験はありません」
久しぶりにドキドキが大きくなる。僕の目線は、自然と美栞の爆乳へ注がれる。
「森岡、本当に胸が好きですね。アナタ、オッパイ星人ですか?」
「す、すみません……」
「まあ、良いです。 今度、この胸を好きなようにさせてあげます」
(ぶおおおーーー!)僕は心の中でガッツポーズをとった。
「では、いつにしますか?」
動揺を抑えつつ、僕は日程の確認をする。高揚感が半端なかった。
「では、八月の始め、一日でどうです?」
夏休みに入って間もない。その日は、家庭教師のバイトもカテマッチの運営の仕事も入っていない。僕は快諾した。
「それから、森岡は、ちゃんと避妊してくれますか?」
まるで、生徒が教師に質問するかのような調子で、美栞はきわどい事を尋ねる。
(こ、この人には、恥じらいというものはないのか!?)
「だ、大丈夫です。それは、男の責任でもありますから」
「ありがとう、ワタシは今、絶対に妊娠できないので、それだけは気を付けてください」
たしかに、学生で妊娠でもしたら大変なことになる。僕は、綾乃の初体験の時、避妊具なしで交わった時の事を思い出した。幸い、綾乃に生理はあったが、もし妊娠でもさせていたらと思うと、後で背筋が凍る思いがした。
「森岡は、ワタシの事が好きですか?」
唐突な美栞の質問に、僕は、答えに窮する。
(僕は、美栞の事を好きなのだろうか?)
「あ、やっぱり良いです。 験と言ったのはワタシなので、モルモットに気持ちを聞くのは間違った検証方法です」
相変わらず、モルモット扱いにされ助かったが、美栞のことが好きかと言うと、正直なところ微妙だと思った。
原因は彼女だ。彼女の存在が僕の中で大きくなっていた……。
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