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課題とお野菜ズ
課題②
しおりを挟む「その可能性はあるかもしれませんわ。土系魔法は土壁だったり防御で使用する人のほうが多く、植物の成長を促す魔法はレアですので。フロンティアの場合は動くお野菜ちゃんたちのことを学園側は認識しているでしょうし、より難しい課題を与えられている可能性はなくはないかもしれません」
「何も説明されてないけれど」
一言、特殊な植物ですよって言ってくれたらありがたいのだけど、そこは察しろということなのだろうか。
ローレルの推測にうーんと首を傾げると、ミシェルが続ける。
「この学園って自主性といえばそうなのだろうけど、事故や怪我には気を配ってくれるけどほかは自己で解決すべしというところがあるから」
「そうね。だったら、ローレルの推測もありえるかな?」
再度、反対側に私はうーんと首を傾げた。
「だとしても、その方法を探すのは大変そうよね」
「確かに大変そう。でも、それぞれの特性で苦労や努力の方面は違うから、今までと方法変えて試せることがあるなら試してみる」
「そうするしかないわよね。頑張って」
口には出さなかったけれどアンドリューが言っていた懸念のこともあり、先ほどのカルラの言動を思うと差し替えられた可能性もゼロではないだろう。
だけど、悪意を持って作為的にこれが私の手元に来たとしても、課題に出されている以上植物であることは確かなのだと思う。本当にちょびっとだけだけど芽が見えているし。
非常に育ちにくいとか? 条件の特定が難しいとか?
その辺は今の段階でわからないが、正統な課題であっても、意図的であっても、植物であるのなら育ててみたいと思う。
私はぎゅっと植木鉢を抱え直した。
「ありがとう。さっそく、このあと学園図書館に寄っていくからみんなは寮に先に戻ってて」
「一緒に行こうか?」
「お手伝いします!」
ずいっと主張してくる友人に、私は目を細めた。
優しい友人たちに恵まれて、彼女たちがいるお陰で学園生活も楽しく過ごせている。
「みんな、本当にありがとう。でも、ちょっと一人でじっくり考えてみたい。それに私が出された課題だし、まずは自分で糸口見つけないとあれこれまた言われそうだし」
「確かにそうね」
ミシェルはカルラたちが去った回廊の先に視線をやり、はぁと息を吐き出した。
でも、やっぱり手伝いたいなと視線で訴えてくる友人たちを見て、私はそっと笑う。
「あとは、自分の力で乗り越えたいかなって。殿下の婚約者として自分に自信が欲しいというか、胸を張れることをしたいと思って。手伝ってもらうことが悪いことではないと思っているけど、あれだけ言われると逆にやってやろうってやる気になったわ。自分のこの力が通用するなら、お野菜たちも安泰だって思うというか。ただの根拠のないわがままなのだけどね」
「フロンティアがそう言うのでしたら」
「みんなが協力してくれると言ってくれるからこそ頑張ろうという気持ちも強いから。本当に感謝しているわ」
「でしたら、ひとまず引き下がります」
ローレルの物言いに私は笑う。
言葉にすることで、気持ちとともにしっかりと前を向いていると自分でも感じる。やる気満々だ。
「ふふっ。ありがとう。行ってくるわ」
「そう? 夕食時間までに間に合うようにね。フロンティアは集中すると周囲が見えなくなるから」
「大丈夫よ。さすがに閉館時間も決まっているし司書さんだっているもの」
「だといいのだけど。何か収穫があることを祈っているわ」
「うん。またあとでね」
できることをしていくしかないし、できるなら隊長に相談できたいいのだけど、植木鉢は学園から持ち出し禁止でそれもできない。
とりあえず、学園の図書館ならこの植物が何なのか、もしくは成長を促すのにどんな方法があるのか書いている本が見つかるかもしれない。
今まで植物に関しては何も考えずにやってきたので本当に今更な気もするが、挽回までにまだ時間がある今気づけて良かったと思うことにする。
できること、目の前にやるべきことがあるとやる気が出てくる。わずかな期待を胸に図書館へと私は向かった。
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