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第二章(上)
第3話
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前回のあらすじ、メイとリリーの模擬戦。
スズが合図をした途端、いつの間にか抜かれていたナイフをリリーがメイに向かって投げる。瞬間、鋭い音がしたと思ったら、リリーが投げたナイフが地面に落ちる。
「メイがナイフを弾いたのか?」
「ハ、ハンマーの柄の部分で弾いたようです。武器が重いので必然的に飛び道具に弱くなりますが、メイさんは一応の対策はされているみたいですね... 」
あの速さのナイフを弾けるもんなのか?
ナイフが弾かれたのを見ると、リリーは素早くメイの元に駆け寄り、跳躍し、飛び蹴りをかます。
するとメイは体制を低くし、ハンマーの頭の部分を足を使って蹴り上げ、自分の体ごと一回転させて、リリーの軌道に重なるように振りまわす。
「お、重いので遠心力を使っていますね。空中にいると、意外と避けにくいですんよね...」
「思ったんだが、あれならハンマーの柄の部分だけで良くないか?棍とか」
「なあに言ってんだへっぽこ!幼気な少女がでかいハンマーを振り回すのがかっこいいんじゃあねえか!」
じゃあお前が使えよ...
戦況の方はというと、地面から足を離したリリーが簡単に避けられるはずがない、と思いきや体制を変え、ハンマーの頭の部分に両手を乗せ、それを軸に回し蹴りをする。
ちょうどメイの顔の部分に当たったかと思いきや、ハンマーの柄の部分を上げて防いでいたようだ。
そのままリリーと共にハンマーの頭の部分は降下するが、リリーが太もものナイフに手をかけたところでメイがハンマーを押すようにして蹴り上げる。
その力に乗ってリリーが大きく飛び上がり、数本のナイフを下に投げつける。
「勇者様、実はリリーさん、上にも何本か投げてるんですよ... 」
「え?」
スズの囁きにつられてリリーの上を見ると、確かに二本、上に向かっているナイフが見える。
四天王戦と同じ手口じゃねえか。
メイは向かってきたナイフを全てハンマーの柄で弾き、リリーはメイから数歩離れたところに着地する。
リリーは今度は飛び蹴りをせず、重心を低く構えてメイの方へ向かう。先程と同じようにハンマーを蹴って後ろに回すが、リリーの方が速く、間に合わない。
リリーはメイの腹部にナイフを刺す。
先程リリーが投げたナイフも自由落下を始めたようで、メイに刺さるのも時間の問題だ。
「これは勝負ありじゃないか?」
「馬鹿野郎、メイがこれで終わりなわけねえだろうが!」
確かにハンマーは先程よりは遅いがリリーの方へ向かっている。リリーもそれは分かっているようで、迎撃に対処しようとするが...
そのハンマーの柄を、メイは離してしまい、リリーの横側にハンマーの頭が着地する。
そしてナイフを握っているリリーの腕を両手で掴み、そのまま一本背負いの要領でリリーを身体ごと持ち上げる。
「メ、メイさんは、ちゃんとナイフが上に投げられたのを見ていましたね」
まるでリリーを盾にするようにナイフを受けるつもりのようだ。このままだとリリーは自分に投げたナイフに刺さってしまう。
だが不思議なことに、普通は投げた側の背中に這うように投げられた側の腹が来るはずだが、リリーの軌道が思ったよりも速い。
リリーがメイの肩の上に逆立ちをするように宙を舞っていて、ナイフの軌道上に入らない。
「さ、最初に自分から跳んでナイフを躱そうとしていますね」
しかも器用なことに、空いているもう片方の手でメイの肩にナイフを刺そうとしている。
自由落下のナイフ二本と、肩にもう一本って、殺す気満々じゃねえかよ。
だがメイは自分の膝をガクッと曲げ、重心を落とす。必然的にリリーも引っ張られて落ちる、が、ただ落ちるのではない、その軌道の途中で、なぜかハンマーの柄が強くリリーの腕を叩く。
「お、ハンマーが落とされてまだ回っていたのか!あの重さを回していたんだから柄に当たったときの力は相当だよな!」
どうやら持ち手を中心に回っていたハンマーが、メイの手から離れたことによってハンマーの頭を中心に回っていたらしい。
一言、言わせてほしい。漫画かよ。
リリーは少し横に回転しながら吹っ飛び、落下するナイフはメイの頬と腕を掠めるだけに留まる。
不時着したリリーを仕留めるように、メイは左手でハンマーの頭付近を掴み、右手で柄の先ギリギリを思い切り下に下ろし、後ろ足でハンマーの頭を蹴る。
そのまま左手を離すと柄の先端が地面につき、そこを軸にハンマーの頭が思い切り飛び上がり、リリーに降りかかる。
立て直したリリーは後ろに飛び、ハンマーを躱す。が、メイは両手でハンマーの柄の先端に掴まって、回転するハンマーの力を使って飛び上がり、リリーに飛び蹴りをする。
ラ◯ダーキックだ...
