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魔力検証
魔力検証と隊長②
しおりを挟む「殿下、着きました」
「ああ。ここでティアを見たのだったな。懐かしいな」
「そうですね。あのときは失礼いたしました」
「記念すべき日に遭遇していたのだと思うと、俺たちの出会いとして十分だな」
にこっと笑顔が眩しいです。なんですか、その無駄に爽やかな笑顔は。
ああぁぁ~、今はその辺りはスルーでもよろしいでしょうか? あっちもこっちもと考えるキャパを持っていません。
いつまで手を繋いでるのだろうと軽く腕を振ってみるけれど、んんっとにこやかな王子によってきゅっと手を掴みなおされた。
「…………殿下」
「何かな、ティア」
戸惑いで弱々しくなった声にまばゆい笑顔で顔されて、ひくりと頬が引きつった。
「その、手を離していただけないかなぁっと思いまして」
「こうしているほうがティアの魔力がよりわかるから」
「……そうで、すか」
そう言われてしまうと、これから魔力を見てもらう立場なのでそれ以上の反論はできない。
魔力の流れや質がわかる王子だからこそ、今回の魔力検証は非常に重要であり、私を始め、野菜たち、伯爵領、そして北部地域全体として期待するものであった。
白雲がなびく青い空の下、なんとも言い表しがたい気持ちがそわそわとうごめく。
困ったように眉根を寄せていると、とてとてとてと隊長が足元までやってきた。
「カブ隊長……」
じぃぃーっと見上げていたが、アンドリューと私の繋いだ手の下に入ると、私のスカートを掴む。
まるで困った私を助けるような行動に、隊長~!! と私は内心で歓喜の声を上げた。
「ふっ、頼もしいナイトだな」
くいくいっと引っ張り前に進もうとする隊長に、アンドリューは楽しそうに笑いながらすぅっと瞳を細め隊長を見た。
表情がきりっと引き締まり、アンドリューに少しでも真面目な空気を出されると、その身分からか、美貌からか、美しい碧色の瞳のせいか、ドキドキと緊張感が増す。
息を呑んで王子の様子をうかがっていたが、ふっと息を吐くとアンドリューは結局何も言わずに隊長に合わせて歩き出した。
隊長の頭のリボンはいつの間にか取られている。残念なことに、私には送迎のときにしかその姿を見せてくれないらしい。
非常に隊長の拘りと頼もしさを感じながら促されるまま歩いていくと、隊長が向かっていた先は少し離れたところにいるシュクリュのところのようだった。
そのシュクリュはというと、いつもなら真っ先に寄ってくるのに、今日は一定の距離から近づいてこない。そのことに訝しく思いながら、そわそわとこちらを気にしているシュクリュを呼びかける。
「シュクリュ?」
『わふぅ』
尻尾を振って返事はしてくれるが、こちらが近づくと少しずつバックしていくシュクリュ。
「えーっと」
「まあ、予想通りだな」
当然のように告げるアンドリューの言葉に、私は意味がわからず首を傾げた。
シュクリュらしくない態度は、目の前にいる王子に関係しているのだろうか。
「予想?」
「ああ。そうだ。気になるか?」
もちろん気になる。いつもなら我先にと駆け寄ってくるのに、今回はまだあのもふもふに顔を埋めていないのだ。
もふもふが足りないし、あの意味深な行動は心配でもある。
「いつもと様子が違うので心配です」
「いずれちゃんと話す。先に確かめることは確かめたい」
「わかりました」
もったいぶっているわけでもなく、しっかり検証してからと言われては素直に従うしかない。
シュクリュを見ると、心なしか尻尾がしおれている。今日は本当にどうしたのだろうか。
「その、悪いことではないんですよね?」
「ああ。シュクリュの反応は俺にとっても悪くない。あとはここに連れてこられた意味をどう考えるかだな。カブ隊長は何か言いたいことがあるんだろう?」
そこで隊長に話しかけるアンドリュー。
隊長はうんうんと頷き、両手を私のほうに向かって上げた。
「隊長?」
ぱたぱたと短い手を振り続け、今度はぴょんぴょんとその場で跳ぶ仕草をする。
青々とした葉がそのたびに揺れ、丸い白いボディのその姿は可愛らしくもあるのだけど、五センチも跳べてない。
以前から思っていたが、どうして縦に跳ぼうとするとそんなに跳べなくなるのか。不思議だ。
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