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課題とお野菜ズ
チビっこたちのスパイ活動③
しおりを挟む危険がない場合や学園側に不備がない場合、同情よりは危機管理がなっていないと、そこが学園生としての評価材料となる。
もちろん、発覚した場合は妥当な処分がされるから、やるほうも巧妙にやらなければいけない。そして、守るほうもそうでなければならない。結構、シビアな世界なのだ。
そういった風潮があるからいじめや嫌がらせは地味にあるし、そこに身分差が絡むのはどうしても避けられない。
王太子の婚約者だからといって、王子が同学年にいるわけではないので抑止力としては弱く、隠すというような小さなイタズラだと言い張れるようなものは仕掛けやすい。バレなければ、万々歳である。
常々、乙女ゲームであんなにおおっぴらに意地悪をして意地悪する側は己の評価とかどう考えているのだろうかと密かに気になっていた。
いざ自分が学園で生活し被害に遭って、なるほどなと少なくともこの世界では納得であった。
だから、今回は盗んだのではなく隠しただけ。隠されたほうも悪い。
ちょうど噂だとかいろいろなことでぎゅうっと縮こまって不調気味で、その辺りの危機管理がなっていないところを突かれしまった私も悪い。
「なんていうか、うまいわね」
「ティア」
思わず褒めると、呆れたように名を呼ばれ私は慌てて口をつぐんだ。友人たちも遠くから、はぁーっと呆れたと言わんばかりの視線を向けられる。
んんっと誤魔化すように咳払いをして、改めて私は小動物のように震えているマロリーを見た。
日頃物静かな彼女ならできてしまうのだろうなと思った。
彼女は風魔法の使い方がうまく、どういうわけかその特性を生かし足音など立てずに歩くことがでできるのだ。極力目立ちたくないという彼女なりの工夫が、悪いほうに目をつけられたのだろう。
横でアンドリューが肩を竦めた気配がし、すぅっと空気がまた一変した。
「誰に言われた?」
「…………」
予想は誰もがついているが、あえてこの場ではっきりせよとのアンドリューの問いかけに、マロリーは迷うように視線を彷徨わせ唇を噛む。
静かに瞬きをした爽やか完璧王子と言われるアンドリューがそこで表情を改め、美しい青の双眸は感情の揺らぎもなくマロリーを映した。
「何を気にしているのか知らないが、今ここで話すのと後で発覚するのとでは罪の重さが変わることは理解しているだろうか。もしこの場での危害を気にしているなら、私の護衛たちがいるから安心するといい」
王子の背後に控えている人物の中には、騎士団長の息子であり王子の側近であるレイジェスもいた。真面目で正義感のある彼は小さく頷いている。
彼は乙女ゲームの元攻略対象者でもあり遠慮したい性癖をお持ちであるが、公ではすごく真っ当で非常に強く頼りになる存在だ。
「っ、モルガナ様です。やらなければ、すべての取引は中止だと言われて……」
モルガナとはカルラの取り巻きの伯爵令嬢である。
男爵家と伯爵家との間にどんなお金が絡むやり取りがあるのかはわからないが、その取引がなくなると男爵家が立ち行かなくなるようだ。
しくしく泣くマロリーと怒りをあらわにしたモルガナをそっちのけで、こちらはまだ説明は終わってないよと隊長が注目せよとぴょんぴょんと不得意な縦飛びを披露し、お野菜たちが時系列で何があったかのかと説明を始めた。
王子の詰問を中断する形になってしまったが、アンドリューは対して気にした様子もなく、隊長たちが説明するのを眺める。
さすがに人の模型は難しかったようで、人はすべて丸で表し私は丸い中にハート、そのほかの出てくる人物は点の数で、一、二、三、四と表している。
このときはここでこの令嬢がこう動き、密談し、ここにいてと地図を指しながら私たちが理解するまで繰り返していく。
なぜか盗んだところを見て驚いたっぽいラディッシュのミニチュアまであって、ちょっとした人形劇を見ているかのようだ。
隊長に至ってはいつの間にか手には小さな棒を持っていて、トントンと指す姿はお偉い教授っぽく眼鏡の幻覚まで見えるくらいだ。
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