「お、当たったぞ!」
「... やっぱりリリーさんも、ただでは攻めさせませんね」
蹴りを喰らって少し後ろに飛ぶリリー。だが腕を十字にして直接体に当たるのは防いだようだ。なんともないといった顔をしている。
対照に、着地したメイは少し膝をガクンと曲げ、苦痛の表情を浮かべていた。そして靴に刺さっていた何かを血飛沫と共に抜き、地面に投げ捨てる。それは、紛れもなくリリーのナイフだった。
恐らくリリーは十字に構えた手にそれを持っていて、メイの勢いを使って刺したのだろう。
「向かってくるメイの足に刺したのか!」
「あの勢いですから貫いているでしょうね... タイランさん、そろそろ... 」
「うーん... でもメイだからなあ、まだもう一捻り出来そうなんだが... 」
今は両者とも動かないでお互いを見つめ合っている。だが動き出せば、怪我の深いメイがリリーにまだ対処できるか?
ヒヤヒヤとした気分で見ていると、戦いが始まってから、始めてリリーが口を開く。
「相手がシュバッと来たらシュッです!技が完璧に決まったらドンッと来るんですから!」
う、うん... なんとなくわかるぞ。反撃に気をつけろってことだよな。
それを聞き終わるや否や、メイは最初と同じ要領でハンマーを回転させ始める。リリーからは離れていて届かないが、ナイフの刺さった足で一歩踏み込み距離を詰める。
だがハンマーの速度はリリーにとっては遅い。後ろに跳躍し、ナイフを一本投げながらハンマーを躱す。
「まだメイは諦めちゃいねえぜ!」
不思議なことに、リリーに当たらなかったハンマーがそのままメイの元に戻ってくると思いきや回転しながらどんどんとリリーを追いかけていく。
メイがハンマーから手を離し、投げたんだ。これならナイフもなんとかなるかもしれないし、リリーへの追撃もできる。
だが不思議なことに、メイは重心を低くしてハンマーを追いかけるが、ナイフを避けない。そのまま左肩にナイフが突き刺さってしまう。
「り、理由は分かりませんがナイフを避けないみたいですね... 」
リリーの方は、着地をした後、ハンマーを避けようと自身の右方向へ飛ぶ。
だがメイはそれを見切っていたかのように自身に刺さっていたナイフを抜き、リリー程の綺麗な投げ方ではないが、リリーの着地点に向かってそれを投げる。
「いやあ、リリーのナイフもかっこいいと思って、昔メイに提案してみた甲斐があったな!」
突然の行動にリリーは驚いた表情を見せるが、両足が着地する前に地面に手をつき、もう一段跳ねてナイフを回避。
突如、異変が起きる。
凄まじい攻防の応酬から目を離せずにいた俺だが、一瞬だけ目を離してしまう。俺の右側を通り抜けるように、ものすごい風が吹いたからだ。そしてなぜかスズがいない、二人の元にスカートをはためかせながら一直線で駆けている。
急いで戦いに目を戻すと、不自然な体勢で着地したリリーに追いついたメイが、拳を放とうとしていた。
体勢の悪いリリーは避けられない、腕を十字に構えて受けようとする。
さっきよりもメイの体制が良さそうだ!
と、思ったが... 拳がリリーに当たることはなかった。
なぜなら、スズがメイをタックルで吹っ飛ばしていたからだ。
え?ちょ...
