17 / 36
眠り姫の家
その11・完
しおりを挟む
ピピピ! ピピピ! ピピピ!
ヒヨコの目覚ましを止めると、僕はベッドに半身を起こし、朝日の中でこうべを垂れました。
またダメでした……。
……いいえ! 三度目の正直です!
今夜こそ!
今夜こそ! なのです!
……………
………
…
『君達があまりに弱いのでな。制限時間を無くすことにしたよ』
夢の家で。開口一番、先生はそう言いました。
『今夜は落ち着いてゆっくり考えて、ぜひ正解を導き出してくれたまえ』
……ああ、僕らのおつむが弱いばかりに、なぞなぞ魔人が親切になるという……。
キャラをダメダメにしてしまいました……。
『では、いくぞ!』
先生の言葉と共に、
カッッ!!
右手からまばゆい光が差し込んで、
「わっ!?」
「きゃあ!?」
庭に面していた壁が、消えて無くなりました。
せ、先生、今日はなんだか気迫が違いますよ!?
庭には二股に分かれた道が通っていて、その分岐点には――――シグレさん!?
……じゃ、ありませんでした、
「雨ふりさん!!」
今日は姿を見せていなかった雨ふりさんが、なぜか2人に分身して立っているのでした。
空は、奥に行けば行くほどどんよりと曇って薄暗いです。
強い風がサッと走り抜けました。
『問題だ』
嵐の前のような景色の中、先生が静かに告げました。
『――片方の道は、現実の世界に。
もう片方の道は、このまま夢の世界に繋がっている。
現実の世界に通じる道の雨ふりは、『真実』しか言わない。
一方、夢の世界に通じる道の雨ふりは『嘘』しか言わない。
質問出来るのはただ一度きり。
どちらがどちらの雨ふりか見極めて――……好きな道を進みたまえ』
リセが隣で、ぎゅっとこぶしを握りしめました。
その様子を目の端に捉えてから、僕は頭の中でシュミレートしてみます。
例えば《貴方は現実に繋がる道の、雨ふりさんですか?》と、聞いた場合。
真実を言うシグレさんの答えは、もちろん『はい』です。
一方、嘘つきなシグレさんの答えは――……同じく『はい』になってしまうのでした。
他にも色々な質問を思い浮かべますが、どの質問も《正直》《嘘つき》どちらも同じ答えになってしまいます。
……イエスかノーかで答えられる問いだから、いけないのでしょうか?
しかし、あまりからめ手な質問はズルな気がします。
たとえそれで道が分かっても負けな気がします。
先生の事です。きっと抜け道を用意しているのでしょう。
しかし《正直》が『はい』と答える時、《嘘つき》も『はい』と返事が返って来るのでは――…………ん?
《正直》が……『はい』と答える時……?
ああぁっ!!
雷に打たれたかのように、僕は答えを閃きました。
もう一度、頭の中でシュミレーションしてみます。
……うん。間違いありません。
これで問題は一つ解決です。
しかし、まだです。
まだ終わらせるわけにはいきません。
僕は、残ったもう一つの問題の方に顔を向けました。
リセは、腕を組み眉間にしわしわを寄せて、うんうん唸っている最中でした。
「リセ。
分かりました」
彼女に向かって僕は呼びかけます。
「……え!?
ウソ! すごいじゃない!」
ぱっと顔を上げ手放しで褒めてから、再び眉を寄せると、
「……前みたいなボケ解答じゃないでしょうね?
