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第1章

44深夜の体温*④

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 気持ちよくなりたいと言葉に出していいのだと、一緒に気持ちよくとはどんな感じなのだろうかと、先にあるものと王子がもたらしてくれる自分の知らない快楽に期待する。
 知らないことを教えてくれる、しかも気持ちいいと吹き込まれ、温もりの良さを教えてくれた相手にレオラムは委ねたくなった。
 
「レオ」

 すでに拒むという気持ちはなく、レオラムは王子に促されるように熱のこもった瞳を見つめた。

「カシュ、エル、さま」

 顔を赤くさせて名を呼ぶと、カシュエル殿下はくすりと笑うと、熱すぎるほっぺたにキスを落とした。
 それから再び下に降りてきた王子の手が、レオラムのものをそっと触れるか触れないか下から撫でてくる。ふるりと反応すると先端を優しく執拗に撫でられ、レオラムは腰を揺らめかせた。

「レオ、違う。カシューでしょ。ほら、ここはイきたいって涙をこぼしてるよ。気持ちよくなりたいって。イきたくない?」
「……っ。さわらないでください」

 唇の端を食まれ、ぺろりと舐められ、むずむずする感覚に気持ちとは反対の言葉が出た。
 すると、お仕置きとばかりにさらに親指でぐりぐりと押される。

「つよ、いっ……」
「でも、感じてる。レオラムは優しくされるのも強くされるのも好きみたいだね。ね、触わらないと気持ちよくなれない」
「ん、ぁっ」

 カシュエル殿下の長い指に絡められ、濡れそぼっている中心を大きな手で包まれる。ゆるゆると愛撫されると、思考が溶けてとろとろになる。
 的確に、時に焦らすように動かされ、王子の動きを追うことに夢中になった。

「ほら。レオ、呼んで」
「カシュ、……ん、っ」

 大きな手でされると、自分の手でするよりも断然気持ちよい。
 愛おしいとばかりに触れられ吸われるキスもよくて、心も、身体も、王子に全てを預けてしまいたくなった。

「いき、たいです」
「そう。えらいね。私のも触ってくれる?」

 目尻を吸われ焦点を合わせると、王子の期待に満ちた瞳がこちらを見下ろしていた。
 レオラムも同じ男なので、王子の状態も気持ちも理解できる。
 ここまでくると出してしまいたい方が勝り、自分だけ気持ちよくされているのも申し訳なく、できることなら王子と一緒にイきたい、気持ちよくなってほしいと思った。

「その、うまくできるか」
「レオラムが触ってくれるだけで気持ちいいから」

 反対側の目尻を吸われながら手を取られて、自分とは大きさも長さも違う立派なものを掴まされる。

「ね、レオ。一緒に気持ちよくなろう」
「……はぃっ」

 消極的な小さな返事だったが、カシュエル殿下はしっかりと拾ってくれたようで、柔らかに微笑んだ。
 耳元で、小さくありがとうと礼まで言われて、レオラムはきゅうっと胸が締め付けられる。

 カシュエル殿下の太く熱いものの感触がリアルで、どくどくと波打っているものが己の手のひらにあるのが不思議だ。
 王子のすることを真似るように上下に動かしてみるが、自分の快楽に引きずられるせいかもたもたとしてうまくできない。

 それでも、王子は上手だと褒め、隙あらば唇を寄せレオラムのものを包み込む。
 耳を噛まれ舌を差し込まれ、とぷ、とぷりと我慢できずに先端が濡れた。

「耳感じる? 真っ赤」
「恥ずかしい、です」
「うん。恥ずかしいことしているからね。こういうのは特別じゃないとできないから、感じているところを見せてくれて嬉しい。もっと感じて」
「もっと……。これ以上はちょっと。慣れてないので」

 手加減してもらえると助かる。
 気持ちよくなりたいけれど、知らない世界に連れて行かれそうで怖くもあった。

「慣れてたら困る。しっかり私のやり方を覚えて」

 そう告げると、王子は耳の後ろに歯を当ててきた。
 ぴくりと身体を震わせたレオラムの手を一度外させると、自分のものと王子のものを合わされ一緒に掴み直させられる。

「殿下?」
「一緒にしよう」

 歯を当てたとこを舐められ、二人分の熱を握った自分の手にカシュエル殿下の大きな手を重ねられる。
 そのままゆっくりと動かされ、じんわり漏れ出る体液が混ざり合う。脈打つものを直に感じることと二本あることで届かない部分だとか、そうじゃないというもどかしさもあってやばかった。

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