ーーーーーーーーーーーーー
解説陣と戦闘陣の時間の流れが違うような気がするが、めちゃくちゃ早口で喋ってると思えばつじつまは合う?
いいねボタンを押していただけると、作者の自己顕示欲が満たされます!
スズが合図をした途端、いつの間にか抜かれていたナイフをリリーがメイに向かって投げる。瞬間、鋭い音がしたと思ったら、リリーが投げたナイフが地面に落ちる。
「メイがナイフを弾いたのか?」
「ハ、ハンマーの柄の部分で弾いたようです。武器が重いので必然的に飛び道具に弱くなりますが、メイさんは一応の対策はされているみたいですね... 」
あの速さのナイフを弾けるもんなのか?
ナイフが弾かれたのを見ると、リリーは素早くメイの元に駆け寄り、跳躍し、飛び蹴りをかます。
するとメイは体制を低くし、ハンマーの頭の部分を足を使って蹴り上げ、自分の体ごと一回転させて、リリーの軌道に重なるように振りまわす。
「お、重いので遠心力を使っていますね。空中にいると、意外と避けにくいですんよね...」
「思ったんだが、あれならハンマーの柄の部分だけで良くないか?棍とか」
「なあに言ってんだへっぽこ!幼気な少女がでかいハンマーを振り回すのがかっこいいんじゃあねえか!」
じゃあお前が使えよ...
戦況の方はというと、地面から足を離したリリーが簡単に避けられるはずがない、と思いきや体制を変え、ハンマーの頭の部分に両手を乗せ、それを軸に回し蹴りをする。
ちょうどメイの顔の部分に当たったかと思いきや、ハンマーの柄の部分を上げて防いでいたようだ。
そのままリリーと共にハンマーの頭の部分は降下するが、リリーが太もものナイフに手をかけたところでメイがハンマーを押すようにして蹴り上げる。
その力に乗ってリリーが大きく飛び上がり、数本のナイフを下に投げつける。
「勇者様、実はリリーさん、上にも何本か投げてるんですよ... 」
「え?」
スズの囁きにつられてリリーの上を見ると、確かに二本、上に向かっているナイフが見える。
四天王戦と同じ手口じゃねえか。
メイは向かってきたナイフを全てハンマーの柄で弾き、リリーはメイから数歩離れたところに着地する。
リリーは今度は飛び蹴りをせず、重心を低く構えてメイの方へ向かう。先程と同じようにハンマーを蹴って後ろに回すが、リリーの方が速く、間に合わない。
リリーはメイの腹部にナイフを刺す。
先程リリーが投げたナイフも自由落下を始めたようで、メイに刺さるのも時間の問題だ。
「これは勝負ありじゃないか?」
「馬鹿野郎、メイがこれで終わりなわけねえだろうが!」
確かにハンマーは先程よりは遅いがリリーの方へ向かっている。リリーもそれは分かっているようで、迎撃に対処しようとするが...
そのハンマーの柄を、メイは離してしまい、リリーの横側にハンマーの頭が着地する。
そしてナイフを握っているリリーの腕を両手で掴み、そのまま一本背負いの要領でリリーを身体ごと持ち上げる。
「メ、メイさんは、ちゃんとナイフが上に投げられたのを見ていましたね」
まるでリリーを盾にするようにナイフを受けるつもりのようだ。このままだとリリーは自分に投げたナイフに刺さってしまう。
だが不思議なことに、普通は投げた側の背中に這うように投げられた側の腹が来るはずだが、リリーの軌道が思ったよりも速い。
リリーがメイの肩の上に逆立ちをするように宙を舞っていて、ナイフの軌道上に入らない。
「さ、最初に自分から跳んでナイフを躱そうとしていますね」
しかも器用なことに、空いているもう片方の手でメイの肩にナイフを刺そうとしている。
自由落下のナイフ二本と、肩にもう一本って、殺す気満々じゃねえかよ。
だがメイは自分の膝をガクッと曲げ、重心を落とす。必然的にリリーも引っ張られて落ちる、が、ただ落ちるのではない、その軌道の途中で、なぜかハンマーの柄が強くリリーの腕を叩く。
「お、ハンマーが落とされてまだ回っていたのか!あの重さを回していたんだから柄に当たったときの力は相当だよな!」
どうやら持ち手を中心に回っていたハンマーが、メイの手から離れたことによってハンマーの頭を中心に回っていたらしい。
一言、言わせてほしい。漫画かよ。
リリーは少し横に回転しながら吹っ飛び、落下するナイフはメイの頬と腕を掠めるだけに留まる。
不時着したリリーを仕留めるように、メイは左手でハンマーの頭付近を掴み、右手で柄の先ギリギリを思い切り下に下ろし、後ろ足でハンマーの頭を蹴る。
そのまま左手を離すと柄の先端が地面につき、そこを軸にハンマーの頭が思い切り飛び上がり、リリーに降りかかる。
立て直したリリーは後ろに飛び、ハンマーを躱す。が、メイは両手でハンマーの柄の先端に掴まって、回転するハンマーの力を使って飛び上がり、リリーに飛び蹴りをする。
ラ◯ダーキックだ...