次やったら、あんたのことを『マコトくん』と呼ぶわよ?」
それはイヤですね。物凄く。
……ではなくて、
「何度も頭の中で確認したので大丈夫です。
――――でもリセ。
答える前に一つ、お願いがあるのです」
僕は、彼女に右手を差し出しました。
「僕と一緒に、現実の世界に帰ってください」
――学校に行けとか。
親を悲しませるなとか。
そんな立派なことは、言えません。
僕だって、ズル休みしたい時も、母さんを心配させてしまうことだってあるのです。
そうじゃなくて。
「ここではない、別の場所でも会いましょう」
これはただの僕の望み。
僕は無力な子供です。
リセを、全ての苦痛から遠ざけてあげる事なんてできません。
現実の世界に戻ったとして、そこで泣きながら、血を吐きながら、進んで行かなければならないのは、リセ自身なのです。
だからきっと、この心地良い場所を捨てて一緒に来て欲しいと思うのは、僕の我が儘なのでしょう。
――――けれども。
それでも僕は――彼女の瞳をまっすぐに見つめます。
「公園や駄菓子屋さんに一緒に行きましょう」
いつまでも眩しい日差しのこの場所では無く、
「ちゃんと日の暮れる町で、夕方にちょっと残念だけど『また、明日ね』って約束して、バイバイしましょう」
いつも突然僕だけが消えてしまう、この場所では無く。
「――リセ。
僕と一緒に、来てくれませんか?」
彼女は顔を真っ赤にすると、
パンッ!
叩き付けるように、僕の右手に彼女の左手を乗せてくれました。
……あれ?
リセ、なんか怒ってます?
むぅ~?
女の子に『一緒に駄菓子屋さんに行きましょう』は、無かったでしょうか?
僕たち男子にとっては聖地なのですが。
「ヒ、ヒカルがそこまで言うなら、戻ってあげるわよっ!」
赤い顔のまま、ふんっと彼女はそっぽを向いてしまいました。
……やはりなぜか怒らせてしまった様です。
僕らは手を繋いだまま、2人のシグレさんの前まで進み出ました。
『答えは出たのかね?』
先生の問いに、
「はい」
頷いて、僕は一つ息を吸い込むと、分かれ道の番人達に答えを投げかけました。
「――《『貴方は現実に繋がる道の、雨ふりさんですか?』と僕が聞いた時、貴方は『はい』と答えますか?》」
右手のシグレさんが言います。
「はい。
その質問の時、私は『はい』と答えます」
左手のシグレさんが言います。
「いいえ。
その質問の時、私は『はい』と答えません」
繋いだ手から彼女の不安が伝わる気がして、僕はその掌にきゅっと力を込めました。
リセがこちらを見ます。
無言で頷きます。
そして僕らは嵐の先へと。
暗く強い風が吹く方へと、歩き始めました――……。
***
「――こんにちはーっ!」
お店の扉を開けると、
「おおっ! ヒカル君、良く来たね!」
珍しくぱっちりと目を開いた先生が、出迎えてくれました。
――――あれから一週間が過ぎました。
僕はあの日以来、一度も『迷ひ家』へは行っていません。
「これを見たまえ!」
先生が上機嫌で差し出したのは、まだ箱に入ったままの――……、
「ああーっ!
こ、これ……この前燃やしちゃった、フィギュア人形じゃないですか!!」
「そうだ!
なんと、雑誌の懸賞で当たったのだ!」
「ええ!? すごいです!」
……ん?
でも、前のとどこか違うような……。
「……ふふっ。
気付いたかね?」
僕の視線を受けて、先生がニヤリと笑いました。
「なんとこれは、イベントで100体・限定販売された幻の『フィニアルさん、ミュリエル・コス』バージョンなのだ!
しかもシリアルナンバー77のプレミア付き!
……ふふふ、時価はこれくらいだ――……」
先生が叩いた電卓には、
……う゛。
ぼ、僕にとっては、天文学的数字が出ています。
信じられません……こんな40センチ足らずのお人形が……。
「もちろん売ったりなんかはしないがね!」
箱の中でピンクの髪の女の人は、現実の女性が生涯一度もとることはないであろうポーズで、スカートをひらめかせ微笑んでいました。
「……ありがとう、ヒカル君」
唐突に先生がそう言って、
「は……え!?」
ぼんやりしていた僕は、思わずおかしな声を上げてしまいました。
な、なんですか!? 先生がお礼なんて!
「怖いですっ!」
「失礼な……」
一瞬憮然とした表情をしたものの、先生は再び柔らかく笑いました。
「『迷ひ家』で、自分ではなく私の事を想ってくれただろう」
へ……?