「お、当たったぞ!」
「... やっぱりリリーさんも、ただでは攻めさせませんね」
蹴りを喰らって少し後ろに飛ぶリリー。だが腕を十字にして直接体に当たるのは防いだようだ。なんともないといった顔をしている。
対照に、着地したメイは少し膝をガクンと曲げ、苦痛の表情を浮かべていた。そして靴に刺さっていた何かを血飛沫と共に抜き、地面に投げ捨てる。それは、紛れもなくリリーのナイフだった。
恐らくリリーは十字に構えた手にそれを持っていて、メイの勢いを使って刺したのだろう。
「向かってくるメイの足に刺したのか!」
「あの勢いですから貫いているでしょうね... タイランさん、そろそろ... 」
「うーん... でもメイだからなあ、まだもう一捻り出来そうなんだが... 」
今は両者とも動かないでお互いを見つめ合っている。だが動き出せば、怪我の深いメイがリリーにまだ対処できるか?
ヒヤヒヤとした気分で見ていると、戦いが始まってから、始めてリリーが口を開く。
「相手がシュバッと来たらシュッです!技が完璧に決まったらドンッと来るんですから!」
う、うん... なんとなくわかるぞ。反撃に気をつけろってことだよな。
それを聞き終わるや否や、メイは最初と同じ要領でハンマーを回転させ始める。リリーからは離れていて届かないが、ナイフの刺さった足で一歩踏み込み距離を詰める。
だがハンマーの速度はリリーにとっては遅い。後ろに跳躍し、ナイフを一本投げながらハンマーを躱す。
「まだメイは諦めちゃいねえぜ!」
不思議なことに、リリーに当たらなかったハンマーがそのままメイの元に戻ってくると思いきや回転しながらどんどんとリリーを追いかけていく。
メイがハンマーから手を離し、投げたんだ。これならナイフもなんとかなるかもしれないし、リリーへの追撃もできる。
だが不思議なことに、メイは重心を低くしてハンマーを追いかけるが、ナイフを避けない。そのまま左肩にナイフが突き刺さってしまう。
「り、理由は分かりませんがナイフを避けないみたいですね... 」
リリーの方は、着地をした後、ハンマーを避けようと自身の右方向へ飛ぶ。
だがメイはそれを見切っていたかのように自身に刺さっていたナイフを抜き、リリー程の綺麗な投げ方ではないが、リリーの着地点に向かってそれを投げる。
「いやあ、リリーのナイフもかっこいいと思って、昔メイに提案してみた甲斐があったな!」
突然の行動にリリーは驚いた表情を見せるが、両足が着地する前に地面に手をつき、もう一段跳ねてナイフを回避。
突如、異変が起きる。
凄まじい攻防の応酬から目を離せずにいた俺だが、一瞬だけ目を離してしまう。俺の右側を通り抜けるように、ものすごい風が吹いたからだ。そしてなぜかスズがいない、二人の元にスカートをはためかせながら一直線で駆けている。
急いで戦いに目を戻すと、不自然な体勢で着地したリリーに追いついたメイが、拳を放とうとしていた。
体勢の悪いリリーは避けられない、腕を十字に構えて受けようとする。
さっきよりもメイの体制が良さそうだ!
と、思ったが... 拳がリリーに当たることはなかった。
なぜなら、スズがメイをタックルで吹っ飛ばしていたからだ。
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