……確かに、リセのピンクのシュシュを見て、先生のお人形を思い出したことはありましたが……。
「言っては何だが、私は物凄くクジ運が悪いぞ」
「でも結局『迷ひ家』からは何も持ち帰れなかったじゃないですか」
何と言っても夢の家ですから。
「――いや、持ち帰ったさ」
え……?
先生がいたずらっぽく微笑んで、目で後ろを指すので振り返ると――……ガラガラとお店の引き戸を開けて、
「ヒカル、いるーっ?」
リセが入って来ました。
「あれ? リセ、」
突然の乱入に小首を傾げます。
「約束してましたっけ?」
「な……っ」
するとリセは顔を赤く染めました。
「や、約束してなきゃ来ちゃいけないっていうのっ?」
「いやっ、そんなことはないのですよ?」
どうやら、僕はまた彼女を怒らせてしまったようです。
……リセの怒りスイッチの有り所は、難解過ぎます……。
そんな中、一人先生は何故か鼻の下を伸ばして、
「ヒカルくん、ツンだ!
ツンツンしているぞ!」
……何を喜んでいるんですか、先生……。
そして日本語を喋って下さい……。
僕が『バベルの塔』という神話を思い出している後ろで、
「ヒカル、何なのこの女!」
リセが先生に噛み付いています。
「おお~っ!
素晴らしいツンぶりだな!」
……先生の言葉は、やはりバベルです。
僕はぼんやりと店の外を眺めました。
……いい天気です。
今日も商店街は平和です。
《眠り姫の家・終》
ヒヨコの目覚ましを止めると、僕はベッドに半身を起こし、朝日の中でこうべを垂れました。
またダメでした……。
……いいえ! 三度目の正直です!
今夜こそ!
今夜こそ! なのです!
……………
………
…
『君達があまりに弱いのでな。制限時間を無くすことにしたよ』
夢の家で。開口一番、先生はそう言いました。
『今夜は落ち着いてゆっくり考えて、ぜひ正解を導き出してくれたまえ』
……ああ、僕らのおつむが弱いばかりに、なぞなぞ魔人が親切になるという……。
キャラをダメダメにしてしまいました……。
『では、いくぞ!』
先生の言葉と共に、
カッッ!!
右手からまばゆい光が差し込んで、
「わっ!?」
「きゃあ!?」
庭に面していた壁が、消えて無くなりました。
せ、先生、今日はなんだか気迫が違いますよ!?
庭には二股に分かれた道が通っていて、その分岐点には――――シグレさん!?
……じゃ、ありませんでした、
「雨ふりさん!!」
今日は姿を見せていなかった雨ふりさんが、なぜか2人に分身して立っているのでした。
空は、奥に行けば行くほどどんよりと曇って薄暗いです。
強い風がサッと走り抜けました。
『問題だ』
嵐の前のような景色の中、先生が静かに告げました。
『――片方の道は、現実の世界に。
もう片方の道は、このまま夢の世界に繋がっている。
現実の世界に通じる道の雨ふりは、『真実』しか言わない。
一方、夢の世界に通じる道の雨ふりは『嘘』しか言わない。
質問出来るのはただ一度きり。
どちらがどちらの雨ふりか見極めて――……好きな道を進みたまえ』
リセが隣で、ぎゅっとこぶしを握りしめました。
その様子を目の端に捉えてから、僕は頭の中でシュミレートしてみます。
例えば《貴方は現実に繋がる道の、雨ふりさんですか?》と、聞いた場合。
真実を言うシグレさんの答えは、もちろん『はい』です。
一方、嘘つきなシグレさんの答えは――……同じく『はい』になってしまうのでした。
他にも色々な質問を思い浮かべますが、どの質問も《正直》《嘘つき》どちらも同じ答えになってしまいます。
……イエスかノーかで答えられる問いだから、いけないのでしょうか?
しかし、あまりからめ手な質問はズルな気がします。
たとえそれで道が分かっても負けな気がします。
先生の事です。きっと抜け道を用意しているのでしょう。
しかし《正直》が『はい』と答える時、《嘘つき》も『はい』と返事が返って来るのでは――…………ん?
《正直》が……『はい』と答える時……?
ああぁっ!!
雷に打たれたかのように、僕は答えを閃きました。
もう一度、頭の中でシュミレーションしてみます。
……うん。間違いありません。
これで問題は一つ解決です。
しかし、まだです。
まだ終わらせるわけにはいきません。
僕は、残ったもう一つの問題の方に顔を向けました。
リセは、腕を組み眉間にしわしわを寄せて、うんうん唸っている最中でした。
「リセ。
分かりました」
彼女に向かって僕は呼びかけます。
「……え!?
ウソ! すごいじゃない!」
ぱっと顔を上げ手放しで褒めてから、再び眉を寄せると、
「……前みたいなボケ解答じゃないでしょうね?
次やったら、あんたのことを『マコトくん』と呼ぶわよ?」
それはイヤですね。物凄く。
……ではなくて、
「何度も頭の中で確認したので大丈夫です。
――――でもリセ。
答える前に一つ、お願いがあるのです」
僕は、彼女に右手を差し出しました。
「僕と一緒に、現実の世界に帰ってください」
――学校に行けとか。
親を悲しませるなとか。
そんな立派なことは、言えません。
僕だって、ズル休みしたい時も、母さんを心配させてしまうことだってあるのです。
そうじゃなくて。
「ここではない、別の場所でも会いましょう」
これはただの僕の望み。
僕は無力な子供です。
リセを、全ての苦痛から遠ざけてあげる事なんてできません。
現実の世界に戻ったとして、そこで泣きながら、血を吐きながら、進んで行かなければならないのは、リセ自身なのです。
だからきっと、この心地良い場所を捨てて一緒に来て欲しいと思うのは、僕の我が儘なのでしょう。
――――けれども。
それでも僕は――彼女の瞳をまっすぐに見つめます。
「公園や駄菓子屋さんに一緒に行きましょう」
いつまでも眩しい日差しのこの場所では無く、
「ちゃんと日の暮れる町で、夕方にちょっと残念だけど『また、明日ね』って約束して、バイバイしましょう」
いつも突然僕だけが消えてしまう、この場所では無く。
「――リセ。
僕と一緒に、来てくれませんか?」
彼女は顔を真っ赤にすると、
パンッ!
叩き付けるように、僕の右手に彼女の左手を乗せてくれました。
……あれ?
リセ、なんか怒ってます?
むぅ~?
女の子に『一緒に駄菓子屋さんに行きましょう』は、無かったでしょうか?
僕たち男子にとっては聖地なのですが。
「ヒ、ヒカルがそこまで言うなら、戻ってあげるわよっ!」
赤い顔のまま、ふんっと彼女はそっぽを向いてしまいました。
……やはりなぜか怒らせてしまった様です。
僕らは手を繋いだまま、2人のシグレさんの前まで進み出ました。
『答えは出たのかね?』
先生の問いに、
「はい」
頷いて、僕は一つ息を吸い込むと、分かれ道の番人達に答えを投げかけました。
「――《『貴方は現実に繋がる道の、雨ふりさんですか?』と僕が聞いた時、貴方は『はい』と答えますか?》」
右手のシグレさんが言います。
「はい。
その質問の時、私は『はい』と答えます」
左手のシグレさんが言います。
「いいえ。
その質問の時、私は『はい』と答えません」
繋いだ手から彼女の不安が伝わる気がして、僕はその掌にきゅっと力を込めました。
リセがこちらを見ます。
無言で頷きます。
そして僕らは嵐の先へと。
暗く強い風が吹く方へと、歩き始めました――……。
***
「――こんにちはーっ!」
お店の扉を開けると、
「おおっ! ヒカル君、良く来たね!」
珍しくぱっちりと目を開いた先生が、出迎えてくれました。
――――あれから一週間が過ぎました。
僕はあの日以来、一度も『迷ひ家』へは行っていません。
「これを見たまえ!」
先生が上機嫌で差し出したのは、まだ箱に入ったままの――……、
「ああーっ!
こ、これ……この前燃やしちゃった、フィギュア人形じゃないですか!!」
「そうだ!
なんと、雑誌の懸賞で当たったのだ!」
「ええ!? すごいです!」
……ん?
でも、前のとどこか違うような……。
「……ふふっ。
気付いたかね?」
僕の視線を受けて、先生がニヤリと笑いました。
「なんとこれは、イベントで100体・限定販売された幻の『フィニアルさん、ミュリエル・コス』バージョンなのだ!
しかもシリアルナンバー77のプレミア付き!
……ふふふ、時価はこれくらいだ――……」
先生が叩いた電卓には、
……う゛。
ぼ、僕にとっては、天文学的数字が出ています。
信じられません……こんな40センチ足らずのお人形が……。
「もちろん売ったりなんかはしないがね!」
箱の中でピンクの髪の女の人は、現実の女性が生涯一度もとることはないであろうポーズで、スカートをひらめかせ微笑んでいました。
「……ありがとう、ヒカル君」
唐突に先生がそう言って、
「は……え!?」
ぼんやりしていた僕は、思わずおかしな声を上げてしまいました。
な、なんですか!? 先生がお礼なんて!
「怖いですっ!」
「失礼な……」
一瞬憮然とした表情をしたものの、先生は再び柔らかく笑いました。
「『迷ひ家』で、自分ではなく私の事を想ってくれただろう」
へ……?
……確かに、リセのピンクのシュシュを見て、先生のお人形を思い出したことはありましたが……。
「言っては何だが、私は物凄くクジ運が悪いぞ」
「でも結局『迷ひ家』からは何も持ち帰れなかったじゃないですか」
何と言っても夢の家ですから。
「――いや、持ち帰ったさ」
え……?
先生がいたずらっぽく微笑んで、目で後ろを指すので振り返ると――……ガラガラとお店の引き戸を開けて、
「ヒカル、いるーっ?」
リセが入って来ました。
「あれ? リセ、」
突然の乱入に小首を傾げます。
「約束してましたっけ?」
「な……っ」
するとリセは顔を赤く染めました。
「や、約束してなきゃ来ちゃいけないっていうのっ?」
「いやっ、そんなことはないのですよ?」
どうやら、僕はまた彼女を怒らせてしまったようです。
……リセの怒りスイッチの有り所は、難解過ぎます……。
そんな中、一人先生は何故か鼻の下を伸ばして、
「ヒカルくん、ツンだ!
ツンツンしているぞ!」
……何を喜んでいるんですか、先生……。
そして日本語を喋って下さい……。
僕が『バベルの塔』という神話を思い出している後ろで、
「ヒカル、何なのこの女!」
リセが先生に噛み付いています。
「おお~っ!
素晴らしいツンぶりだな!」
……先生の言葉は、やはりバベルです。
僕はぼんやりと店の外を眺めました。
……いい天気です。
今日も商店街は平和です。
《眠り姫の家・終》
0
お気に入りに追加
17
あなたにおすすめの小説
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
公主の嫁入り
マチバリ
キャラ文芸
宗国の公主である雪花は、後宮の最奥にある月花宮で息をひそめて生きていた。母の身分が低かったことを理由に他の妃たちから冷遇されていたからだ。
17歳になったある日、皇帝となった兄の命により龍の血を継ぐという道士の元へ降嫁する事が決まる。政略結婚の道具として役に立ちたいと願いつつも怯えていた雪花だったが、顔を合わせた道士の焔蓮は優しい人で……ぎこちなくも心を通わせ、夫婦となっていく二人の物語。
中華習作かつ色々ふんわりなファンタジー設定です。
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
海の見える家で……
梨香
キャラ文芸
祖母の突然の死で十五歳まで暮らした港町へ帰った智章は見知らぬ女子高校生と出会う。祖母の死とその女の子は何か関係があるのか? 祖母の死が切っ掛けになり、智章の特殊能力、実父、義理の父、そして奔放な母との関係などが浮き彫りになっていく。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる